人口の異質化

都市の人口は、製造業、公務、自由業、商業、サービス業などの第2次、第3次産業人口から成り、産業の高度化や技術革新に応じて、その職業の種類、労働の様式をますます複雑に分化させるに至りました。つまり商品の大量生産の進展、分配、流通機構の確立に伴い、まず大量の生産労働者や販売員、運輸労務者が現れ、ついで企画、管理、販売に関する事務労働者が出現しました。これらの私企業が、産業の高度化に伴って増加し巨大化するにつれて、公共的投資やサービス活動も活発となり、官公庁の組織も肥大化して公務員層の大群が登場してきました。また、金融、保険などの企業も大型化し、それらの従業員も増加しつつあります。消費市場の拡大と消費水準の高度化はまた、多くの娯楽、レクリエーション、消費産業、調査、広告、宣伝業、情報産業、教育、文化に関する諸活動などの企業化をうながし、これらの企業の従業員を次第に増加させるとともに、一方では、医師、弁護士、税理士、芸能家などのいわゆる自由職業家群を増大させています。

スポンサーリンク
間取り

上述した産業構成の分化と並行して、資本と経営の分離に伴い経営、管理層が細分化、専門化して頭脳労働の占める比重が高まること、技術革新に件い高度な専門、技術的職業がますます要求されてくること、生産の機械化、オートメーション化に応じて、筋肉労働の一部が次第に機械によってまた監視労働によっておきかえられつつあることなどの特徴が指摘されます。さらに伝統的職業の衰退とともに、新興専門的職業が出現してきます。そして、産業や職業、労働の多様化は、社会の階層構成をも細分化しますが、主として所得の不均衡や生活要求、文化様式の分化にもとづく階層分化も著しくなります。
大都市の人間、社会環境系は、様々な集団、地域、職業や労働の様式、階層の分化と多様化が進むにしたがい、多くの部分的、異質的環境系の分化をつくりだします。大都市の社会系が複雑な構造的、機能的分化をその内部に包含しているといわれるのは、このような事実を指しています。いわば大都市の社会環境系は、単純な一般化を不可能にしつつあります。多くの区分が、それぞれ異なった生活要求にもとづき異なった環境系をつくり上げながら相互に有機的な関係をもち合い、全体としてマクロな都市型の環境系を構成していると考えるべきです。
以上のような異質的なものの高度に相互依存的、有機的、動的な体系は、都市の高度な生産性をうみだす母胎ではありますが、それは同時に、様々なマイナス要因をうみ逆機能現象をつくり出します。人々の価値観や利害、感心は、全体として一致しにくくなり、連帯感情は次第に弱められてゆきます。生活関心の専門化や、私生活への感心の集中という傾向が生まれ、公共的無関心の態度が形成されることになります。他方では、個人的、集団的な利害には鋭敏で、その利益の実現のために無数の圧力団体が形成され、全体の利益を無視しても特殊な利益を実現しようとする傾向が強くなります。こうした傾向は、復雑な社会環境糸の構造、機能的な相互依存的全体性について、情報が相対的に不足し、人々の複雑な環境系についての視野が次第に限定されてくるためにひき起こされる現象です。このように大衆化した状況では、対立や葛藤の増大によって次第に民主的コントロールが困難となり、機能麻痺と非効率がもたらされるようになります。そして、一方では過激主義的イデオロギーを胚胎させ、民主的統制の機制を強力な全体主義的権力統制へと再編することによって解決しようとする意図をもうみだす母胎となっています。つまり大衆社会化した都市の環境系は、情報の氾濫時代といわれながらも、実は共同体的体制に比べれば相対的情報不足がつねに進行しつつあります。いずれにせよ、その自動制御機制の回復のための都市計画としては、広義の社会教育、広報、新しい立法、研究調査等への社会的投資が科学的に企画され、新しい価値や規則の創造が意図されなければならないと思われます。

間取り
生活空間と住居/ 生活空間の多段階化/ 居住の機能/ 職場と住居の分離/ 住宅と居住地/ ニュータウン/ 居住地としての農村/ 日本の団地計画/ 住宅再開発/ 農村集落の再編成/ 居住地コミュニティ/ 生活環境の意味/ 自然環境の変化/ 人工的自然の形成/ 都市化と社会環境/ 人口の異質化/ 都市化と施設系/ 機関と施設の機能/ 都市住宅の立地条件/ 封建都市の住居地の特質/ 郊外住宅地の発展/ 零細長屋住宅街の発達/ 大都市圏の地域構成/ 居住地の型分け/ 居住地の型と居住者構成/ 居住者層の住要求の地域差/ 職住関係からみた居住地/ 不良住宅地区の規定/ 居住地の不良化の特徴/ 既往の都市計画の問題点/ 居住地改善の基本的方向/ 地域性と居住環境/ 居住環境の要素と条件/ 住居と健康/ 人工環境の影響/ 暖房と健康/ 人工環境の計画上の必要条件/

       copyrght(c).間取りガイドドットコム.all rights reserved

スポンサーリンク

プライバシーポリシー