建物部分としての供用部分

 いったいどのような建物部分が共用部分なのかという問題があります。その一つの問題として、ベランダあるいは、バルコニーと称される建物部分があるのですが、このほかにまだいくつもありまして、その一つは、かねてから議論されているところの平面的に隣接する専有部分相互間の境の壁、つまり界壁とか、立体的に上下に重なり合う専有部分相互間の境としての床スラブというような建物部分が、専有部分の一部なのか、共用部分なのかという問題です。これはいちおう実務的には専有部分の床面積計算の問題という形で、不動産登記事務取扱手続準則で解決されているといってもよいのではないかと思います。というのは、準則の一四一条一二号では、専有部分の床面積は内法計算によって算出すると規定されており、その結果、界壁は専有部分には含まれておらず共用部分であるといってよいからです。これは界壁についてですが、床スラブについても、同じように専有部分には含まれておらず、共用部分であるといってよいでしょう。

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 界壁、床スラブの問題については詳しく述べる必要はないといってよく、これ以外で問題なのは、ピロティという名前で呼ばれる建物部分です。ピロティは地平階、つまり一階における吹き抜け部分であって、そこには二階以上の建物部分を支える柱が立っているだけのことですから、これは建物部分ではなく建物外なのではないかというように思われるかもしれませんが、しかし、ピロティについては屋上と同じように考えたらよいのではないか、もしも屋上が共用部分であるというのであれば、ピロティも当然共用部分ということになるべきでありましょう。というのは、ピロティはちょうど、いうなれば屋上をひっくり返したようなものであって、屋上が共用部分なら、それと当然同じように共用部分といってなんらおかしくないだろうからです。そうしますと、そういうピロティ部分を区分所有者の一人が勝手に利用することは当然できないわけですから、これをどう利用するかということは、区分所有者たちが相談して決めなければいけないということになります。
 それからまた、一抹の建物の外側のまわりの壁、つまり外壁は当然共用部分ですが、これは、はじめから一定ないし特定の使用方法、利用目的というものが決まっている共用部分なのかどうかという問題があります。この点についてはとくに不動産業界の人たちがよく問題にしているようでありますけれども、その人たちの考え方は、一定の使用目的あるいは特定の利用目的というものはない、つまり、使用方法あるいは利用目的というものが定まっていない建物部分、共用部分であるということのようです。しかし、私はそのような考え方に対しては反対なのです。なぜそのような考え方がでてきたかという背景ですが、これは簡単にいってしまえば、分譲マンションを売り出した不動産会社がその外壁に広告看板をとりつけたり、あるいはその不動産会社が外壁の権利を留保しておいて、誰かそこに看板をとりつけたいという人が出てきた場合におカネをとってその人に利用させるという場合に、外壁は一定の、あるいは特定の利用目的、使用方法というものが決まっていないということでないと、どうも不動産会社側が自由に利用しにくいというようなことなのだと思います。
 しかし、外壁は外壁としての使用目的がはじめから決まっているのではないか、つまり、建物部分でこれという利用目的、使用方法が決まっていない建物部分というのは、本来あり得ないという考え方のほうが正しいと思います。例えば、屋上は何のためにあるかといいますと、それは雨風が建物内部に吹き込んでこないように防止するためにあるわけでして、この点は外壁も同様です。
 そういったふうに、建物部分というのはそれぞれの利用目的、使用方法というのは本来あるはずですが、しかし、そういう利用目的、使用方法に矛盾しない限度範囲で、別の利用目的、使用方法も可能なのではないかということができ、この問題については、そのように考えていくのが理論的に筋が通っていると私は思っております。つまり、共用部分とされる建物部分には本来的な利用方法、使用方法かおり、これと矛盾、抵触しない限度での非本来的な利用方法、使用方法が許される。したがいまして、マンションを分譲した不動産会社が自分の会社の広告の看板を外壁にとりつけるとか、ほかの人からカネをとって、看板をとりつけさせるというようなことは、必ずしもいけないということではありませんけれども、それは本来的な利用方法に抵触、矛盾しない限度で許されるにすぎないのであって、不動産会社が自由にどう使ってもかまわないという考えには賛成できないということなのです。
 もちろん、その場合、不動産会社にそのような利用権限がなければなりません。

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