大都市圏の地域構成

昭和30年頃、日本の資本主義経済は、戦後復典と新たな発展への地盤団めを終え、重化学工業を中心とした高度成長期に突入していきます。以降、現在にいたる期間には、産業、人口の急激な大都市集中が起こり、大都市地域が加速度的に膨脹し、その地域構造や都市生活様式などにきわめて劇的な変化があらわれてきました。第1に大都市周辺臨海部における重化学工業地帯の形成がみられます。戦前の軽工業中心の工業からの脱皮、国際競争への対処、工業の大型化を促す技術の蓄積等にもとづき、この時期に大型重化学工業中心の産業構造への転換が強行されました。その先端をきるのが、鉄鋼、石油コンビナートの形成です。原料はほとんど国外に依存するので、輪送費節約から大消費地立地が求められました。しかし、基幹産業が立地するためには、産業基盤の根本的変革が必要となり、工業用水や電力の確保、輸送道路網の拡充を目指した大規模公共没資がすすめられました。

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間取り

第2に都心業務地区では企業本社機構が集中して高層オフィスビルの建設が活発となり、土地利用の高密立体化が進行しました。産業の成長とともに、金融資本の支配はますます強まり、支店網を全国に張りめぐらしますが、それに比例して管理中枢機構は高度化、膨脹化しました。金融資本の集中は、これに関連する保険、不動産大資本の集中を促し、都心の事務所集中が激化しました。
第3に主要交通機関の結節点としての副都心における百貨店、マーケット、興業、風俗営業施設等の集中による盛り場の肥大化が指摘されます。資本間取引の競手激化による社用族の増大、都市居住者の高度大量消費とマスレジャー需要の増大につれ、職、住の分岐点にあたり大量の郊外居住人口が集中するターミナル周辺に商業、レジャー大資本が集積し、一大消費地を形成しました。
第4に自動車交通需要の爆発的増大と基幹道路網の拡充整備による都市構造の変化が顕著となりました。産業の高度成長は必然的に輸送需要を激化させましたが、同時に、その成長の機軸である自動車工業資本は自動車の大量販売に必死となり、その結果、乗用者需要の急激な増加をもたらしました。そのため、高速道路網の整備や駐車施設の確保等が債極的にすすめられました。
昭和30年代は、日本の住宅問題が都市問題化した時期であるといわれています。これは、産業の急速な発展の矛盾が生活空間に集中的に顕在化し、その結果、多角的にあらわれてきた都市問題と住宅問題とが結びつき生活空間の混乱を深めたことを意味します。この高度成長期には、膨大な人口の大都市集中をみました。昭和30年から40年にかけての東京50km圏、大阪50km圏の人口の絶対増は、それぞれ560万人、290万人でしたが、その過半数は社会増てあり、農村からの労働力移動がその主体です。大都市圏においては当然著しい住宅不足があらわれましたが、それは戦争がもたらした莫大な住宅難が解消されていないところにさらに上積みされたのです。しかも、都市居住者の住居状態は、都市圏全体の地域構造が大きく変容する過程で激しく捜乱されるにいたりました。大資本の競合によってすすめられた恣意的な地域独占とそれを補完する産業基盤整備の強行の矛盾が、生活空間全体の質的低下をもたらしたのです。
物理的な面からみた矛盾のあらわれは、第1に土地利用の混乱があります。都市の外部経済を少しでも有利に吸収しようとする資本の立地の無政府的競争が居住空間を食い荒らしていく結果、商業地、工業地と住居地とを明確に分離することができなくなり、都市機能の著しい低下をまねいています。日本の都市の特質である産業の二重構造、土地所有の零細性という条件のもとでは、高度成長は大資本の中小企業支配網を一層拡大させ、資本集中に起因する地価高騰は土地利用の零細化をさらにおしすすめています。そのため、都市内の一般住宅街を零細事業所が次々と食いつぶし、住宅と事業所が稠密に入り混んだ地域を払大しています。
第2に居住環境の悪化が深まっています。大気汚染、河川の汚濁、振動や騒音などが、産業の集中の矛盾として多角的にあらわれてきました。また、地盤沈下による浸水家屋の増大、交通事故の増加、産業活動の直接的影響あるいは産業基盤整備の脆弱さに起因する災害、事故の多発する条件が広がってきています。しかも都市改造のための公共投資は産業活動の体質改善にのみ集約されて、生活関連施設の整備は著しい立遅れをみせ、通勤交通難や教育、文化、社会福祉施設等の不足といった自体をもたらしています。このような状況下での大都市圏の居住地形成の動向は、既成市街部の零細混合地化と周辺部のスプロール化という点に要約されます。労働者の密集している既成市街地は、下請工業、家内工業、内職労働が住戸の全部または一部の転用という形ですすめられ、住居と事業所の混合が拡がっています。また、地価の著しい上昇のため、個人住宅や公共住宅の宅地取得が困難となり、地価が安ければどこでもよいということで周辺の低湿地や遠郊の丘陸地の宅地化が進行し、都市圏膨張に拍車をかけています。膨大な持家の潜在需要を背景に、ただ建てればよいという安上がりの零細建売住宅地が自然や埋蔵文化財を破壊しながら拡がっています。
戦後の居住地形成は、混合化とスプロール化が強まる中で、戦前とは異なる独自の居住地の型を創り出すことができませんでした。ただ、公団住宅を主とした大規模郊外団地において、集合住宅と一連の生活施設整備がすすめられ、生活の共同化を基調とした新しい都市生活の場が形成されつつあります。

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