不動産登記簿の調査

不動産物権の得喪変更は登記によって表示されることとなっているために、不動産を担保にとるときには土地登記簿または建物登記簿の調査をしなければなりません。これら登記簿には、不動産の所在地を管轄する法務局もしくは地方法務局またはその支局もしくは出張所に保管されており、誰でも手数料を払ってこれを閲覧することができ、また謄本もしくは抄本の交付を求めることができます。不動産登記簿には甲区欄と乙区欄とがあり、前者には所有権に関する事項、後者には所有権以外の権利に関する事項が記載されているために、目的不動産が債務者または覆保提供者の所有かどうかは、甲区欄をみれば分かります。

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担保契約の目的は、いうまでもなく債務者が支払をしない場合、当該不動産から他の債権者に優先して弁済を受けることにありますが、その優先権の順序は登記の先後によるために、債権者は乙区欄に他の債権者の抵当権の設定がなされているかどうか、その被担保債権の額、あるいは極度額がいくらであるかなどを調査する必要があります。ただし仮登記担保では、所有権移転請求権保全等の仮登記が甲区欄になされるから、この欄をも調査する必要があります。
債務者乙または担保提供者丁が不動産の所有者であるかどうかは、登記簿によって調査すべきですが、注意を要するのは、登記簿上所有者乙と表示されていても、その不動産が実体上乙の所有でないこともあるということです。日本では、不動産の登記は権利の得喪変更の効力要件ではなく対杭要件にしか過ぎないとされているために、登記簿の記載が実体上の権利をそのまま表しているとはいえません。よって債権者は、登記簿上の記載を調べるだけで終ってはならないのです。もちろん登記が対抗要件にしか過ぎないといっても、実体に合致しない登記はその対抗要件を具備したともいえないのですから、登記簿上に乙所有と表示されていれば、一般的にはそれが乙の所有であるといえるし、したがって登記簿の記載に一種の推定力はあることになります。しかし、この推定は反対の証明によって覆されるものであり、このことから、乙と取引した甲が登記簿の記載を信じたからといって、甲が担保権を取得するということはありません。動産については、契約の相手方乙が無権利者であっても、甲が善意無過失で契約したのであれば甲はその動差についての権利を取得することがありますが、不動産の取引についてはこの法理の適用はありません。なお建物については、滅失した旧建物の登記をそのまま新築建物に流用していることがありますが、このような登記は無効とされるために、注意を要します。
登記は担保権設定の効力要件ではありませんが、民事執行法は、担保権の実行には、その存在を証する確定判決または公正証書等がない場合登記簿謄本の提出を必要としたために、担保権設定の際はその登記をしておかなければなりません。他の一般債権者、後順位の担保権者またはその他の物権取得者に優先権を対抗するためにも、担保権設定の登記をしておく必要がある抵当権や譲渡担保などほとんどの担保権については本登記をしますが、仮登記担保については仮登記をするのにとどまります。一般に仮登記には順位保全の効力しかありませんが、仮登記担保権は抵当権とみなされ、仮登記のままでその優先順位を主張しえます。なお被担保債権が弁済によって消滅し無効となった抵当権の登記をその後発生した別の債権のため流用できるかが問題とされますが、流用のときまでに目的不動産に物権を取得した第三者があるときには、その流用は無効と解すぺきです。
不動産を他人に賃貸したままで担保に供すると、それが将来競売に付されたりしたとき、賃借人はその競落人などの取得者に対して賃借権を対抗できるため、目的不動産の換価が困難となり、したがって相当価格で換価できないことがあります。担保契約の際、担保物件の評価について、賃借人の有無は必ず料酌しなければなりません。
借地上の建物が担保に供され、債務不履行のためそれが譲渡または競売されると、敷地の賃借権は建物所有権とともに譲渡されたものとみられます。そして賃貸人の承諸を得ないで賃借権を譲渡すると、賃貸借契約は解除することができるために、建物の取得者は建物存立の権限を失うこととなります。債権者としては、債務者に地主の承諾をとりつけて貰っておくか、これに代わる裁判所の許可を得られる場合、これを得させておく必要があります。
例えば抵当権の設定されている建物が火災で焼失したとき、その所有者である債務者乙が丙保険会社と保険契約をしていれば、抵当権者は、乙の丙に対する保険金請求権を差し押えることによって、自己の債権の満足を受けることができます。債権者がこれに質権を設定していれば、丙から直接取立てができる ために、建物を担保にとるときには、乙に保検契約をしてもらい、これに質権を設定しておくことを要します。
債務者が担保契約をする不動産以外に財産がないようなときには、民法四二匹条により、他の債権者から担保契約を詐害行為として取り消されることがあります。また債務者が破産したとき、破産法七二条によって否認されることもあります。

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