分譲マンションの共用部分の権利留保

 分譲マンションにおきましては、建物部分には、専有部分として分譲する部分と、共用部分として分譲する部分、そして分譲事業者側が留保する部分、大きく分けて三つあり得ると思います。
 その三つのうちで、最もトラブルがおきやすいのは、分譲事業者が権利留保する建物部分ですが、それについては、そもそも、そういう分譲事業者側の権利留保の適法性、妥当性が問題となります。しかし、分譲事業者側の権利留保が違法か、適法かといわれると、それについてはやはり適法であるというか、あるいは、少なくとも違法とはいえないというふうにいわざるを得ないでしょう。
 けれども、それが妥当かどうか、あるいは適切かどうか、ということになってくると、問題のところであります。強硬意見の人にいわせると、「だいたい、事業者側が権利留保するなどというのは、もってのほかだ。そういうことは許されるべきではない」とか、あるいは「そういうことは認めるべきではないのではないか」ということなのです。そこまで、いまの法体系の上でいい切ってしまえるかどうかは、ちょっと自信はないのですが、本来、やはりそういうのはないほうが紛争がそれだけ起こらなくて済むわけですから、将来、取締規定を設けて取締るべきであると考えます。

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 分譲事業者側の権利留保には、二つの場合がありまして、一つは、たとえば住居専用の分譲マンションにおいて、住宅つまり、専有部分が一〇戸あるうちの二戸を事業者側が留保する場合ですが、この場合は、普通、それほど深刻な問題は起きないでしょう。
 しかし、そういう場合ではなくて、見方によっては共用部分かもしれない、あるいは専有部分かもしれない、どちらとも考えられる、また、その点について、従来、定説がないといったような非常に微妙なあるいはデリケートな建物部分について、それを事業者側が権利留保する場合は、それだけですでに大きな問題であるということがいえましょう。
 ともあれ、さきほども述べたように、ほんとは権利留保がないほうがいちばんよいわけでして、厳重に制限さるべきでありますが、仮にどうしても分譲事業者側の事情で権利留保分とする必要があるとしたら、それは疑義をとどめないように明確にされてなければならないと考えます。このことは、建物部分についてだけでなく、土地部分についても同様です。
 この点に関し、従来の売買契約書あるいは物件説明書をみてみますと、分譲事業者側が権利留保している場合に、それがどの建物部分であり、土地部分であるかということが記載されていなかったり、記載されていても、それがあいまいではっきりしないものが少なくないように見受けられるわけでして、もしもそうだとすると、それは法律上問題であって、どうして、分譲マンションの場合だけ、そういうことが許されるのかということなのです。
 われわれが普通、品物を購入する場合に、その品物がどういう品物であり、個数がいくつあるかとか、あるいは大きさがどれだけあるかなどということにづいて、はっきりと約束して買うはずです。売るにしても同様です。
 ところが分譲マンションの場合だけ、どうしてどこからどこまでの部分を売るのだということをはっきりしないままで売るのか。そこら辺からして、非常に問題だと思うのです。
 権利留保することは絶対にいけないということはいえないにしても、権利留保するのであれば、この部分は少なくとも売買の対象から除かれているのだということが、売買契約書、あるいは物件説明書の上に明示されていなくてはいけないのではないか、そのような明示をしないことにむしろ従来の事業者側の怠慢があったのではないかというように思われる。すべての事業者がそうであったというわけではもちろんありませんが、しかし、いずれにしても、従来、そういうことについて、売買の対象物件がなにとなにであるかということを必ずしも明確にしないままに、分譲マンショソの場合取引がなされてきたことが少なくないことは事実であり、これは奇妙な理解し難いことです。
 民法の立場からいいますと、だいたい、売買の目的物件をはっきりさせないであるいは、はっきりさせるつもりもなくて売買している場合、それはそもそも売買契約として有効とはいえないのではないかとすら考えられるわけです。このような考え方からは従来の分譲マンションの売買契約の大多数は、理論的にみて無効な売買契約というか、有効性に疑義ありといわざるをえないような感すらあるわけです。
 やはり従来、その点についての問題意識が低かったということが根本にあるのであって、実際的にも、また理論的にも関係者は真面目に考え直してほしいものだと思います。

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