棟数と建物の区分所有

 所有関係のうちの建物のほうの関係ですが、まず問題になることは棟数と建物の区分ないし両者の関係です。というのは、建物区分所有法の第一条をみてみますと「一棟の建物に構造上区分された数個の部分で独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものがあるときは、その各部分は、この法律の定めるところにより、それぞれ所有権の目的とすることができる。」と規定しているので、一棟の建物を数個の部分に区分したというのであれば、建物区分所有法の適用があるのですが、それぞれが独立した一棟の建物であるというのであれば、建物区分所有法の適用はないことから、具体の場合に、一棟の建物かどうかということがまず問題になるわけです。

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 例えば、鉄骨コンクリート造の高層ビルがあって、このビルは骨組みの面からみると、二つのビルが物理的に接しているといいますか、つまり骨組みのほうは別々の建物ということで、両方が接している境のところの柱である鉄骨が二つ並んでおり二棟の建物といったほうが適切なのですが、しかし、最後の仕上げ、外装の面からみると、全体が一抹の建物のようにみえるというような建て方になっている場合に、仮に全体を一人の人が所有するというのであれば問題ないのですけれども、その一方を甲が所有し、他方を乙が所有するという場合に、これは区分所有の問題なのかそうでないのかということなのです。
 これに関して昭和四三年三月二八日の民事甲第三九五号の民事局長の回答があるのですが、それによると、そのような場合にはそれぞれを別棟の建物として扱うのは適当でない、というのであって、つまり、全体か二棟の建物とみて、それぞれを区分所有するというふうに扱うのが相当であるというのです。
 この回答のように扱うのが適当かどうかについて賛否両論があると思うのですが、とにかく、そういったような棟数と区分のしかたということは、実際上いろいろ問題が多いように問いているわけです。従来、一棟の建物かどうかということは、物理的にはっきりしているというふうに、何となく常識的に考えられてきた面があるかもしれませんけれども、最近は建築技術その他がいろいろ発達してきた関係などもあって、いったいどこまでが一棟なのかということは、従来のように単純にはきめかねる場合が増えているようです。そういうようなことを問題にした登記先例は、さきほどの回答以外にもまだありますが、裁判例ではこれまでのところ適切なものはないようです。ただし、木造建物の増改築との関係で一律の建物であるかどうかが問題になった下級審判例はいくつかあります。
 棟数や区分と関連していて、あるいは立法論ということになるのかもしれませんが、現行の建物区分所有法があくまでも、従来の観念でいう建物ということを前提にして、その区分所有にのみ適用を限定していることの当否です。例えば最近の都心におけるビルですと、そのビルの地下をずっとおりていくと、地下鉄の乗り場につながっているとか、あるいは隣のビルにつながっているという場合が少なからずあるわけです。このように複数のビルその他の工作物が接合ないし連絡していて、関係権判者が何人もいるような場合においても、それらの一連の工作物全体についての区分所有ということが問題になり得るのであって、そういうことを考えてみますと、建物区分所有法が、第一条で一棟の建物を対象にその区分所有を規定しているのは、いささか狭きに失するような感じがします。もっと工作物一般についての区分所有に対しても配慮すべきであると思います。
 いずれにしても、そういうような問題があるのですが、これも考えてみますと、従来の建物概念でおさまりのつく分譲マンションを対象にして建物区分所有法を適用しているかぎり、いまあれこれ述べたような問題は起きてこないともいえるでしょう。世間では建物区分所有法は分譲マンションのことだけを規律する法律であると思っている人が少なくないようですが、必ずしもそうではないわけで、都市再開発法その他のいろいろな法律などを根拠にしてつくられるビルなどにも適用があり、要するに、広く土地の立体的利用として建てられる建物に適用されるのですから、そういうことからすると、建物区分所有法の解釈のうえで、どういう目的で建てられるビルなのかというようなことも考慮されなければならないことになります。
 したがって、検数ないし区分の問題は、そういうビルを建てた目的とか、あるいは利用の目的ということとも絡み合っているのであって、そういうことも含めて、利用のうえでどうなるかということを考える必要があり、したがって、物理的な状態だけで棟数ないし区分の問題をきめることはできないように思われるのですが、いずれにしても、従来そのような点についての検討が十分でなかったということがいえると思います。

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