生活空間の多段階化

生活空間は、住居、居住地、都市、国土さらには世界に至る人間のあらゆる活動の場の総称です。しかし、私達は広大で無限につながる空間のなかを運動する微粒子のように不規則に遊動しているのではなく、一定の秩序をもった定住社会という生活空間をもっています。それらはマクロにいえば、アジアやヨーロッパとか、日本、近畿、大阪といった多段階の構成をもっています。さらにミクロに考えれば、北大阪とか南大阪、あるいは鉄道沿線ごとの区分も可能であり、地方自治体の行政区域や駅勢圏、さらには小・中学校区とか町内区、自治会といった最小生活単位にいたります。私達この多段階的な生活空間をどのように使い分けているのでしょうか。自給自足的な性格をもったかつての集落生活では、労働と消費、娯楽、さらに自治行政や相互抜助といった社会保証機能にいたるまでが、一つの独立した小コミュニティ空間に内臓されていました。今日の都市的な生活では、生活機能の著しい機能分化とそれらに対応する社会的分業サービスヘの依存がみられます。私達より大きな生活単位をつくり出すことでその集積を生かし、かつての小集落では供給できなかったより高次の教育、保健、文化、レクリエーション、行政などの社会的サービスを手に入れることができますが、一方で自給自足的なコミュニティでみられた日常的な小生活単位の機能のすべてが失われたわけではありません。高次の集積を必要としない義務教育、目常の消費やレクリエーション、あるいは近隣づきあいや自治会活動などは、より小さな単位で行なわれています。今日の都市人は、こうした居住地、職場、都市中心、広域圏といった多段階的な生活空間をその目的に応じて機能的に使い分けて生活しているところに特徴があります。

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間取り

多段階的な生活空間を、人々はどのように使い分けているのでしょうか。その空間システムの利用様式を明らかにすることは、地域計画や都市計画、様々な社会的施設のサービス網を計画する上で基本的に必要です。このために用いられてきた一般的な理論は、生活時間、空間の関係モデルです。例えば生活機能の一つであるショッピングにおいて、日常的に購入される雑貨や食料品は近隣の商店で問に合わせるが、より高価で選択性の高いものは体日に遠出してでも都心のデパートや専門店などで購入するとか、軽い傷の治療ならば近隣の珍療所に行くが、大手術となるとどうしても中央病院にたよらねばならないといった経験的な事実にもとづく段階構成論です。こうしたモデルの一つの例に国土構成案があります。これは日常生活圏のクラスター中心に過末中心を、週末生活圏のクラスター中心に月末中心を配置し、同様にして季末生活圏の中核として大都市を置くという多段階構成論を提示しています。つまり、時間、空間的に拘束された日常の労働日に比べて、週末さらに体暇といった生活のリズムは人々に行動の自由を与えますが、その行動頻度は遠出になるほど低くなるという素朴な事実にもとづくものです。この考え方は今日でも原則として通用しますが、都市と農村では利用パターンが異なり、また高速交通手段の発達やより高次の生活機能の充足に対する要求が増大するにつれて段階構成の内容が変化しています。また、生活の尺度も物理的距離でなく時間的距離へと移り変わりつつあるといえます。
生活の高次化、高速大量輸送手段による都市圏域の拡大のなかで、生活機能とその充足を可能にする社会生活集団との対応モデルを提案しているいま一つの例として、ダイナポリスモデルがあります。つまり、空間の最小単位を個人生活の場としての部屋におき、世界スケールの都市にいたる14段階の生活単位と地域社会集団のスケールとして8段階のコミュニティをもって人間定住社会の構造をモデル化したものです。都市の構造はその機能のハイアラーキーに呼応していなければならず、この機能のハイアラーキーは重要件に徒って最小の1から7の階緩まで存在し、未来はさらに、8以上の大きい階級が出現するであろうと述ベ、人口75人から750万人にいたるコミュニティの多段階権成モデルを示しています。
このように、土活空間の圏域は明らかにいくつかの結節点をもって段階的に拡大してゆくものです。その結節点とは、きわめて多様に分化された機能的な生活圏域の重なり合う中心です。つまり、教育、保健、消費、レクリエーションなどは、小、中、高、大の各学校や、診療所、地区病院・中央病院や、あるいは近隣店舖、地区中心、都心ショッピングセンターなどといったそれぞれの縦の線をもっています。
これら縦の線が近隣、地区、大都市圏といった各段階のコミュニティスケールを示す横の線で組織されているのが、機能的な生活空間の構造であるといえます。このような機能的段階構成における人口および空間の単位規模は、決して一定不変のものでなく、その地域がもつ自然的、歴史的性格によって、また生活様式、特に労働や消費様式の発展段階によって変化します。

間取り
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