抵当権設定後の再建築

滅失建物の再築の場合に限り、新築建物につき法定地上権は成立します。
民法三八八条が法定地上権の成立要件として抵当権設定当時その土地の上に建物が存することをあげていますが、その建物は競売時まで同一の建物として存続しなければならないかと言う点にあります。法文上は同一建物の存続は要件とされていません。制度の趣旨に戻って考えてみると、そもそも法定地上権の成立を認めた第一の根拠は建物の撤去によってもたらされる国民経済上の不利益の回避であるために、その趣旨からは旧建物でも新建物でも同様に残存されるべきです。また第二の根拠としての当事者の土地利用権存続をめぐる意思の推測と予期という面からみても、抵当権者は設定当時の建物が当然存在すべき時期までの土地利用権によって制限された土地の担保価値を把握したものであり、たまたま建物が滅失した場合には新築建物につき法定地上権の成立を認めても抵当権設定者の意思ならびに抵当権者の予期に反するものではなく、むしろ当事者の意思に合致すると考えられます。そして法文上でも、制度の趣旨からみても、再築建物につき法定地上権の成立を語めることが妥当です。なお、建物が滅失した場合に比較し、建物が朽廃した場合には、設定者の意思としても朽廃後の新築建物にまで利用権を認めてもらう意思であったとまで考える必要はなく、抵当権者の予期にも反することになるので、法定地上権を新築建物につき認めることはできません。

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古い判例には法定地上権の成立を否定したものも見受けられます。しかし、大審院昭和10年8月10日の判決では、建物の所有者としてはその設定と共に後日競売の場合に付、地上権者として土地の利用を継続し得らるべき地位を取得したるものと解すべきものなれば、当該建物が抵当不動産の競売前既に朽廃したる場合は格別なるも、然らざる限り、その所有者は仮令建物が滅失することあるも再築の上当該土地の利用を継続し来りたる以上、依然競売の場合に付地上権者と看侯さるべき地位にあるものと解すべし、として法定地上権の成立を認め、その後も同旨の判例が見出せます。この点については通説もこの判例と同様の理由で法定地上権の成立を認めています。
かようにして認められる再築建物の法定地上権の内容は再築前の建物を標準として決定されなければなりません。しかし前述のとおり、抵当権は旧建物の存在を担保価値算定の基礎として設定されたものである以上、それよって過大な負担を抵当権者に課すべぎではないからです。たとえば滅失前の建物が朽廃までさらに10年間の耐用年数があったと想定される場合には、仮にコンクリート建の建物を新築したとしてもこれに認められる法定地上権の期間は10年間に限定されるのです。
抵当権実行までに朽廃し、または朽廃すぺき建物を取毀して再築した場合であってはなりません。
再築は抵当権設定者によることを要せず第三者による再築でもよく、法定地上権を取得すベき家屋の滅失後そのまま土地を第三者に貸し、第三者が建物を建てたような場合にも法定地上権が認められます。再築建物にも法定地上権を認める根拠を、建物の存在することを前提に設定された抵当権は地上建物の利用権により制限された土地の価値を把握しているものであり、この範囲で法定地上権をできるかぎり認めることが当事者の意思に適するという点に求める以上、滅失後の再築をするものが誰であるかということは考慮の必要がありません。この点について判例は設定者が妻をして再築させ妻とともにその建物に居住するという特殊事例ですが法定地上権の成立を肯定しています。再築は競売が開始される以前になされる必要はなく、判例では、明確ではありませんが、昭和10年8月10日の大審院判決の趣旨からすると競売開始前に再築されていることが必要であるとしているようにも思われます。しかし土地に抵当権を設定するにあたり建物の存続を考慮して評価したことが法定地上権を認める根拠とすれば競売手続の開始までに再築されていることは必要ないということになります。この点に関しては維持すべき建物が現存しないことや競落人の地位を考えるとなお問題は残り今後の判例の集積の下で十分検討される課題です。

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