区分建物の占有部分

 区分された各建物部分は専有部分、あるいは区分建物ともいわれるのですが、専有部分、区分建物はいったいどういう要件を法律上備えていなければいけないのかという点について、若干触れてみたいと思います。
 従来、一般に説かれているところによりますと、専有部分、区分建物はそれ自体が一個の建物として利用できるような構造になってなければいけないということでありまして、このことは建物区分所有法の第一条をみる限りもっともなことであって、必ずしも非難されるべきことではないと思うのです。
 しかし、例えば都市再開発事業の関係者などが書かれた文献を見てみますと、建物区分所有法は従来の建物といり法律上の観念にとらわれ過ぎているために、都市再開発事業関係者にとってははなはだ問題であり、事業がやりにくくて困るということが指摘されています。
 そんなことから、専有部分、区分建物が法律上認められる要件は何かということが反省され再検討されるようになってきており、その最もポピュラーな問題というのが、隣との境の壁は必ずしも建物の躯体部分に固定していなくてもいいかどうか、つまり、スライドするような壁でもよいかという問題です。

スポンサーリンク

 例えば巻上げ式のシャッターでもよいかどうかということが問題にされましたが、法務省の通達、回答によると、巻上げ式のシャッターの類いでもさしつかえないということなのです。
 これに対して建築界の人たち、とくに都市再開発事業関係の人たちは、それもやむを得ないのかもしれないけれども、しかし、建物区分所有限について法律家がそういう解釈運用をすることは、建築設計上よけいなものを要求されることになるのであって、むしろ、本当は壁などはなくてもよいということにしてもらいたいのだ、というようなことを言っているようですが、現在はとにかくそのような形で妥協的な取り扱いがなされております。
 これは考えてみますと、専有部分、区分建物はそれ自体一個の建物としての機能、役割を果たすような構造になっていなければいけないということを建て前として、この建て前を維持しながらどこまでそれを緩和するか、あるいは緩和することができるか、ということで議論されてきていることとおおいに密接な関係があり、そのような議論の仕方にはもっともだと思われる面もあるのです。
 というのは、区分所有の対象となる建物の場合の利用目的、用途というのは、きわめて多種多様だからです。例えば住居専用だというような場合において、隣の住戸(専有部分)との境の壁が固定した壁でなくて、いつでも巻上げることができる巻上げ式のシャッターでもかまわないとか、隣の住戸(専有部分)からうちのなかがよく見えるガラス板でもよいのではないか、そういうことではとてもプライバシーが保てないわけですから、住居ということだけを念頭において区分所有を考えていくと、さきほどの法務省の通達、回答や建築関係者、都市再開発事業関係者の言い分はおかしいということになると思うのです。
 しかし、最初にも述べましたように、建物区分所有法の適用対象は、住居専用のいわゆる分譲マンションとは限らないのであって、店舗の場合もあるし、劇場の場合もあるし、あるいはまたレストランの場合もあるし、倉庫の場合もあるし、教会とか種々さまざまなものがありますから、建物の利用目的、用途との関連で、場合によっては巻上げ式のシャッターでもよいだろうし、場合によっては隣からうちのなかがすけて見えるようなガラス板でもさしつかえない、ということになるのではないかと思います。
 隣との境の壁がどういう類いの壁、あるいは仕切りでなければならないかということも、結局用途との兼合いで決まってくるというふうに考えられるのです。ところが、従来の法律家の見解というのはどちらかというと、住居専用ということを当無視し、あるいは絶対視しているのではないかという感じがするのです。
 だから、どうもさきほど引き合いに出したような見解、考え方になるのではないか。建物区分所有法の適用対象になる建物や建物部分には、多種多様な使用目的、用途があるということを十分に認識把握すれば、当然以上のような柔軟な解釈が出てくるし、また当然だということになるはずですし、もっと徹底させれば、隣との境の壁はなくてもよいということも、無条件というわけにはいかないでしょうけれども、ある程度一定の枠をはめた形で、そういうことも認められる可能性はあると思うのです。
 しかし、現行法の解釈論でどこまでいけるかということになってくると、条文をまったく無視したような解釈も無理でしょうから、さきほど引用した法務省の通達、回答程度が限界ではないかという感じはするのですが、ともあれ将来立法的な手当をするとしたら、そういったような使用目的、用途との関係において、専有部分、区分建物の成立要件としての隣との境の壁、あるいは仕切りというものを構想すべきであり、必要に応じていわゆる無隔壁区分所有、あるいは観念的区分所有を認めるべきであるというように考えます。

間取り
建物区分所有法/ 建物区分所有法の適用範囲/ 棟数と建物の区分所有/ 区分建物の占有部分/ 木質的専有部分と非木質的専有部分/ 建物部分としての供用部分/ 法定共用部分と規約共用部分/ 共用避難施設の区分所有/ 建物区分所有法の規定と敷地の権利の種類/ 分譲マンションの土地の区分所有の権利関係/ 分譲マンションの専有部分と共用部分に関する権利/ 建物の区分所有における管理/ 共用部分の共有/ 区分所有者集会/ 建物の区分所有の管理者/ 建物の区分所有の管理委託契約/ 建物管理委託契約の規約/ マンション管理組合規約の法的根拠と性質/ マンション管理組合規約の適用される範囲/ 瑕疵補修についての法的見解/ マンション管理組合の法人化の問題/ 分譲マンション管理の対象/ 分譲マンション管理の管理物件/ 分譲マンション管理の法制面からみた問題点/ 分譲マンション管理の管理体制/ 分譲マンション管理組合の設立と法人化/ 分譲マンション管理の対象物件の明示と区分/ 分譲マンションの共用部分の権利留保/ 分譲マンションの共用部分の専用使用権/ 分譲マンションの事業者と購入者間の問題/ マンション管理体制の設備と在り方/

       copyrght(c).間取りガイドドットコム.all rights reserved

スポンサーリンク

プライバシーポリシー