住宅と居住地

住居という概念は、住宅とそのまわりの環境を意味しています。これらの住居が集団をなし一つの地区的機能と環境をもっている場合、これを居住地といいます。居住地には様々な形態がありますが、何といってもその性格を決定づけているものは住宅とその集合形式です。居住地の性格は、住宅以外にも、居住者の社会的構成や立地位置、工場や事業所の混在の有無、日照や通風や公害や災害の有無、様々な生活サービスの良否といったものと無関係ではありませんが、今日これらの諸条件をもっとも集約的に表しているのが住宅の形式です。日本の庶民が住んでいる住宅の形式は実に多様ですが、その中から都市における典型的なものを拾い出してみると、戦前に多い木造の長屋住宅、戦後の木造アパート、立体木造長家である文化住宅、密集一戸建住宅、公営や公団あるいは社宅などの中高層鉄筋アパート、庭付一戸建住宅といったものがあります。その他、寄宿舎とか高級マンションとか大邸宅が挙げられます。これらの住宅は、多くの場合、タイプごとに集団的に立地しているため、住宅の形態はそれらの建ち並ぶ居住地の立地とか環境の内容をイメージさせるだけでなく、居住者の生活状態や社会的な階層構成などとも比較的よく対応しています。

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間取り

このような居住地の性格の違いがどのようにして発生してくるかを居住者が住宅および居住地を選択するメカニズムを通じて考えてみると、居住者が住宅や宅地を選択する場合、まず何よりも生計の資を得る職場への通勤条件が問題となります。職場の労働形態によって、労働時間の長い小売店舖とか自ら職場管理を行なわねばならない自営業主などの場合は、住居と職場を切り離すことが営業上困難となることも多い。主婦が就労している場合は、さらに通勤能力は低くならざるを得ません。このようにして、それぞれの家族の通勤限界に対応した圏域内で住宅を選択することが必要となります。いうまでもな く、通勤に便利なところには住宅需要が集中し、加えて宅地利用と商業とかサービスとかいった都市活動上の土地需要とが競合するため、高地価です。そうでない場合は、多くそれは公害とか災害の常襲地帯であるか社会的な生活施設が未整備で居住者はパイオニア的労苦に耐えねばならない土地かのどちらかです。その結果、一般的にいって、長時間通勤に耐えない階層になるほど、便利ではありますが、より高地価であり居住環境の劣ったところへ相対的に割高な住居費負担を払って住むことを強いられます。もし居住者の住居費支払能力が一定であるとすると、狭小過密であって居住環境が悪いが通勤限界内で供給される住宅を選択するか、長時間通勤という過酷な代償を払っても相対的によい住居と生活環境を手にいれるか、という苦しい二者択一を強いられます。より長い通勤限界をもつホワイトカラーや中高所得階層になると、たとえ長時間通勤ではあったとしても、家族とくに子供のために、また社会的地位のシンボルとして、よい生活環境を求めて郊外地を選択することが多くなります。このような需給の選択が蓄積されることで都市における様々な居住地の風格がつくられるのであり、それがまた新しく来住する人達にとって住みやすさの重要な選択要因として作用します。ただ、こうした選択の原則が必ずしもすべての場合について貫かれているとは限りません。それは、居住地形成の歴史的な段階により影響を受けます。例えば戦前に形成された居住地では、地代家賃統制令などによって家賃が低めにコントロールされているため、通勤、環境の条件変化にもかかわらず定着沈澱化の傾向が強く表れています。
このように、居住地は住宅形式を中心に、通勤立地条件、環境条件、施設条件などの組合せによって物的に類型化されますが、もう一つの問題は、そうした居住地の物的な条件を居住者がどのように意識し評価しているかにあります。なぜなら、居住地を改善し新しい居住地をつくり出す動機をつくるのは、居住者自身の持つエネルギーにほかならないからです。その意味で、様々な居住地における問題点と居住者の意識を明らかにしておくことは、住宅と居住地の関係を知るうえで大切な課題です。

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