居住の機能

生活空間の一つの段階としての居住地の機能は、単純に考えると労働力を再生産する家族生活空間、住居の外的環境であるということがいえます。今日の住宅は決して孤立しては立地することができず、社会的に供給される様々な施設サービスによって装備されてはじめて住居としての機能をもつわけです。これらのサービスの第一のタイプは、上下水道やガス、電力などのライフライン、道路や交通機関などの基本的な脈絡施設であり、第二のタイプは、居住者の日常生活における社会的、文化的生活要求を満たす施設です。特に居住集団の生活の根拠地としての居住地は、あらゆる年齢層の日常的な生活要求にこたえねばなりません。保育所、幼稚園、子供のあそび場、小学校や中学校など、何よりも幼児、児童の生活の場としての施設が中心となります。また、ホームドクターあるいは診療所など居住者の日常的な健康管理や軽い病気の治療サービスや、日常的な購買施設のサービスとかが必要とされます。居住者の文化的な生活機能を満たすものとして、集会所やスポーツグラウンドなども内蔵することが望まれます。今日、大都市の周辺で開発されている公共的なニュータウンとか大型団地では、おおむねこの程度の生活共同施設を装備することが基準となっています。

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間取り

居住地がどの程度までこれらの生活共同施設を装備するかは、単位となる居住地人口のサイズと居住者の社会的な生活様式の発展段階により規定されます。小さな単位の居住地では、一般に既存の施設を利用する以外に新しい生活施設を利用するだけの需要をまとめて経営することはできません。さらに大きな居住地、例えば人口が10万人以上のニュータウンになると、高校や大学、あるいは中心ショッピングセンター、文化センター、中央病院といった一般の中都市程度の生活、文化施設をもつ必要が生じてきます。
いま一つの要因である社会的な生活様式との関係についてみると、例えば主婦の社会的労働への参加は、これまで家庭内で行なわれていた先様な家事サービスを社会的サービスに置き換える傾向を生みます。その形態は様々であり、必ずしも施設要求にのみあらわれるものではなく、食事準備の労力を軽減するためには外食や半加工食品の利用、洗濯は電化と外注クリーニング、育児の一部は保育所にといったように、家事労働機能の社会化は、共同化や商品化を通じて住居の外部に分化してゆく傾向を示しています。それらの多くの機能は、これからの居住地において供給しなければならない施設やサービスに依存するものです。また、レジャーでも、家庭や居住地での生活時間が増加すれば、マイホームでは充足できない大人の文化活動やスポーツのためのレクリエーション施設が不可欠のものとなります。このように、居住地が居住者に対してサービスしなければならない機能は、生活様式の変化につれて今後さらにその多様化が予想されます。現代における居住地の問題は、こうした居住地機能の充実整備に対する居注者の要求が増大しているのとは逆に、施設やサービス、ことに公共セクターの供給が著しく立ち遅れ、要求と供給の間のギャップがかえって拡大していることです。こうした公共的居住地サービス行政の責任は一般に地方自治体にありますが、強度の中央集権制による地方財政の圧迫によって自治体の行政力は著しく低下しています。その歪みは、いうまでもなく住民たる居住者に皺寄せされざるを得ません。この点で、現代の自治体には、身近かな居住環境の悪化を防ぎつつ都市生活様式の発展段階に対応した日常的な生活施設サービスを実現するというきわめて重要な役割が課せられているといえます。

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