分譲マンションの事業者と購入者間の問題

 事業者、購入者間の管理上の諸問題は、建物区分所有法だけでなく宅地建物取引業法も含めてそれらの法律の解釈運用が問題になるわけでして、しかも、そういう問題は主として建設販売段階において起きてくるということです。
 これに対し、購入者相互間の問題というのは、主として販売完了後の問題ということになります。しかし、従来、特に紛争が多発してきた問題の大部分というのは、実は事業者対購入者の問題でありまして、購入者相互間の問題というのは絶無ではないにしても、比較的少ないということがいえましょう。そればかりでなく、一見、購入者相互間の問題であるような形をとっていますが、実は事業者対購入者の問題であるということが実際上、少なからずあるわけですので、この点からしますと、一の問題と二の問題を裁然とおけることは、事実上困難でありますし、また、必ずしも適当でない場合も少なくないように思います。
 以上の点を踏まえて、現行法体系をみますと、事業者対購入者間の問題に関し、それを規制する法律として、建物区分所有法と宅地建物取引業法もあるのですが、実は、そのあり方が問題だということがいえます。

スポンサーリンク

 考えてみますと、事業者にとっていちばん関係の深い法律は、まずなんといっても、宅地建物取引業法であって、この宅地建物取引業法は、単に事業者だけでなく、事業者対購入者の関係についても規制しているわけですが、しかし、これを除くと事業者や事業者対購入者間の関係を主として規制する法律は、建物区分所有法ということになります。
 ところが、この建物区分所有法というのは、条文をよく読んでいただくとわかるのですが、区分所有者相互間の所有ないし管理のあり方をそこで規定しているのであって、実は現在の日本における分譲マンションの実態からいいますと、本来ならば販売完了後に適用されるべき法律であるということになろうかと思うのです。
 しかるに、形式的には販売段階から適用されてそこに問題があるわけです。確かに、分譲事業者は、販売開始の時点ですでに形式的には区分所有者ないしはその一人でありますけれども、しかし、それは法律上区分所有者であるというだけで、実質的には、購入する側にいる者とは全然立揚が違うのではないかと思います。事業者は区分所有者だとはいっても、売り物としての商品を管理するという立場の区分所有者なのです。
 これに対し、購入する者は、将来、それを転売するときには商品になるのかもしれませんが、少なくともはじめから転売するという目的で買う人はめったにいないだろうと思うのです。やはり自分が住む、あるいは自分が住まないまでも、だれかをそこに住まわせるということで購入するわけです。
 したがって、同じ区分所有者でも、事業者側はあくまでも商品管理者として、つまり売り物として価値が下がらないように、商品価値を保全し確保するという立場から区分所有者として商品管理をしているだけのことです。
 しかし購入する者は、そうではなく、生活財貨あるいは生活の揚として管理しているわけです。形式的には同じ区分所有者であるにしても、実質的にはまったく立揚が違っているのですから、その両方をひっくるめて、建物区分所有法という法律で規制しようというところに無理があるともいえましょう。
 ですから、建物区分所有法というのは、そもそも分譲マンションの販売完了後において、本来は適用さるべき、あるいはそれを予定している法律でありまして、そうである以上、それ以前の段階というのは、本来、建物区分所有法を適用するのは不適当であり、あるいは適用するにしても、それは当然適用でなく修正適用でなくてはならないということになります。
 諸外国の建物区分所有法を一概にいうことはできませんが、しかし、日本の建物区分所有法がモデルとしたドイツなりフランスなどの建物区分所有法では、分譲段階のこともさることながら、どちらかというと分譲のあとの管理ということを中心に規定しているように思われるのでして、分譲段階については建物区分所有法以外にも別にいろいろな法律による規制があるように聞いております。したがいまして、そのように区分所有住宅の法律関係というのは、二段階的になっているわけですが、本来、そうあるべきなのではないかと思います。
 ところが日本の場合は、建物区分所有法が分譲段階のことをほとんど念頭においていないというところに、そもそも大きな根本的欠陥かおるわけで、しかも、それが、宅地建物取引業法の不備と相幌って、よりその欠陥が拡大深刻化しているといってよく、法制上解決されるべき問題の根本はそこにあるといっても過言ではないと思います。
 したがって、今後における問題解決として、立法的にどうするのかは私にはわかりませんが、少なくとも実務の現段階における運用面でも、あるいは法律の取り扱いの上でも、先に述べたような二段階的な仕組みで考えていかなくてはいけないということだけは確かでありまして、それをどのように実務にとり入れ、法律解釈、運用に反映させていくかということが当面の課題であるといえます。ところがそれについてはほとんど従来、だれも指摘してこなかったし、また、あまり考えてもいなかったようでして、それがマンション紛争を多発させる結果となってきたということができましょう。

間取り
建物区分所有法/ 建物区分所有法の適用範囲/ 棟数と建物の区分所有/ 区分建物の占有部分/ 木質的専有部分と非木質的専有部分/ 建物部分としての供用部分/ 法定共用部分と規約共用部分/ 共用避難施設の区分所有/ 建物区分所有法の規定と敷地の権利の種類/ 分譲マンションの土地の区分所有の権利関係/ 分譲マンションの専有部分と共用部分に関する権利/ 建物の区分所有における管理/ 共用部分の共有/ 区分所有者集会/ 建物の区分所有の管理者/ 建物の区分所有の管理委託契約/ 建物管理委託契約の規約/ マンション管理組合規約の法的根拠と性質/ マンション管理組合規約の適用される範囲/ 瑕疵補修についての法的見解/ マンション管理組合の法人化の問題/ 分譲マンション管理の対象/ 分譲マンション管理の管理物件/ 分譲マンション管理の法制面からみた問題点/ 分譲マンション管理の管理体制/ 分譲マンション管理組合の設立と法人化/ 分譲マンション管理の対象物件の明示と区分/ 分譲マンションの共用部分の権利留保/ 分譲マンションの共用部分の専用使用権/ 分譲マンションの事業者と購入者間の問題/ マンション管理体制の設備と在り方/

       copyrght(c).間取りガイドドットコム.all rights reserved

スポンサーリンク

プライバシーポリシー