不動産担保

不動産を債権担保の目的で利用する方法として民法が規定する典型的な形態には、留置権、先取特権、質権および抵当権があります。買戻や再売買の予約なども担保の機能を営んできましたが、取引社会では早くから譲渡担保が利用されています。そして近ごろは仮登記担保という方法が多く利用されています。また売買契約の際、売主が代金支払時まで所有権を留保するという約定をして、代金債務の担保とする例もあります。これらのうち留置権と先取待権は法律の規定から当然に生じるものであり、他は当事者の契約から生じるものです。不動産を担保とするには、債務者の所有するものばかりでなく、約定により第三者所有のものを利用することもできます。

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例えば建物賃借人が建物の修理などの必要費を支出した場合のように、他人の物の占有者がその物に関して債権を取得したとき、債権者は弁済期後債務全部の支払があるまで、目的物全部の引渡を拒むことができます。この効力は債務者に対してばかりでなく、第三者にも及ぶために、他の債権者が目的物に対する競売手続をした場合買受人は被担保債権の弁済をしなければならず、その結果留置権を有する債権者は事実上優先弁済を受けることができることになります。ただ留置権者には法律上優先弁済権がないものとされ、目的物について自ら競売の中立をすることができるかどうかについて争いがあったために、民事執行法一九五条はこれを認めましたが、この場合には目的物の留置をすることができず、他の債権者の配当加入があれば平等の割合で弁済を受けるにとどまります。
不動産の保存費、不動産工事の請負代金または不動産売買代金について債権を有するものは、当該不動産について先取待権を有します。ただし、いずれもこの先取特権を保存するためには、法定の登記をしておかなければなりません。先取特権 には、例えば不動産工事の先取特権はこれより先に登記した抵当権には優先しますが、不動産保存の先取特権には劣後するというように、先取特権の態様ごとに他の担保権との間で優劣の順位があります。しかし一般債権者にはつねに優先します。したがって他の債権者の申立によって開始された強制競売または任意競売における配当は、この順位で行なわれます。先取特権者は、自ら弁済を受けるために、任意競売の申立をすることができることはいうまでもありませんが、もし目的物が例えば第三者の放火などで焼失したようなときは、債務者の受けとるべき損害培償請求権または保険金請求権を差し押えて、先取特権の行使をすることができます。
不動産を担保として利用する場合の大部分は契約によりますが、これには不動産の所有権を設定者にとどめるものと所有権を移転する形式のものとがありす。
抵当権は、不動産を、設定者が使用収益しているままの状態で担保に供するものであり、このため不動産担保としては最も広く利用されています。抵当権には、根抵当権と呼ばれるものがありますが、これは継続的に銀行取引をするときなどのように、一定の範囲に属する不特定の債権を担保する場合に用いられるものであり、従来の慣行的制度を昭和46年の立法によって明確にしたものです。普通の抵当権は特定の債権を担保し、これが弁済されれば抵当権も消滅しますが、根抵当権は約定された極度額の範囲内で現実の債権額の増滅があっても抵当権の在否には影響を及ぼしません。
抵当権は、一つの不動産に順位を付して数個の債権のために設定することができ、一個の債権のため数個の不動産にこれを設定することもできます。また抵当権者は、その抵当権自体を、自己の債権のための担保とすることもできます。
抵当権者は優先弁済権、競売申立権を有しますが、抵当権の効力は、抵当地の上にある建物を除き、その土地に附加して一体となった物にも及び、土地に抵当権を設定した後設定者がこれに建てた建物は土地とともに競売に付することができます。抵当権で担保される範囲は、通常の抵当では登記せられた元本と利息のうち最後の二年分のみであり根抵当権では極度額の限度で確定せられた元利全全部です。目的物が焼失したりしたときの前叙の物上代位権は、抵当権者にもあります。しかし抵当権者は、まず抵当権の目的物からの弁済を受けなければならないという制約を受け目的物に設定せられた短期の賃貸借には対抗することができず、さらに目的物の第三取得者から一定額の金員を提供して抵当権の消滅を強いられることがあります。
抵当権の実行は民事執行法一八一条の規定に基づいて行なわれますが、これによる手続は煩瑣であるうえ、適正な価格で目的物を換価する期待がもてないという難点があります。
不動産質権は、債権者が質権設定者から目的不動産の引渡を受けることを効力発生要件とします。質権者は、目的物の使用収益をすることができますが、この収益と被担保債権の利息とは等しいものとされるため、債権者は特約がなければ利息を請求することができません。質権者は優先弁済権および競売権を有し、他の債権者の申立による競売の場合で、この申立債権者に優先するときは、買受人に対して、自己の債権の弁済を受けるまで目的物の引渡を拒むことができます。今日では、不動産質権が設定される例はないようです。
今日最も広く行なわれている不動産担保は、仮登記担保です。これは最高裁判例の積重ねによって理論的体系が整えられ、昭和53年仮登記担保契約に関する法律として立法化されたものです。これによると、仮登記担保には、債務者が期日に支払わないことを停止条件として、不動産所有権を代物弁済とする旨の契約をする場合、予約完結権を留保して代物弁済の予約をする場合および借入金の返済ができないときこれを代金とする売買契約を完結させる旨の予約をする場合等があります。いずれも目的物につき、契約の際、債務者から債権者に対する停止条件付所有権移転または所有権移転請求権保全の仮登記をするため、仮登記担保と呼ばれます。債権者は、債務者が弁済期に支払をしない場合、停止条件が成就した日、予約完結の意思表示をした日、または契約で所有権が移転するものとされている日の後、債務者または物上保証人に、目的物件と債務額との差額を清算金として通知しなければなりません。目的物の所有権は、その通知到達後二か月を経過してはじめて債権者に移転する一方で、債務者等は、債権者が清算金を支払うまでは、清算期間経過後でも、債務等の支払をして、目的物件の受戻しを請求することができます。他の一般債権者または後順位の担保権者が目的物に競売申立てをしたときは、仮登記担保権者はこの手続に参加して優先弁済を受けられます。
譲渡担保は動産について、その占有を債権者に移さないままで担保に供しうることにメリットがあるものとして発展してきましたが、不動産についても一般に利用されています。譲渡担保契約と同時に債権者に対して不動産の所有権移転登記をし、債務の支払のないときは目的物を換価し、または確定的に債権者の所有に帰属せしめられますが、債権者は清算をしないと目的物の引渡を求められません。また債務者は債権者が清算しないうちは、債務等の支払をして目的物を受け戻すことができます。
所有権留保とは物の所有権は売買契約と同時に移転することを建て前とするために、特約をもって代金の支払あるまで売主に所有権を留保することとし、代金の担保としようというものです。商品売買に多いのですが、不動産についても利用されます。ただし宅建業者が売主となって宅地または建物の割賦販売をしたときは、所有権留保は禁止されています。
買戻しと再売買の予約いずれも債務者が自己所有の不動産を債権者に売り渡し、既存債務と売買代金債務を相殺したうえ所有権移転登記を済ませ、これと同時に契約するものです。買戻は、移転登記に買戻の附記登記をしておき後に売買契約を解除するものであり再売買の予約は、当初の売買契約時にその予約をし後にその完結をしますが、登記は要件ではありません。買戻は期間10年を越えることができず代金および契約の費用を返還しなければならないものとされています。現在では、いずれもほとんど利用されていません。

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