農村集落の再編成

農村から都市への大民族移動が行なわれ、明日の農業経営の方向が定かでない現在、居住地としての農村計画の理念もまた流動的です。そして、人口とくに若年層の急滅、兼業や出稼ぎ、挙家離村により従来の農村生活を支えていた共同と連帯が崩壊していること、様々な社会的サービスの効率が低下していることの反面、農村生活水準の向上にともなって教育、保健、消費、レクリエーションなどに対する要求が大きくなり、居住地としての農村が果たしうる能力と居住者要求とのギャップがかつてなくひらいています。このギャップを僅かにカバーしているのが農村における交通施設の進行であり、人々は必要な高次の社会的サービスを近接の都市により多く依存することになる一方で日常的な生活単位としての集落のもつ意味が薄れてきています。将来の農村の形態を決めるものはなによりも農業経営そのものですが、都市にくらべて低密度に拡がった農村での日常生活の場をどのように計画するかもまた次に重要な問題です。理論上は、農家を農地に近接して分散配置し自家用車の利用によって中心的拠点に結びつける分散パターン、及び中心拠点に集中居住して農耕地に通勤する集中パターンという二つの集落構成方式が論議されています。日常的な生活の便利さ、ことに子供や幼児、老人などの生活を考えるとき、集中居住のほうが優れているとしても、平地村と山村で、農業と林業で、また経営方式の違いによって、必ずしも一律に論じることはできません。

スポンサーリンク
間取り

農村における居住地を計画的に整備する努力は、これまで道路、簡易水道、有線放送、公民館、季節保育所といった諸施設で部分的に試みられてきました。しかし、ニュータウン計向のように集落全体を大規模な公共投資により新開発あるいは再開発する試みは、特殊なケースを除けばほとんどありません。また、農業と農村社会の変化にともなって居住集落の再編成と整備が必要ではあっても、それを実現するだけの莫大な負担に耐えられる農家は少なく、農家改築に対する融資制度などを除けば、集団的な居住地づくりに対する公共的な制度、例えば都市計画法に対する農村計画法といったものの整備が行なわれていません。農村から大都市への向都民族大移動の結果予想される農業の再編成のプロセスで新しい農業集落をどう計画するかは、都市のコミュニティに劣らず重要な課題となります。しかし、いまのところ、私達は古い集落形態をあっさり否定できるような行政的、学問的、あるいは歴史的な経験と見通しをもっているか、望ましい、しかも間違いのない地域集落のパターンという問い答えられる実験の蓄積と計画理論はまだ生まれていないのが現状です。
明日の住宅、居住地,都市、さらには国土を生活空間としてとらえ改革してゆく行動の指針の原点となるものは、新しい生活像の確立です。生活空間もまた、そうした新しい生活を受け入れ成長させる物的基盤として開発され開発されてゆくことが期待されています。この点で、国土や都市の未来ビジョンとか長期構想に共通にみられる矢陥の最たるものは、発想の原点たる生活ビジョンが描き込まれていないことです。より高い生産力や科学技術の飛躍的な進歩を前提とする部分的な生活像はあっても、日々の労働の形態、暮らしの様式、レクリェーションの内容などを総合した生活の目標と様態について国民が実感をもちつつ予測体験し判断できるだけの生活ビジョンがどれだけ示されてきたでしょうか。生産労働の形態と職場が産業技術や生産力の発展にともなってどう変化するか、その場合、職場と住居の生活集団上の関係はどうなるか、また、家族生活や職場生活と地域生活の時間、空間、集団的な関係はどうなるか、生活時間のなかで教育やレクリエーションの占める比重が高まるとして、その利用の様式や空間はどうすればよいか、あすの生活空間を考える場合、これらの生活における基本的な関係を追求し、これを国土や都市、居住地という大小の生活空間に投影して、相互矛盾を見つけ出し総合化してゆく努力に乏しい点が、現在までの多くのビジョンに共通する欠陥です。
労働、体息、レクリエーションが精神的にも空間、時間的にも別個の生活として切り離され、自らの生活様式を消費産業によって外から組織されている今日の資本主義的な生活パターンを脱皮し、三要素の再結合と全人的な能力発展のための新しい生活様式の創造がよりも求めれらねばならなりません。住宅、居住地、都市、国土を含む全生活空間のシステムと環境は、そうした目標を達成するために再編成、再開発されるものであり、従束の生産一辺倒の視角に生活的視角を対置させ、そこでの生産空間と生活空間の新しい関係を確立することが求められています。とりわけ日本のような高密度居住社会においては、単純に生活空間と生産空間を切り離せばよいというわけではなく、それらの間の相互干渉をとり除きながら共用、併用、時差利用などを含めた新しい都市の形態や国土利用の方法を生み出してゆかなければなりません。

間取り
生活空間と住居/ 生活空間の多段階化/ 居住の機能/ 職場と住居の分離/ 住宅と居住地/ ニュータウン/ 居住地としての農村/ 日本の団地計画/ 住宅再開発/ 農村集落の再編成/ 居住地コミュニティ/ 生活環境の意味/ 自然環境の変化/ 人工的自然の形成/ 都市化と社会環境/ 人口の異質化/ 都市化と施設系/ 機関と施設の機能/ 都市住宅の立地条件/ 封建都市の住居地の特質/ 郊外住宅地の発展/ 零細長屋住宅街の発達/ 大都市圏の地域構成/ 居住地の型分け/ 居住地の型と居住者構成/ 居住者層の住要求の地域差/ 職住関係からみた居住地/ 不良住宅地区の規定/ 居住地の不良化の特徴/ 既往の都市計画の問題点/ 居住地改善の基本的方向/ 地域性と居住環境/ 居住環境の要素と条件/ 住居と健康/ 人工環境の影響/ 暖房と健康/ 人工環境の計画上の必要条件/

       copyrght(c).間取りガイドドットコム.all rights reserved

スポンサーリンク

プライバシーポリシー