瑕疵補修についての法的見解

 法的にいって瑕疵補修のすべてが管理の問題であるかどうかは厳密にいうならば、疑義も出てまいりますが、ここでは広い意味での管理問題として捉えてお話しすることにいたしましょう。集合住宅の瑕疵補修が一般の戸建て住宅の瑕疵補修と大きく違うところは共用部分ないし共有物の瑕疵という点であります。

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 例えば、三十戸から或る一棟の集合住宅が分譲される場合、法的には分譲契約の数だけ専有部分と共用部分、敷地の引き渡しが繰り返されるという建て前になります。つまり、共用部分とか共用施設についても、三十人の人に繰り返し繰り返しそのつど引き渡しているという形式を法律上とるわけです。集合分譲住宅の実際の譲渡契約では、一般に、売主としての瑕疵担保責任にもとづく目的物件の瑕疵補修は、その目的物件引渡しの日から二年間ということになっているようです(目的物件引渡しの日から二年間という瑕疵担保期間の約定の有効性についても問題がありますが、これについては、ここでは、いもおうさておくことにしましょう)が、とすると、いったいこの共有物の瑕疵補修の期間計算はいつから二年とするのかという解釈の問題が出てまいります。集合分譲住宅が即日完売で売り切れる場合ですと問題は簡単ですが、建てて売りに出してもなかなか完売にならない場合には、そうした解釈の問題がいっそう重要になってまいります。結論から申しますと、私は各自の住宅(専有部分)内補修については分譲契約における引き渡しの日から、計算すべきであり、共用部分や共有物の瑕疵補修についてはいちばん最後の分譲契約における引き渡しの日から、計算すべきであろうと考えております。
 この考えに異議を唱えたい人もあるかもしれませんが、ではいちばん先に契約した人の引き渡しの日から起算するとしたらどうなるでしょう。仮にその棟全体の住宅が三年間で売り切れたとした場合、共用部分ないし共有物の瑕疵補修の請求ができない場合も出てくることになり、かえって不都合な結果になるのではないかと思います。
 次に瑕疵補修に関連したことでありますが、どこからどこまでが自分の住宅専有部分であり、それ以外は共用部分であるかという隣との境界の問題が特に災害時の復旧に関する保険会社の補償問題などもからんで重要な問題になってまいります。
 例えば、各戸の専有部分とは壁の表面からであるのか、壁心線からであるのかという点に間しても、判例で明確な見解が出されていないのが現状でありますから、ガス爆発が起きて隣との壁がメチャクチャになった場合など、自分も相手方も境界の壁まで含めて損害保険にはいっていれば保険金の支払いを受けられますから修復費用の負担について格別の問題はないでしょうが、そうでもないと非常にややこしい問題が起きてくることになってまいります。
 また、自分も隣も境界の壁まで含めて住宅専有部分について損害保険を付している場合は、重複、つまり、超過保険になることも実際上起きるのではないか、と考えられます。いずれにしても、建物区分所有法の条文上も判例上も境界線がはっきりしているわけではないという現状において、こうした困った問題を避けるために、集合住宅の場合、法的には個人の所有部分と共有部分とに分かれてはいるけれども、端的に直視すれば一抹全体が共有物的性格を持っているのですから(一種の運命共同体)、戸別ではなく一抹全体という形で保険に加入するのが理想的であろうと思います。

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