分譲マンション管理の対象

 建物の区分所有の場合におきましては、管理の対象となるものはなにかということなのですけれども、これもいろいろ理論的に説明をする場合、非常に難しい、言い方もあるのです。しかし簡単にいってしまえば、専有部分以外の建物部分、それから、その上の権利関係、そしてその敷地と敷地上の権利関係、それらがいわゆる区分所有における管理の対象ということになるわけです。
 ここでは、一応、専有部分は除外しました。というのは、専有部分は元来、区分所有者各自の管理に服しますので、そういう意味では管理の中に入るかもしれませんけれども、しかし、いわゆる共同管理には本来的には服さないわけでして、そうである以上、ここでの管理対象からは除いて考えたほうがよろしいのではないかと思われるからです。
 ところで、そもそもいったい、管理とはどういう概念かということでありますが、これは実は非常に多義的で、いろいろ考えられるのですけれども、ここではもちろん、分譲事業者がわが区分所有住宅の建設をして販売まで済ませた、「その後における管理」というように限定して検討することにします。

スポンサーリンク

 管理というのは処分という概念とどのように関わり合いを持っているのかということも、いろいろ難しく、議論しだしますと、なかなか果てしのない議論になりまして、この点に関し、法律上の定説がないといってもよいくらいの状況なのですけれども、一応ここでは、ごく常識的な意味で、要するに管理という概念には処分つまり管理のための処分を含むというように考えておくことにします。
 一体、管理の問題というのは、マンションを建設し、あるいは販売する事業者側にとってどういう意味を持っているのかということを考えてみますと、本来、理論的にはいま申し上げましたように、販売完了後のことがらですから、販売するほうにとっては、あるいは事業者側にとっては、直接的には関係のない問題、つまり購入し入居した区分所有者側にのみ関わりあることがらであって、事業者側は無関係だというようにも考えられないことはないわけです。事実、初期の頃にはそういう考え方がむしろ事業者側においては支配的であったのではなかろうかとみられているのです。しかしながら最近では、それはそもそも事業者側の問題であるというような問題意識が持たれるようになって、また事業者側のほうでもそのように考えているようで、それはそれで結構なことですが、しかしながら、だからといって管理の主体は事業者側であるわけはないのであって、管理の主体はいうまでもないことながら、当然区分所有者側です。
 したがって事業者側というのは、そういう区分所有者側の管理をいわば、お手伝いをするというか、あるいは管理についてはそもそも区分所有者側というのは一般的には素人なのだから、そういう素人をいわば対象に「管理というのはこういうふうにやるのですよ」ということを手ほどきするといいましょうか、そういうような立場にあるのではないかということがいえるわけなのです。
 ただ、お手伝い、あるいは手ほどきをしてやるということが、時たま行きすぎてしまったり、あるいは逆に不足だったりして、それが区分所有者側にとって大きな不満になったり、紛争の種になったりするということなのではないかと思うので、したがってけっきょく、事業者側が区分所有者側の管理の問題にどの程度まで関与すべきかということが、一つの大きな問題になって参ります。
 しかしながら、その点については実は別に法律上、決め手になる制度というものがないわけです。というのは周知のことだと思いますが、区分所有法をみてみますと、確かに管理に関していろいろと条文があるのですけれども、しかし、それらの条文はすべて区分所有者側が自らの責任において、自らのイニシアティブのもとに管理を行うということを前提に設けられているのであって、区分所有者側のそういう管理のおり方に対して、事業者側がどのようなかかわり合いをもち、法的位置付けにおかれているのかということについては、その法律の条文からは直接的にはなにも出てこないわけです。
 したがって、それはけっきょくなにによって決まるのかというと、もちろんこれもいうまでもないことながら、契約書によって決まってくるというように考えるべきだろうと思うのです。
 ですから、管理業者を含め分譲事業者側が区分所有住宅の管理にどの程度まで関与すべきか、あるいは関与できるのかというのは、すべて販売段階における、あるいは分譲段階における事業者側と購入者側の契約によって決まってくるということがいえるわけであって、それ以上のことは、ここでとやかくいえないようにも思うのですけれども、契約が明確でない場合、けっきょくのところ、どこまでできるかということは、抽象的にいえば、いわゆる「社会常識」によって決まるというようにいうより仕方がないわけなのです。
 考えてみますと、法律上の議論のときに、「これは社会常識だ」とか、あるいは「健全な社会意識が決定するのだ」等ということがよくあるのですが、これは聞きようによっては「逃げ口上」とうけとれるかもしれませんが、しかし、法律上の議論を詰めてみますと、どうもボーダーラインをどこで引くか、一義的にはっきり決められないという場合には、それは「常識」だというようなことをいって済ましてしまうというようなことがあるわけで、いまいったように、それを意地悪く聞けば「逃げ口上」だともとれるでしょうし、あるいは素直に聞けば、「それよりほかにいいようがないんだ」ということでもありましょう。
 ですからけっきょく、その辺のところで決めていくしかないわけですが、しかし、それにしても、その常識的に線が引かれるはずだということを、どのようにしてわれわれが「認知」するか、あるいは「キャッチ」するかということになりますと、これといううまい安直な方法があるわけではなく、要するに、それに関するいろいろな具体的、実際的材料を集めて、その材料からこの辺に線が引かれるのではなかろうかということを考える、あるいは検討するより方法がないということだろうと思うのです。

間取り
建物区分所有法/ 建物区分所有法の適用範囲/ 棟数と建物の区分所有/ 区分建物の占有部分/ 木質的専有部分と非木質的専有部分/ 建物部分としての供用部分/ 法定共用部分と規約共用部分/ 共用避難施設の区分所有/ 建物区分所有法の規定と敷地の権利の種類/ 分譲マンションの土地の区分所有の権利関係/ 分譲マンションの専有部分と共用部分に関する権利/ 建物の区分所有における管理/ 共用部分の共有/ 区分所有者集会/ 建物の区分所有の管理者/ 建物の区分所有の管理委託契約/ 建物管理委託契約の規約/ マンション管理組合規約の法的根拠と性質/ マンション管理組合規約の適用される範囲/ 瑕疵補修についての法的見解/ マンション管理組合の法人化の問題/ 分譲マンション管理の対象/ 分譲マンション管理の管理物件/ 分譲マンション管理の法制面からみた問題点/ 分譲マンション管理の管理体制/ 分譲マンション管理組合の設立と法人化/ 分譲マンション管理の対象物件の明示と区分/ 分譲マンションの共用部分の権利留保/ 分譲マンションの共用部分の専用使用権/ 分譲マンションの事業者と購入者間の問題/ マンション管理体制の設備と在り方/

       copyrght(c).間取りガイドドットコム.all rights reserved

スポンサーリンク

プライバシーポリシー