マンション管理組合の法人化の問題

 現在、管理組合というのは、いったい法的にどこに根拠があるのだろうかなどということをよく聞かれるのですが、それというのは、建物区分所有法の条文を読み進めていっても、「規約」とか「管理者」という言葉はあっても、法文中どこにも「管理組合」という言葉がでてこないからであります。
 この点をめぐって、従来から二つの相対立した考えがだされておりますが、一つは、建物区分所有法では管理組合という言葉は一つも使っていないけれども、法律上、管理組合というものが当然存在するということを前提において規定かつくられているとする意見であり、いま一つの見方は、特に当事者が管理組合というものをつくらない限り、管理組合という組合は法律上存在しないのだとする意見であります。そしてこの二つの相対立する意見は、いずれも間違ったものとは現状ではいいきれないのであります。

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 その理由は、現在の建物区分所有法というのは民法と同じような一般法であって、原理原則だけを定めているものでありますから、その適用対象中には公団の分譲集合住宅や、民間の大手デベロッパーによる大規模な分譲マンションがあるかと思うと、都市再開発法に基づく各種の再開発ビルの区分所有があります。一棟二戸建てといったごく小規模の集合住宅まであらゆる建物区分所有が含まれているようなわけでありまして、大規模な集合住宅だけを考えた場合には、この法律の解釈は前者が妥当ということになりましょうが、とにかく小規模のものにもこの前者の見解を当てはめようとすれば、鶏を割くに牛刀を用う式の解釈になるからです。
 したがって、現実に即して妥当な管理運営をやっていくためには、私は結論的にいって民間大型分譲マンションとか公団、公社などの集合分譲住宅に関する特別の法律をつくらないことには、諸問題に対する根本的な解決は難しいだろうと思います。
 それはともかくとして、さきほど述べましたように、現行法の下においては積極的に管理組合の法的根拠をあげることはできにくいものがあります。しかし、それではまったく法的根拠がないのかといわれますと、現行法においても根拠はあるということができると思います。それはまったく大上段に振りかぶった大げさな言い方だといわれるかもしれませんが、いわゆる団体設立ないしは契約の自由が根拠であるといらことです。ただ、自由であるといっても、民法、商法は取引の安全という観点から、法人の設立に関してある一定の制限を設けております。
 ところで管理組合でありますが、その性質については、民法上の組合なのか、それとも権利能力なき社団なのかということで議論が分かれているようですが、最近の民法学説では権利能力なき社団というのは、慣習法上の法人と解釈すべきではないかとする意見がだんだんと有力になってきております。しかし、この見解は、まだ判例法では認めていませんし、仮に民法上では当然の法人と解釈したとしても、行政当局などの関係では、そうスムーズに法人として取り扱ってくれそうもありませんから、やはり、実際上は、積極的に法人化を進めていく必要があると思われます。そして、現行法では管理組合を法人として発足させることは不可能ではないにしても、普通の集合分譲住宅の場合、非常に難しい点もありますので、「法人化に関する特別法をつくろう」という声が最近各所からあがってきているのは、ゆえなしとしないわけであります。
 しかし現行法のもとでもある程度まで法人格を取得して活動することも不可能ではないと思います。例えば、金銭管理に関係することですが、各組合ごとになされている長期営繕費などの積立金、を信用組合法などに拠って一本にまとめ、相互融資をはかるなどして、より効果的な運用を考えていくという方向などです。
 ただ、法人格を取得するということは、必ずしもメリットばかりではなく、デメリットといういい方は適切でないかもしれませんが責任主体がはっきりしてくるという面もあることをひとことつけ加えておきたいと思います。
 つまり、法人格を持つということは、見方を変えれば責任の所在がはっきりしてくるということで、メリットは大きいと同時に共有物の設置、保存上の不備によって事故が起きた場合の被害者が、損害賠償の相手方として訴求されやすくなるということなどもあり得るのではないかということであります。

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