日本の団地計画

戦前、戦後を通じて、日本の都市開発の歴史はまさに郊外スプロールの歴史でもありました。区画整理は、そのなかで零細に私的所有された土地に整然とした街路網をなんらの先行的な公共投資を行なうことなく生み出す手法であり、絶えざる地価の上昇を先取りしようという地主の期待と受益者負担による公共的には安上がりの都市計画を実現しようとする公共当局の意図のバランスの上に、日本において独自の発展をみたものです。区画整理によってつくり出された宅地の評価は、主に前面街路によって行なわれます。街路の広いことは、風通し、日照、アプローチの容易さといった居住性だけでなく、商店、工場など様々な用途利用の可能性を示すものとされました。区画整理は、街路主義の都市計画を実現する上で大きな影響力を及ぼしてきましたが、居住地の環境づくりという観点からすれば、過小宅地の形成とともに、区画がすめば空間利用は放任といういわゆる混合的土地利用による混乱を防ぐ上では十分な手法とはいえません。

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間取り

居住地をその建築や生活共同施設までふくめて立体的な生活空間の調和を整備しようという試みは戦前でもなかったわけではありませんが、日本に定着しはじめるのは戦後の公共住宅団地、公営や公団アパート群の建設を通じてです。そのスタートの意図は,いうまでもなく集団的な注宅建設であり、まず個々の住宅ユニットが持つ日照条件を確保するような建物の配置に重点がおかれました。ただ、こうした集団的建設を通じて個々の住宅環境を維持する上での団地空間が意識され、日照や景観を考えた棟の配置とか、歩道、植栽地などを屋外附帯環境として集団的に造成するという、区画整理よりは一歩進んだ居住地空間計画が表れた点は注目されます。
日本のニュータウンは、こうした小団地開発の経験蓄積から生まれた大規模な計画的郊外開発です。その誕生は純粋に新しい居住地づくりの意図からというよりも、大量の集団的住宅建設に必要な土地が既成市街地周辺ではもはや入手できなくなったという消極的動機にもとづいています。むしろ、都市的な諸施設がほとんど整備されていない外縁でのスプロールのためには必然的に先行的な都市施設や生活施設投資が必要となり、結果的に総合的な居住地づくりの条件が生じたというほうが正しい。人口規模にして数万人から十数万人に達するマソモス団地では、従来の小団地には必要でなかったより高次の生活施設、例えば、小、中学校、都市公園、ショッピングセンター、病院や保健所、市役所の出張所やコミュニティセンターといった施設が必要となります。また、それらの都市的な生活空間で営まれる社会生活の内容そのものが計画の基本的な想定となることから、ミクロな人口計画、社会計画の概念を導入することが不可欠となりつつあります。
今日までに計画され建設されてきたニュータウンは、環境や生活施設づくりでは従来の区画整理や小団地開発にくらべてはるかに高い水準の都市居住地をつくり出してきています。しかし、それはまた街路主義や住宅建設主義から完全に脱皮した総合的居住地、さらには都市づくりにまでは及んでいません。画一的で狭小な住宅や毎日長時間の通勤を必要とするベッドタウン的性格が、居住者の家族構成や職業構成に一般市街地とは異なる大きな偏差を与えています。また、居住者自らが参加することのできない短期間の建設主義が、その後の居住地の成長や管理に与える歪みも少なくはありません。ニュータウン計画レベルではコミュニティづくりの理念が唱えられていても、果たして今後の都市コミュニティ生活がこうした急造マンモス団地で充足されうるかどうかは大きな疑問が残ります。

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