共有持分の担保

共有は、例えば甲と乙とが共同出資して一筆の土地を買い入れ、共同でこれを所有するような場合に生じます。物の共同所有の形態には、共有のほかに合有および総有というものがあります。このうち総有は、共同所有者が団体的規制を最も強く受けるものであり、入会権がこの性質のものであるといわれます。総有の関係にある場合には、各共同所有者は持分を有しません。これに対して共有の場合の各共同所有者には持分があり、その権利は単独所有の場合と同じ性質、内容のものですが、ただ単独所有の場合よりもその分量、範囲が小さいのみであると考えられています。したがって共有者の一人甲が共有物全部の処分をするについては、他の共有者乙の同意を必要としますが、自己の持分を処分するには何人からの制約をも受けず単独でこれをすることができます。民法が共有だとしている主なものには、このほかに組合財産や相続人が数人居るときの相続財産がありますが、これらの所有形態は合有といわれ、総有と共有の中間よりもやや共有に近いものであるとされています。このうち組合財産については、各組合員は持分を有しますが、組合には組合員が共同して一つの事業を営むという共同目的があり、組合財産はこの共同目的達成のための一つの手段とされるものであるために、共同目的が終了しないかぎり各共同所有者の持分は団体的な規制を受けることになり、その処分は制限されます。例えば鉱業法四四条五項によると、共同鉱業権者は法律上組合契約をしたものとみなされますが、判例は共同鉱業権の持分については抵当権を設定することはできないとして、もし鉱業権持分の上に抵当権が設定されるとすれば、その実行により何人が競落するか予断しがたく、しかもその競落人は鉱業権持分を取得することにより法律上当然に組合員となることを強制されるものであるところ、このような結果は、対人的信頼関係を基礎とする組合の本質に反することとなるとしています。

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相続財産については、各相続人は分割まで相続分を有します。この相続分は、遺産の中の特定の財産に対する持分ではなく、積極財産のみならず消極財産を含む包括的な遺産全体に対する各相続人の分数的割合です。そして各相続人は相続分を自由に議渡することができ、譲受人は他の共同相続人に対して遺産の分割を請求することができることとなりますが、他の共同相続人は譲渡後一ヶ月以内であれば、相続分の価額と譲渡に要した費用を償還してその相続分を取り戻すことができます。この取戻権は形成権であって、それが行使されると、譲受人は当然にその相続分を喪失すると解されています。したがって相続分に対する担保権の設定は、このような制約の下に行なわれなければならないこととなります。
土地が甲乙の共有である場合、甲乙とも自己の持分を自由に処分することができる以上、甲も乙もこれに担保権を設定することは自由です。担保権の設定登記が各持分についてなされることはいうまでもありません。しかし例えば甲が共有地全部に担保権を設定するには、乙の同意を得なければなりません。もし甲が乙の同意を得ないで共有地に担保権の設定契約をしたときは、全部を無効とすべきか、甲の持分に対する部分は有効と解すべきか。判例では、抵当権の設定契約について、共有者全員の同意がない場合は同意のない共有者の持分を除いた部分に設定の効力を認めてよいとし、甲乙が共同相続した財産につき、乙が単独相続したとしてその旨の登記をしたうえこれを丙に仮登記担保とした場合、甲から乙丙に対しては、全部の抹消登記でなく甲の持分の範囲内での一部抹消登記をすべきものとします。次に、甲乙共有の土地のうち、甲がその持分に担保権を設定し、その実行がなされてこの持分を丙が取得したとき、乙と丙が目的物を共有することになることはいうまでもありません。もしもこのとき、共有地上に甲所有の建物があると土地の利用関係はどうなるかでは、判例では、甲が乙との共有地上に乙の同意を得て自己単独所有の建物を建築所有し、かつ土地の持分について抵当権を設定したが、その後抵当権の実行によって丙が持分を競落したという事案について、甲は共有地全部に対する法定地上権を取得したと解することはできないとして、その理由をおよそ次のとおり説明しています。元来共有者は、各自共有物について所有権と性質を同じくする独立の持分を有しており、共有地全体に対する地上権は共有者全員の負担となるために、共有地全体に対する地上権の設定には共有者全員の同意を必要とします。それゆえ地上権設定に同意を欠く共有者の持分については地上権を発生せず、民法三八八条のいわゆる法定地上権についても同様です。同条が建物の存在を全うさせようとする国民経済上の必要を多分に顧慮した規定であることは疑いを容れませんが、同条によって地上権を設定したとされる者は、もともと当該土地について所有者として完全な処分権を有する者に外ならないのであって、他人の共有持分に処分権を有しない共有者に、他の共有者の同意なくして地上権設定等の処分ができることを認めた趣旨ではありません。

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