分譲マンション管理組合の設立と法人化

 管理組合の設立の義務化という問題ですが、方向としては義務化すべきだろうと思いますが、ただ、義務化するといっても、どのように義務化するのか、具体的に考えてみますと、そう簡単な問題ではないということです。
 というのは、いったい、その義務づけをどの法律に求めるか、つまり、宅建業法上義務づけるのか、あるいは区分所有法上義務づけるのか、またあるいは、売買契約において義務づけるのか、さらに見方を変えていえば、私法上義務づけるのか、あるいは公法上義務づけるのか、いろいろなことが問題になってくるからです。
 それにまた、建物区分所有法というのは、非常に小規模なものから非常に大規模なものに至るまで適用される法律なのですから、なおさらのこと管理組合の設立を区分所有法上義務づけるということは、なかなか難しいようにも思われるわけです。また少数かもしれませんが、なかには管理組合を欲しない場合もないわけではあるまいと思うのです。例えば、戸数が三戸か五戸ぐらいでそれほど多くなく、それぞれのスペースがかなり大きいというような、いわゆるハイクラスのマンションというのか、デラックスマンションというのか、とにかく、そういったようなマンションになると、むしろ極端な場合を考えればルームサービスもあるなどということもあるわけでしょうから、そうなってくると管理組合があったほうがいいかどうかも、これは関係者の考え方次第です。のみならず、法律的にはいろいろなものがあってさしつかえないのではないかということもいえるわけでして、そうだとすると一概に建物区分所有法上管理組合の設立を義務づけるのがいいとばかりもいえないだろうということになります。したがって、義務づける方向がいいとしても、どのように義務づけていくかということは、やはりもっと十分に吟味してみる必要があります。

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 管理組合の設立の義務化とは次元を異にしていますが、これに関連して同時に、法人化という問題がよく議論されることがあります。そこで、管理組合の法人化の問題を考えてみることにします。管理組合を法人化した場合に、どういうメリットがあるかということについてはかなり検討されているようですが、しかし、これと並んで、法人化した場合にどのようなデメリットがあるのかということも実は議論されなくてはいけないと思います。
 ところで、デメリットの点ですがこの点については、これまでのところ必ずしもあまり突き詰めた徹底的な議論はされていないように思われます。しかし、いろいろ区分所有者などの話を聞いてみますと、デメリットというのはほとんど数えたてるほどはないのではないか。むしろメリットのほうがはるかに大きいということのようですが、そうだとすると、方向としては法人化するのがよいというように考えるのです。しかし、その場合、管理組合は、法律上当然に法人となるというように定めるかどうかは問題だと思います。
 民法では、相続人がいるかいないか、はっきりしない場合には、そのことがはっきりするまでの間、被相続人の遺産はそれ自体が一個の法人になるわけでして、これは理論的にいうと財団法人です。このように民法上自動的に当然、法人になるという場合があります。
 それと似たような考え方といえるかもしれませんが、分譲マンションの販売が完了すると、その時点で当然に管理組合が法人として組織されたことになるというように、いわば擬制するということも可能だと思うのです。
 あるいはまた、法人格取得の手続を踏んではじめて法人格が与えられるというようにすることも可能でしょうし、その他いろいろな方法が考えられます。ですから、管理組合を法人化するという方向で考えるとしても、立法的にどうするか、あるいは法制的にどうするかということは、法律技術的にみても必ずしもまだ明確ではなく、むしろこれから議論されるべき問題であるということがいえます。
 同時に、管理組合の設立を義務づけるにしても、あるいは法人化の方向でいくにしても考充ておかなければならない問題としては、区分所有者全員が常にマンションに居住し、またはそこを事務所として使っているとは限らず、ふだんは住んでいなくて、いわゆるセカンドハウスとして使っているとか、あるいは人に賃貸しているとかいうことも、少なからずあるということですし、また、最初は区分所有者が全員居住していても、年月が経つうちに、だんだんと非居住者が増えてくるといり傾向も実態調査によって明らかにされておりまして、これは日本ばかりではなくて諸外国でもそういう傾向があるわけなのです。そうだとすると、そういう居住していない、あるいは使用していない区分所有者のことも念頭において、設立の義務づけなり、あるいは法人化ということを考えていかないと、やはり実際上うまくいかないだろうということがいえるわけでして、この辺のことも今後の関連検討課題となるでしょう。
 また、管理委託契約ですが、管理組合がある場合はその管理組合と管理受託会社との間で締結される場合が普通のようです。
 管理組合がない場合は、実務的には二通りあるのではないかと思います。つまり区分所有者全員が一つにまとまって受託会社との間で一個の契約で契約するということもあるでしょうし、また、区分所有者各自が個別的に契約していくということもありますが、いちばん問題なのはあとの個別的に契約していくという場合に、法律上どのような契約関係と考えるかということであります。
 個別的に契約している場合は極端な場合を想定しますと、個々的に受託契約の内容、あるいは条件が変わってきてしまうおそれもあるわけなので、これは適当でなく、したがって、そうだとすると、仮に形式的には個別的に契約が締結されているにしても、やはり理論的には集合的、あるいは集団的に一個の契約で契約が締結されているというように考えていかなければおかしいのではないか、あるいはうまく処理できないのではないかということがいえます。しかも、これも実はほとんど従来、研究されていないといいましょうか、論じられていない問題なので、これも今後の検討課題ということになるでしょう。

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