ニュータウン

日本語として用いられているニュータウンとは、郊外の大型住宅団地という意味です。人口の規模からいうと、数万人から多摩田園都市のような新沿線開発型では数十万人に及ぶものがあります。その性格は計画的大型郊外開発といえます。大都市周辺の宅地難、特に公共住宅用地の入手が次第に困難になってきたことから、必要とされる大量の宅地供給を行なうために、これまで末開発であった地域に鉄道、幹線道路、学校その他の生活施設を含む大規模開発投資を行なって一挙に宅地化しようという試みです。先行的な開発資金の投入であるため、公共のイニシアティブによる計画的な開発が可能であり、何らの既存施設にも依存できないことから、従来の街路主義的な区画整理とはちがって、当初から高次の生活施設の計画的整備が必要となりました。供給されている住宅そのものは他の公共住宅や分譲住宅と変わりがないとしても、様々な日常生活施設、上下水道、公園緑地、専用歩道網など、これまでの日本の市街地にはみられなかった明るくて便利な空間がこの地区の特徴です。

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間取り

居住者は、一般に住宅規模の関係もあって若い世代の核家族が大多数を占め、立地条件からして中間層が集まっています。若い主婦の間では、集会所やセンターを利用して料理とか編物などの習い事や読書会、コーラスなどのサークル活動も生まれ、団地生活の自由な空気をつくり出しているように見えます。しかし、計画的に開発されたからといって、すべての生活施設が十分な水準に整備されているとはいえません。通勤の混雑、地区内の交通のサービスの低さは、他の郊外スプロール地と変わらず、日常消費施設の物価やサービス料ではかえって自然成長的に形成された地区よりも高く、消費競争も派手になって生計費がかさむといわれます。そのために近年では主婦のパートタイム労働も多くかつ共働き家族の比率も高いので、保育所難が大きな問題となっています。そこで、早朝出勤して既存市街地の保育所や職場の保育所に子供を預けたりするのですが、それにすら入所できずに低賃金の家庭内職に転じる人達も生じています。
同じ世代の若い家族が集まっていることは生活意識上共通のものがつくられやすいのですが、それだけにニュータウンは老人にとっては対応の困難な社会です。都市に住む老人も増加の傾向にありますが、人工的な環境、同年配の話し相手の不足、庭も土もない住宅など、ニュータウンの持つ合理性と単純性が一つの心理的な環境障害をつくり出しています。
何世紀もの長い間かかって成長とフィードバックを繰り返しながら形成されてきた町と違って、ニュータウンは内容の多様さとか変化に対する弾力性をもっていません。むしろ、入居した住民の変化する要求にこたえてフィードバックできない硬直性をもっています。この点で今日のニュータウンは、都市づくりという社会的な生活空間の開発というよりも、単なる住宅建設事業や都市建設事業の域を脱していないといえます。しかし、民間アパート街のような焼死の危険も浸水の悩みもなく、子供のあそび場、専用歩道、公園、緑地、上下水道などの現代生活におけるミニマムレペルの生活環境だけは保障されています。それだけに、住民たちは一旦獲得した生活の権利の上にさらに新しい生活要求の充足を目指す意欲をもっています。ニュータウンの生活施設アンケートでも、こうした状況の反映がみられ、より高次の都市施設として図書館や大人のスポーツ施設などの設置希望が上位を占めています。また、自治会や生活協同組合の活動、老人クラブの結成など、新しい生活組織の芽生えがみられ、保育所建設やショッピング改善運動を自治体や開発主体に対して行なう積極性をも身につけています。
ニュータウンは、公共的かつ計画的に開発された新しい居住地です。それは日本の都市空間の歴史に新しい1ページを画する試みですが、また住民の生活空間として日本の社会に十分に根をおろしているとはいえません。しかし、住民自身の運動の発展と自治体財政の改革によって新しいタイプの居住地として展開する可能性をもっている点では、現段階における先進モデルであるといえます。

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