建設中の建物を担保

日本の民法上の建物は、土地の定着物とされていますが土地から完全に独立した不動産であって、常に土地とは別個に取り扱われ、土地所有者がその地上に建物を有する場合にも、土地と建物は各列に所有権、抵当権等の物権の客体となります。したがって、登記制度上土地については土地登記簿が、建物については建物登記簿が各別に設けられており、一棟の建物として登記されたものが一個の不動産となります。そして建物についての物権の得喪変更は登記をしなければ第三者に対抗できません。

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不動産たる建物は、必ずしも完成した建物のみを指すものではなく、建築中の建物でも一定の段階に達すると独立の建物として取り扱われることになります。判例、学説では、建物であるか否かは社会観念によって決めるぺきで、必ずしも物理的構造のみを標準とすぺきではありません、つまり社会取引の通念に従い建築中の建物がその取引または利用の態様に応じて独立して建物の効用を有すると認められるか否かによって決すぺきであるとしています。日本式家屋についていえば、木林を組み立てて地上に定着させ、これに屋根を葺き上げたのみでまだ荒壁を塗る状態に至っていない状況では、まだ不動産たる建物とは認められませんが、屋根と囲壁を有する程度になると、床と天井ができていなくても、住宅用建物として独立の建物と認められます。登記所の取扱も同様です。したがって、建物が完成していなくとも独立の建物と認められる状況に達するならば、これを担保として融資が得られると、建物を建築するものにとっては好都合です。
前述したような標準によって、また独立の建物と認められない建築中の建物のみを目的として抵当権設定契約を締結したとしても、目的物が抵当権設定契約の対象たりうる不動産とはいえないために、抵当権としての物権的効力は生じません。しかし建築中の工事部分もやがて建物として完成するに至る工程中の物件といえるので、この抵当権設定契約についても将来の完成建物についてあらかじめ抵当権を設定する超旨の債権的効力を認めて差支えありません。したがって抵当権設定者がこの約束に反して建物が完成した後に他に対して改めて建物につき抵当権を設定するなどしてその登記を経了するようなことがあると、債務不履行責任を追及されることになります。ただその場合にも建築中の建物が独立の建物と認められる状況に至った段階において、あるいは建物が完成した場合に、この建物について保存登記をした上あらためて建物を目的とする抵当権設定契約をして登記を経ないと第三者に対抗できません。
土地所有者が、その地上に建物の建築に取りかかった段階で土地について抵当権を設定すると、建築中の工事部分は土地の定着物として土地抵当権の効力がそれに及ぶので、たとえ建築中の工事部分について先の債権的効力を生じる意味の抵当権設定契約を別個にしたとしても、契約の効力を土地の抵当権者に対抗することはできないので、工事段階で土地についての抵当権が実行されると、工事部分も一括して競売されることになります。ただ土地について抵当権を設定する場合、その契約中で地上に建築中の工事部分も抵当権の目的となることを約束しておけば、建物が完成し、あるいは独立の建物といえる状況に至ったとき、当然に土地の追加担保となります。その場合に、この関係を第三者に対抗するには建物について保存登記をした上で担保の追加申請をすればよいことになります。
建築中の建物が独立の建物と認められる場合、完成建物と同じ取扱となります。未完成建物であっても、最早独立の建物と認められる状況に至ると、これについて抵当権設定契約をすれば、完成建物について抵当権を設定した場合と同様に完全な効力を生じます。したがって独立の建物と認められる状況に達すれば、その建物の保存登記をして抵当権設定登記をすれば、その後で建物を取得した第三者が建物を完成したような場合にも、抵当権者は第三者に抵当権を対抗させることができ、土地についての抵当権が地上の建物に効力を及ぼすことのないことは当然です。
しかし未登記の建物についての抵当権設定契約は有効であり、かつ未登記の抵当権者でも抵当権の実行として競売の申立をすることができるために、独立の建物と認められる段階に至った建築中の建物について抵当権設定登記がなくとも同じ取扱となります。
建物を新築した場合の保存登記は、まず建物の表示の登記を行ないます。その手続は、申請書に建物の図面および各階の平面図に申請人の所有権を証する書面を添付して行ない、次に抵当権設定登記をする前提として保存登記をしなければなりません。その手続は、申請書に、申請人の居住証明書、印鑑証明書を添付して行ない、所有者が保存登記をしないときは債権者が債務者に代位して保存登記をすることができます。
物置、倉庫その他の附属建物を建築した場合は、登記手続においては主たる建物と併せて一個の建物として登記されていますが、実体法的には一個の建物であるために、独立の抵当権の対象となります。もっとも附属建物を新築した場合、主たる建物の抵当権の効力が附属建物について及ぶかについて、判例では当初附属建物についてもその登記をしなければ抵当権が附属建物に及ぶことを第三者に対抗することができないとしていましたが、後に抵当権設定当時の附属建物についてもまた抵当権設定後に附属させたものについてもいずれも建物抵当権はその附属建物に及ぶとするに至っているので、附属建物のみについて低当権を設定するためには、その分割登記をした上抵当権設定登記をしないと第三者に対抗できないことになります。

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