建物区分所有法の適用範囲

 建物区分所有法の第一条では、一棟の建物が数個の建物部分に区分されていて、その区分された各建物部分がそれぞれ一個の建物として、独立した利用に供し得るようになっている場合において、その各建物部分の上に一個ずつの所有権を認める旨を規定し、第二条第一項では、そのような所有権のことを区分所有権とよんでおります。ところで、一棟の建物が数個の建物部分に区分されているという場合における数個というのは、国語の常識からいうと、三、四ないしは五、六ぐらいの意味の言葉ということになるのではないかと思いますが、この建物区分所有法の第一条でいう数個というのは、二個またはそれ以上という意味で解釈運用されていることは、皆さま方がすでによく知っておられるとおりです。
 ところで、数個という言葉がそのように解釈運用されているということは、建物区分所有法が二戸建の棟割長屋の場合にも適用になるし、それからまた、数十戸、数亘戸からなる分譲マンションとか、その他中高層ないし超高層の大きなビルディングで、これを階層別に、しかも、あるいはさらに同一階をいくつにも区切る場合にも適用になり、あるいはまた、住宅公団とかその他、最近は大手の不動産会社が大きな団地を開発して、そこに分譲マンションをいくつも建てて分譲する場合、つまり、地団形式のマンションにも適用になるし、言うなれば適用対象がピンからキリまであるということです。
 これは建物区分所有法の適用対象を規模の面からみた場合ですが、しかし、建築材料の面からみても多種多様であって、一棟二戸建の棟割長屋であれば、木造であることが多いでしょうが、大きなビルになれば、鉄筋・鉄骨コンクリート造であり、しかもその鉄筋・鉄骨でもさらに太さ、重さ等々によっていろいろなものがあります。

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 それからまた、区分所有の対象である建物、つまり専有部分の使用目的、用途の面からみても多種多様です。これについて建物区分所有法第一条でも、住居とか店舗とか、事務所とか倉庫というように例示的に挙げていますが、これらのほかに、車庫とか教会とかいろいろ挙げることができます。このように種々さまざまな用途に供されるという点からみても、建物区分所有法の解釈運用上容易ならぬ困難な問題があることがわかるのではないでしょうか。
 それからまた、共用部分、共用施設の面からみても多種多様です。例えば、一棟二戸建の棟割長屋でしかも住居専用というような場合ですと、これという特別の共用部分、共用施設などというようなものはないのが普通で、それぞれ出入口も別々についていて、強いて言えば、隣の住戸との境にある壁とか柱などぐらいではないかと思います。しかし、これに対して、中高層ないし超高層の大きなビルディングで、しかも区分所有されているような場合ですと、共同の出入口または玄関とか階段室とか、廊下室とかエレベーターとか、電気、上下水道、冷暖房等々の共用部分、共用施設があり、また、団地形式の分譲マンションの場合でも種々さまざまな共用部分、共用施設があるということがいえます。
 さらにまた、管理組織の面からみても多種多様であるといえます。例えば、一棟二戸建の棟割長屋の場合における区分所有ですと、管理組合等というような特別の管理組織をわざわざつくる必要がないのではないかと思われます。しかし、敷十戸、敷亘戸というように専有部分の敷の多い分譲マンションとか、再開発ビルとかいろいろな場合を考えてみますと、どうしてもそれ相応の管理組織が必要であるし、また大規模になればなるほど、管理組織が復雑になってくるということがいえます。
 そのほかさらに、敷地の面からみてもいろいろあります。従来一般に区分所有の建物における敷地は、当然に一筆になっているもののように考えられているようでして、とくに学者の著述などをみていると、そのような感じがするのですが、現実には必ずしもそうはなっておらず、そこにまたぎわめて厄介な多くの問題があるということもいえるのですが、いずれにしても、この敷地の所有関係ないし権利関係というものも、バラエティにとんでいます。敷地全体が一筆になっていて、それを関係区分所有者が共有していることもあるし、あるいは、筆数自体がいくつにも分かれていることもある。そしてまた、その敷地の所有者は区分所有者全員であることもあるし、あるいは、敷地の一部は所有権の共有であるが、それ以外の敷地は借地権の共有である等々の場合があり、とのように敷地の面からみても、多種多様であるということがいえます。
 それからまた、区分所有の発生原因、つまり、法律上の成立原因からみても、きわめて種々さまざまであるということができます。例えば一抹二戸建の棟割長屋の場合、はじめから区分所有しようということで、甲、乙二人がそういう長屋を建てて区分所有する例もないことはないでしょうし、これからは、そういう事例もふえてくるかもしれませんが、従来においてはそういう例は皆無に近く、棟割長屋は、ほとんど全部といってよいぐらいに、賃貸用として建てられたものであるといえると思います。例えば甲が一棟二戸建の建物を建てて、東側の一戸を乙に、西側の一戸を丙に賃貸するというようにです。ところがその後、賃貸人である所有者甲の経済的な事情その他によって甲から乙、丙に対して買い取ってほしいという話がもち出され、それではということで、乙、丙がそれぞれ自分の住んでいる住戸を買い取りますと、乙、丙は区分所有者ということになるわけでして、従来、とくに第二次大戦後の一時期においては、そういう事例がかなり多かったというように言われております。この種の事例は、自然発生的または後発的区分所有ということができます。つまり、はじめから区分所有しようということで、棟割長屋を建てたのではないけれども、その建物の所有者の都合などによって、あとから区分所有されるにいたる場合です。あるいは、はじめ一棟二戸の建物だったのだけれども、それがその後増築、改築によって二戸建の建物となり、あとから区分所有される場合も少なくないでしょう。
 また、あとから区分所有される場合でも、いま挙げたような場合ばかりではなく、例えば父親が死亡して、子どもたち二人のあいだで財産分けの話合いの結果、父親の所有であった一棟一戸の建物を半分に仕切って、長男が東側の建物部分を取得し、次男が西側の建物部分を取得したことで区分所有されるという場合もあります。これは遺産分割によってそうなる場合ですが、共有物分割であっても同じように区分所有となる場合があります。あるいはまた、借地法第四条第二項、第一〇条の建物質取請求権行使の結果、一抹の建物について区分所有となることもあります。
 以上は、いずれも後発的な区分所有ですが、これに対して、はじめから区分所有ということで建物が建てられ、そして区分所有される場合、つまり、原始的区分所有の場合かおることはもちろんで、これにも規模等々からみて種々さまざまなものがあります。

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