分譲マンション管理の対象物件の明示と区分

 管理物件というのは、共用部分、共用施設、敷地のことですが、この種の物件は、本来、物件説明書とか売買契約書で正確に明示されていなければならない筋合のものです。ところが、分譲事業者のなかには、それをきちんと励行していないものもいるのではないかというように思われるのです。といいますのは、以前、銀座周辺の表通りのある文具屋さんで事務用品を買ったついでに、そこの契約書の書式を売っているコーナーで「分譲マンションの契約書」と銘打った書式(用紙)一揃い袋入りをみつけたものですから、なにかの参考にと思い、買い求め家へ帰ってから、中をあけてみますと、分譲マンションの売買契約証書がありまして、その一つ一つの条項の文章表現がよいかどうかは別として、いちばん奇妙に思ったのは、最後の物件の表示欄のところで、そこには、専有部分の表示偏があり、それから土地の表示偏と土地の持ち分の表示偏もあるのですが共用部分の表示欄がなく、また、共用部分の持ち分の表示欄もない、つまり共用部分に関することに関してはなにも記載欄がないという奇妙な契約書であることで、そういう契約書用紙が文具店で売られているということは、それを使ってマンションの分譲をしている業者がいるはずで、しかも、それが案外少なくないのではないかという気がするからです。これが杞憂であれば結構ですが、とにかく、いずれにせよ、やはり物件説明書とか、売買契約書で、以上のような共用物件の明示あるいは区分ということがなされていなければいけないことはもちろんです。また、共用物件については理論的にいうと、次のような問題があります。

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 共用物件のうちでも、とくに共用部分についてですが、これには、法定共用部分あるいは当然共用部分というのと規約共用部分というのがあり、前者つまり当然共用部分のほうは、物件説明書や売買契約書の中で、はっきり書けると思うのですが、後者つまり規約共用部分のほうは理論的にいうと、果して当然に書けるのかどうかは問題です。
 というのは、管理組合が設立されて、そこで規約がつくられ、その規約の内容で「これこれを共用部分とします」ということが定められて、はじめて規約共用部分になるわけで、それまでは規約共用部分というのは理論的にはあり得ないわけだからです。
 もちろん、このように言うことは、いわゆる規約共用部分を物件説明書や売買契約書に記載しなくてもよいという趣旨ではないのですが、記載するとして、それをどのように物件説明書や売買契約書に掲記するかは、考えようによっては非常に難しい厄介な問題であるということがいえます。
 従来のところ、実際的には、そういうことをあまり厳密に吟味せずに、共用部分を全部列記してきているようですが、しかし、それはそれでわからないでもないように思います。
 なぜかといいますと、建物区分所有法では当然共用部分と規約共用部分の区別というものを認めていますが、実際上、どのような共用部分が当然共用部分にあたり、また、どのような共用部分が規約共用部分にあたるかということについては、実は定説がないに近い状態だからです。やや詳言すれば、建物区分所有法三条一項で、「数個の専有部分に通ずる廊下、階段室」というのがありまして、それが当然共用部分のことであるということは、条文の文言上はっきりしていますが、それ以外の建物部分については必ずしも条文上明確でなく、したがって、学者によって、あるいは判例によって、いろいろな見解があるわけです。同じ共用部分でも、A説によれば、「それは当然共用部分である」ということであるのに、B説によれば、「それは規約共用部分である」、とか、あるいは「場合によって違う」とか、いろいろな説があって、判例も統一されていないわけです。
 そうだとすると、具体の場合に物件説明書、あるいは売買契約書の中で、どれが「当然共用部分」であり、どれが「規約共用部分」かなどということを区分けして書くなどということは、不可能に近いともいえるのであり、そこら辺のところはますますもって難しい問題なのですが、しかし、実際上、その区別についてまったく考慮しなくてよいというわけではありませんから、どうするかということは、契約書作成の技術的な面からいっても、あるいは法律の解釈運用の面からいっても今後に残された大きな問題であり、なんらかの立法的解決を必要としましょう。

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