土地の明渡しの強制執行

金銭債権以外の債権についての強制執行のうち、土地についての主なものは、土地の引渡または明渡を目的とする執行です。引渡とは、たんに占有を移転することをいい、明渡とは、債務者が建物など物品を土地上において占有している場合にこれを収去または引き払って占有を移転することをいいます。これを目的とする債権の執行は、直接強制により債権内容の実現をはかるという方法で行なわれ、具体的には、執行官が当該土地についての債務者の占有を解き、債権者にその占有を得させることにより行なわれます。これは、債権者または、その代理人が受取のため出頭したときにかぎって行なわれます。執行の際に債務者が抵抗すれば、執行官は強制力を用いることができます。目的土地の上に動産のある場合は、その従物でないかぎり、これを取り除いて債務者等に引き渡しますが、目的土地上の不動産は、直接これを取り除くことはできず、別の債務名義にもとづき、代替執行の方法により収去したのち、引き渡さなければなりません。引き渡すべき土地が第三者の占有中にあるときは、執行裁判所が申立てにより金銭債権の差押に関する規定に従い、第三者に対する債務者の引渡請求権を差し押え、かつこれを債権者に移付する命今を発して、これを執行します。つまり、債権者は取立命今を得て、自己への引渡を求め、第三者がこれに応じないときは取立の訴えを提起し、この取立判決にもとづき、第三者に対し強制執行しなければなりません。

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保全手続は、権利の暫定的な保全を目的とするため、被保全権利の存在を一応認定したうえで、現実の保全処分がなされなければなりません。したがって、その手続は保全処分命令を求める手続と、保全命令を債務名義としてこれを現実化する手続との二段階に分かれ、管轄裁判所も、前者については仮差押裁判所、後者については執行裁判所と区別されます。しかし、土地に対する仮差押の場合には、両者を同一の裁判所が兼ねることから両者の申立てが同一書面でなされ、裁判所においても執行の目的財産を仮差押命令に特定掲記しています。また、保全手続はあくまでも将来の執行の保全を目的とするためであるため、保全命令手続における被保全権利の認定は暫定的であり、保全執行手続は原則として終局的満足の段階にいたるべきではありません。さらに、保全執行は、原則として債務名義に執行文の付記を要せず保全命令の言渡または告知の時から一四日以内に執行に着手しなければならず、かつ保全命令の送達前でも執行できます。
仮差押は金銭債権またはこれに転換しうべき債権について、その一般担保たる債務者の土地を現状のままに維持して、将来の強制執行を保全することを目的とします。仮差押をしようとする債権者は、仮に差し押えようとする土地の所在地を管轄する地方裁判所または本案の管轄裁判所に仮差押命令の申請を行ない、被保全権利、仮差押の必要の存在を疎明して仮差押命令をもらい、これにもとづき、執行の申立てを行ないます。土地に対する仮差押の執行申立ては仮差押命令を発した裁判所にこれを行ない、その方法には、仮差押命令を登記簿に記入する方法と、強制管理の方法とがあります。前者の場合、債務者の処分を禁止するだけで、換価は行なわれず、後者の場合、収益は供託されます。前述のように、実務においては、仮差押命令の申立てと執行の申立ては併合してなされ、裁判所も二つの命令を併合して発しています。
仮処分には係争物に関する仮処分と仮の地位を定める仮処分がありますが、いずれについても、仮差押の命令および手続に関する規定が準用され、したがって、強制執行に関する規定が準用される仮差押と異なる点を述べれば、仮処分命令裁判所は、原則として本案の管轄裁判所のみが管轄権を有し例外的に急迫の場合にのみ土地所在地を管轄する地方裁判所または本案の管轄裁判所の裁判長も仮処分命令を発することができます。また、仮処分の方法は裁判所が其意見を以て申立ての目的を達するに必要なる処分を定めることができます。ただし、申立ての範囲をこえることはできず、執行保全という目的達成に必要な限度をこえることはできません。執行の方法についても、強制執行に関する規定が準用されますが、土地につきよく行なわれる仮処分として次のものがあげられます。
所有権取得による所有権移転登記請求権あるいは登記の抹消登記請求権を保全するため、または、制限物権を被保全権利として、目的土地について処分禁止の仮処分がなされます。これは債務者は別紙目録記載の土地に対し、譲渡、質権、抵当権、賃借権等の設定その他一切の処分をしてはならないというかたちでなされ、その執行は、仮処分命令を登記簿に記入することによってなされます。この登記により処分禁止の効力が生じます。二重譲渡の場合に、買受人がいずれも登記を経由していないとき、譲受人の一方が売主を債務者として第三者への登記手続を禁じる仮処分ができるかについては判例、学説が対立しますが、最高裁はできるとしています。
土地の引渡請求権、明渡請求権、占有回収請求権の保全のためには、目的土地の占有を債務者から移転させないことが必要であり、そのため占有移転禁止の仮処分がなされますが、通常、執行官保管の形でなされます。仮処分命令では、目的土地に対する債務者占有を解き、執行官保管に付すること、債務者の使用許容、執行官保管の公示、債務者による占有移転、占有名義変更の禁止が宣言されます。執行は、仮処分決定にもとづき、執行官が公示書を当該土地に明白にわかるようにたてることにより行なわれます。
土地についての妨害予防請求権、占有保持の請求権を保全するために、立入禁止の仮処分がなされます。この命令は債務者は実力をもって、別紙目録記載の土地に立ち入ったり、債権者の右土地の使用および占有を妨害してはならないという形でなされます。仮処分命今は債務者に送達されますが、これを執行とみるか、立入禁止仮処分には、債務者に違反行為のないかぎり執行はないとみるか、説が分かれています。債務者が命令に違反して土地に立ち入ると、債権者は、代替執行によってこれを排除できます。
債務者が無権限で債権者所有の土地上に家屋を建てており、債権者がその土地を使用する必要があるという事情が十分疎明されている場合には、いわゆる断行の仮処分として、家屋収去、土地明渡の仮処分が行なわれます。仮処分命令では、家屋の収去と土地の明渡を命じますが、債務者がそれを履行しない場合には、債権者が、執行官に申し立てて家屋を収去させうる、とする場合があります。 

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宅地建物取引主任者/ 土地家屋調査士/ 司法書士/ 不動産鑑定士/ 賃借地上の建物の種類と構造変更/ 土地境界をめぐる紛争/ 土地に対する強制執行/ 土地の明渡しの強制執行/

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