住宅再開発

都市再開発といわれる事業には様々な意図をもつものがあります。中心業務地における大型オフィス街の建設、ターミナルの消費センターや小売商店街の整備といった都市産業の立地基盤の再編成上行なわれるものが主流をなしています。住宅を主にした再開発は特定スラムを対象とする公共的住宅改良事業や老朽公営住宅の建替え、さらに住宅公団や地方供給公社による市街地住宅とか面再開発などのかたちで、部分的かつ小規模に実施されているにすぎません。割高な市街地価格、錯綜している権利関係、それに日々悪化する生活環境が住宅開発にとって既成市街地の住宅再開発よりも郊外スプロールのほうを相対的に有利な市場条件においています。しかし、空間的にも通勤時間的にも郊外スプロールの限界が見えはじめ、かつ既成市街地の老朽化と環境悪化が進んでいる現在、これらを放置しておくことは問題であり、住宅再開発を職場と住居の都市的な再編成のテコとしようという積極論も唱えられています。

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間取り

自動車の氾濫、騒音と大気汚染の激化、日照障害、緑地の不足、どれ一つをとってみても既成市街地が居住地としてこのまま放任されてよいという埋由は見当たりません。しかもこれらの地域の居住者の多くは職業上、家計上の理由から郊外脱出が困難であり、いかに居住条件が低下しても住みつづけることを余儀なくされている人達です。そして、現在の居住環境の悪化は、もはや居住者自身の建替えや増改築といった個別的努力の限界をはるかに越しているにもかかわらず、住宅再開発が進行しない原因は、いうまでもなく居住者の家賃負担能力と再開発で供給される住宅の家賃との間に生じる著しいギャップであり、これを埋めるための公共的な住宅施策の欠除です。
現在の都市再開発は、これらの居住者にとって自らの意志により行なわれるというものは少なく、そのほとんどが外から強要されるものです。幹線街路の新設、払幅のために行なわれる都市計画や区画整理事業による立退き移転とか、あるいは大不動産資本による買占めとビル建設といった外的な条件が居住者たちを追い出し、彼らが形成してきた都市のなかの町を解体させる方向に押しやっています。今日、店住者がもしこの再開発に参加しているといえば、それはせいぜい反対運動や陳情や買収交渉を通じてでしかありません。このような再開発の原型は、アメリカにおける大都市中心部のスラム化とその結果としての都市行政支出の増大および固定資産税などの財源基盤の低下、あるいは都市のもつ産業基盤の低下に対する措置として生み出されたものであり、法的な権力による土地取用とスラム清掃およびその跡地の転売による民間オフィスや中間層のための民間アパート建設というパターンを持っています。
日本においても、近年こうした再開発のための公共権力の強化と民間大資本の進出の動きが次第に顕著になっていますが、こうした再開発方式は、大手の不動産資本にとって有利な制度ではあっても、居住地整備という面からみれば現居住者の追い出しとその外縁での混乱した市街地の再生産という結果をもたらすことはアメリカの例をみても明らかであり、再開発スプロールを既成市街地の上に展開するにほかなりません。このような動向に対して、既成の都市空間を大規模に再開発して新しい居住地に編成する試みはいまだ提案の域を脱せず、公共的な資金や制度の整備が著しく立ち遅れています。特に専用的な住宅地として建設される郊外ニュータウンの場合と違って、既成市街地の場合は中小の商店や工場が住宅と混在するいわゆる混合地域であるため、大規模再開発では、単に住宅建設事業にとどまらず、都市中小産業の再立地、再編成、都市的諸施設の並行的整備が前提となるため、事業はより総合的な性格をもたざるを得ません。この点で居住地としての都市再開発は、ニュータウンや郊外スプロールに比して著しく困難ではありますが、将来の重要な課題であるといえます。

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