租税債権と担保債権の優先関係

租税債権は、強制執行や滞納処分において、競合する私債権に優先して満足を受けることができるのが原則です。これは租税債権の徴収の確保のために法が認めたものであり、租税債権優先の原則といいます。しかし、法は租税債権であっても、一定の担保権には劣後するものとし、租税債権優先の原則に制限を加え、私法秩序との調整を図っています。
納税者がその財産上に質権または抵当権を設定している場合には、租税の法定納期限等を基準として、その質権または抵当権がそれ以前に設定されたものであるときは、その質権または抵当権の被担保債権が租税債権に優先し、その後に設定されたものであるときは、租税債権が優先します。この法定納期限等とは、法定納期限その他法が租税と質権、抵当権等との優劣を決する基準時として定めた日の総称です。つまり、法定納期限とは、原則として、所得税法、地方税法等の各租税に関する法律の規定によりその租税を納付すぺき期限であり、通常はこれが基準時とされますが、租税が法定納期限の前または後に具体的に確定し、納税者その他の者がこれを知ることができるようになる場合には、その知ることができる日が基準時とされています。納税者の財産上に質権、抵当権等を設定しようとする者は、納税者に納税証明書の提出を求めて、設定しようとする担保権に優先する租税の有無およびその額を確認することができます。

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納税者が質権または抵当権の設定されている財産を譲り受けたときは、その質権または抵当権の被担保債権は、納税者に対する租税債権に優先します。質権または抵当権の設定者がその財産を第三者に譲渡するかどうかは、質権または抵当権者の予測し難いことであり、この場合にも法定納税期限等を基準として第三者に対する租税と質権、抵当権との優劣を決するものとするのでは、質権者または抵当権者に不測の不利益を与えることになり、不合理だからです。
租税に優先する質権または抵当権が根質権または根抵当権であるときは、優先する被担保債権の元本の金額は、その質権者または抵当権者がその租税に係る差押えまたは交付要求の通知を受けた時における債権額を限度とします。通知の時における債権額を超える元本額がその後に発生しても、超過部分は租税に劣後することになります。また、質権または抵当権が租税に優先する場合において、その優先する範囲は、法定納期限等以前または財産の譲渡の前に登記されていた被担保債権額または極度額に限られ、その後に被担保債権額または極度額を増加する登記がされた場合には、その増加した債権額または極度額については、その登記がされた時において新たな質権または抵当権が設定されたものとみなされ、租税に劣後することになります。
租税の法定納期限等後に納税者の財産上に質権または抵当権が設定された場合には、租税が優先しますが、この財産が他に議渡され、納税者の財産でなくなると、この財産から租税を徴取することができなくなります。そこで、納税者が他に租税に充てるべき十分な財産を有しない場合において、法定納期限等後に登記した質権または抵当権を設定した財産を譲渡したときは、納税者の財産につき滞納処分を執行してもなおその租税に不足すると認められるときにかぎり、その租税は、その質権者または抵当権者から、これらの者が譲渡財産の強制換価手続において、その質権または抵当権によって担保される債権につき配当を受けるべき金額のうちから徴収することができるものとされています。その徴収することができる金額は、質権者または抵当権者が配当を受けるべき金額から、その財産が譲渡されず滞納者の財産のままであったとすれば質権者または抵当権者が配当を受けることができたはずの金額を控除した残額を限度とします。
留置権が納税者の財産上にある場合において、その財産を滞納処分により換価したときは、留置権の披担保債権は、租税債権に優先します。
不動産保存の先取特権、不動産工事の先取特権、その他質権、抵当権に優先する先取特権が納税者の財産上にあるときは、その換価代金につき、その先取特権の被担保債権は租税債権に優先します。
不動産賃貸の先取特権、不動産売買の先取特権、その他質権、抵当権と同順位の先取特権が納税者の租税の決定納期限等以前からあるとき、または納税者がその先取特権のある財産を譲り受けたときは、その換価代金につき、その先取特権の被担保債権は納税債権に優先します。
納税者の財産に担保の目的で仮登記がされている場合において、仮登記が租税の法定納期限等後にされたものであるときは、租税債権が仮登記によって担保されている債権に優先します。つまり、その財産が滞納処分により差し押えられた場合に、仮登記担保権者が差押えをした税務署長等に対して仮登記の本登記手続につき承諾を請求するなど、仮登記に係る権利を主張することができません。
納税者がその財産を担保の目的で他に譲渡した場合において、租税の法定納期限等以前にその譲渡に係る権利の移転の登記がされているとき、または譲渡担保権者が租税の法定納期限等以前に譲渡担保財産となっている事実を証明したときは、その財産に対して滞納処分を執行することは許されません。しかし、登記が租税の法定納期限等後になされているときまたは譲渡担保権者が前記の事実の証明をしないときは、納税者の他の財産につき滞納処分を執行してもなお徴収すべき租税に不足すると認められるときにかぎり、譲渡担保権者を第二次納税義務者とみなしてその譲渡担保財産につき滞納処分を執行することができます。

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