分譲マンション管理の管理体制

 管理体制については、現在いろいろ問題にされています。一つは、管理体制は一体誰がつくるのかという問題です。それは本来、理論的には区分所有者側、つまり購入者側がつくるべきものなのですが、しかし、それを購入の時点で購入者側かつくることは実際上きわめて難しいわけです。しかし、分譲マンションはそういう管理体制を伴わないでは、実際上、そこに居住し管理することができないところの一種の組織住宅なのですから、そういう管理体制をいねばセットして、それを事業者側が分譲するということは、社会的にも一つの責任として考えられておりまして、社会的責任ということは、つまり法律的な責任だというようにみてさしつかえないでしょう。したがって、具体のマンションについて、どういう管理体制をセットするのかということを、内容的に明確にその事業者側が示す必要が法律上あります。
 つまり、管理体制をセットすることは、本来、購入した区分所有者側の問題であるにしても、購入時点では区分所有者側は未組織集団ですから、当然、事業者側には、それをいわば代行する責務があり、そうである以上、事業者側は、予め分譲に先立ち、「このマンションには、こういう管理体制が最も適していると思います」といって、それを明示する法律上の義務があるということです。

スポンサーリンク

 それから、購入するほうはだいたいにおいて素人の集団なわけですから、教育、指導というか、あるいは啓蒙というか、とにかく管理の仕事に慣れてもらい、独り立ちできるように、ひっぱっていくということが事業者側に要求されているのであって、そのような点から、分譲完了後における管理についても、段階的に分けて考える必要があると思います。
 したがって期間的に一年がいいか、二年がいいか、三年がいいか、これはなかなか難しい問題ですが、しかし、いずれにせよ、ある程度、最初のうちは分譲事業者側が、いろいろ積極的に協力し、素人の集団であるところの区分所有者側が、早く、独り立ちできるように、いわばつっかい棒をしてやらなければならないわけです。
 ところで、その点で分譲事業者側が注意すべきことは、要するに最初の一年なり二年なり、われわれは面倒をみてやればいいのだな、あとは君たちがやればいい、こういうようなつっぱなした考え方をしてはいけないということです。
 これは、たとえていえば、親と子の関係みたいなものです。就学適令期の子どもが、最初小学校に入るに当って、公立にするか、私立にするか、あるいはどの学校に入れるかというようなことは、けっきょくは、すべて親が決めるよりしようがないわけでして、親が、いくら子どもに「おまえさんはどこの小学校がいいか、いってみなさい」などと聞いて、積極的に答えさせようとしても、到底まともな答が子どもから出てくるはずがありません。ですから、どうしても最初のうちは親がレールを敷いて、どんどんやって決めてやるよりしかたがない。しかし、小学校から中学校、中学校から高校、あるいは大学、さらに大学を出て会社へ行くといったようなことになれば、当然今度は子どもがその自主性によって、判断して決めるわけでして、自分だけの判断では決め難い場合もあるでしょうから、その場合には、親の意見を聞いたり、あるいは友だちの意見を聞くでしょうが、しかし、それは、あくまでも、自分で決めるうえでの参考にすぎないはずです。そのように、だんだんと手がかからなくなってくると同じことで、最初は積極的に事業者側がいろいろと管理の手ほどきをし、ある程度のところまでいったら、今度はもう離してやっても区分所有者側は自分でできるはずで、あとは、事業者側には原則として責任はありませんが、とにかく最初の数年間というものは、事業者側に以上述べた意味での責任はあるということがいえます。
 ただ、それに対して、「けれども現在、具体のマンションに入居してくる、あるいはそれを購入する区分所有者の実際をみてみると、何年たっても一人前にならないのではないか。だから少しオーバーにいえば、永久に半人前である。したがって、そうだとすると、いつまでたっても手がかかるということになる」ということを指摘する人がおります。ある意味では皮肉に聞こえるかもしれませんが、考えてみますと、確かに、そのような指摘がまったく的はずれということはできないでしょう。しかし、それについては、別途対策を講ずるとして、いずれにしても事業者側には、最初はそういうことで区分所有者側をひっぱっていかなければいけない責任がある。そこである程度のところまでいったら責任が切れ、そしてあとは区分所有者が自主独立、自己責任で管理していくということになるのではないかと思います。
 これは別に日本だけではなくて、諸外国でも似たような状況にあるのではないかと思うのです。ただ、国によって、いわゆる分譲マンションの分譲の仕方が違っていますから、一概にいえませんが、日本でよくアメリカの話が引き合いに出されるようですから、アメリカの区分所有の場合をみてみますと、日本のように青写真の段階というのでしょうか、つまり完成前に全部売り切れてしまうなどということは、めったにないのかもしれませんが、とにかく分譲を開始して、入居者、あるいは購入者がだいたい四分の三くらいになるまでは、もっぱら、業者が管理を積極的におこない約四分の三ぐらい売れた段階で、業者が事実上イニシアチブをとって、管理組合を発足させ、そこでもちろん規約もつくり、理事者なども選び、どこの管理会社に管理を委託したらよいかをセッションしアドバイスするというようなことで、あとは購入した区分所有者側というか理事者側と受託した管理会社との間で協議しながら管理していくといったやり方が行われているということのようです。
 実際にそのように行われているかどうか、よくわかりませんが、いずれにしても、なんら管理体制がセットされないままで、いきなり最初からほうりっぱなしというのは理論的に考えてもおかしなことで、きちんとした管理の橋渡しが分譲事業者側と購入した区分所有者側との間でおこなわれるべきです。ただ問題は、どこら辺でそれをおこなうかという時期あるいは方法だろうと思うのです。
 購入する立場からいえば、それはなるべくおくらせて分譲事業者側に従来どおり管理を続けてもらったほうが、いろいろと都合がよいということはいえると思います。
 しかし、これは反面から考えてみると、それだけ分譲事業者側はたくさんの経費を必要とすることになるわけですから、それは大きな目でみれば、やはりそれも分譲価格の中へ反映、あるいは投影してくるわけでしょうし、投影、反映させられないとするとその穴理めをどうするかということが大きな問題になるわけでしょうが、いずれにしても、やはりどこかで分譲事業者の管理に関する責任が消滅するものとするほかないし、また、それは当然でもあって、今後の問題は、どの辺で分譲事業者の管理に関する責任が消滅するとするのが両者の立場からみて合理的であり妥当であるのかということを検討していくことであると考えます。
 これは純法律論というよりも、実際的な観点からするところの政策的な問題ということかもしれません。しかし何年がいいということを一概にいい切れないところに、この問題の難しさがあるのではないかというように私は思うわけです。
 そこで管理体制の明示ですが、この管理体制の明示も、大会社の場合には、契約書、物件説明書などできちんとしていて、あまりひどいムチャクチャなことはないだろうと思いますが、しかし、さきほど述べましたように、事業者にはピンからキリまで非常にたくさんあるわけで、中には、いまだにおかしなものがかなりあるのではないかという気がしないでもありません。ただ、具体的にどこの会社がどうというデータを持っていませんから、なんともいえませんけれども、なにかそんな感じが政します。
 したがって、管理体制ないしその明示ということはやはり相当難しい問題で、単に、いわゆる行政指導だけでは片付かないようにも思われるわけですが、しかし、さればといって、どうしたらよいかということは、私は立法当局者ではありませんからわかりませんけれども、相当の強制力を伴ったなんらかの立法的な手当が必要ではなかろうかと考えられます。

間取り
建物区分所有法/ 建物区分所有法の適用範囲/ 棟数と建物の区分所有/ 区分建物の占有部分/ 木質的専有部分と非木質的専有部分/ 建物部分としての供用部分/ 法定共用部分と規約共用部分/ 共用避難施設の区分所有/ 建物区分所有法の規定と敷地の権利の種類/ 分譲マンションの土地の区分所有の権利関係/ 分譲マンションの専有部分と共用部分に関する権利/ 建物の区分所有における管理/ 共用部分の共有/ 区分所有者集会/ 建物の区分所有の管理者/ 建物の区分所有の管理委託契約/ 建物管理委託契約の規約/ マンション管理組合規約の法的根拠と性質/ マンション管理組合規約の適用される範囲/ 瑕疵補修についての法的見解/ マンション管理組合の法人化の問題/ 分譲マンション管理の対象/ 分譲マンション管理の管理物件/ 分譲マンション管理の法制面からみた問題点/ 分譲マンション管理の管理体制/ 分譲マンション管理組合の設立と法人化/ 分譲マンション管理の対象物件の明示と区分/ 分譲マンションの共用部分の権利留保/ 分譲マンションの共用部分の専用使用権/ 分譲マンションの事業者と購入者間の問題/ マンション管理体制の設備と在り方/

       copyrght(c).間取りガイドドットコム.all rights reserved

スポンサーリンク

プライバシーポリシー