居住地の型と居住者構成

居住地の型分けにしたがい、都心からの距離によって規定される地域別にその典型的な居住地の型を掲げ、それらの居住地の居住者構成や住居集団化形態の特徴をみることにすると、都心商業地区として都心地区は、業務地区としての専用化が顕著にすすんでおり、そのため常住人口の滅少が目立ってきていますが、卸売商店街に代表される併用住宅地区が都心における典型的な居住地区として指摘されます。住宅は一戸建持家と店舗併用住宅がほとんどであり、鉄筋コンクリート3階建以上のものが多く、また改築が盛んで、住宅形式は多様です。土地利用の立体化によって商売の規模を拡張する方向にすすんでいます。家族構成は、住み込みを別にすれば、大家族は少なくなっており、核家族化がうかがわれます。

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間取り

都心住宅地区は専用商業地区化がすすんでいる都心地区において、専用住宅地区として存在しているものには、非戦災老朽長屋地区と、これとは対照的に、近年建設されるようになった高層共同住宅地区があります。前者は都心の発展からとり残された哀徴地区で、住宅の老朽荒廃化、世帯の老齢化、職業の雑業化がすすんでいます。後者は公団の市街地住宅にその典型がみられ、居住者は高収入の管理者層で、世帯規模が小さく、子供のない世帯が概して多いのですが、将来の都心住宅の方向を示唆しているといえます。
周辺部混合住区は周辺部は全体として土地利用の混合の度合が強く、混合のタイプは商工住混合地区と工住混合地区に分けられます。1区画あたりの宅地規模が零細であること、店屋や町工場や住宅が複雑に入り組んでいる点が、地区構成上の持徴です。また、非戦災地区か戦災地区かによって、地区の居住者構成や住居形態は著しく相違します。非戦災地区では、戦前建築の2階建長屋、重ね建長屋が主であり、老朽化の傾向が強い。居住者層では、老齢人口の比率が高く、家族型も多様化しています。これらの地区は、工場公害等による居住環境の悪化が著しいのですが、一方において、長年にわたる居住者の生活経験が蓄債され、生活に便利な住みやすい環境をつくりあげています。居住者の日常生活は職住一体的で、就業層は自宅近傍に職場をもつブルーカラーが多い。主婦の内職やパートタイム就業も盛んです。混合住区では、住居形式は雑多で、長屋建、重層建、木賃アパート、文化住宅などが混在しています。居住者としては地方から流入した労働者層の結婚による定着が多く、家族構成は全体として若く核家族化の傾向が強くなります。近隣関係は稀薄です。生活に追われている低所得層が多く、主婦の内職などは活発で恒常化しています。
周辺部における専用住宅地区もその地区の性格が大きく異なります。非戦災地区の住居形式は2階建長屋が一般的で、買取り持家層が多く、世代家族の比率が高く、年齢分布においては老人層が多いため年齢構成図は煙突型になっています。居住者層は、社会階層的にはホワイトカラーが主となっています。一方で戦災を受けた専用住宅地区は、一戸建、長屋建、木賃アパート、文化住宅が混在する形となり、住宅地としての景観はまとまりを欠いています。労働者住宅街としての性格が強く、世帯主の職業は肉体労働者が圧倒的に多く、年齢は30歳代が多いのですが、割合いひろがりがあります。核家族が主で、相対的に若い世帯が多くなっています。
縁辺部住宅地では縁辺部は、大きくみて、既成市街地の膨帳の最前線に当たる地域(外縁地区)と、市内地区で従来宅地化から取り残されていたところを埋めていく地域(内縁地区)とに分けられます。前者は、一般に大規模な開発形態をとり、急速に市街化される場合が多い。供給される住居形式は、木賃アパート、文化住宅、零細建売住宅に限定されるとみられます。これら地域での住宅需要は、地方から都市に流入してきた中小企業従事の独身者で結婚する時期がきたという層に多く、公共住宅に申し込んでも容易に当たらず、といって郊外にでていくことは就業条件、経済条件から制約されるといった事情をかかえています。そして、独身または新婚層は民間アパートに、これらの層に予供ができると文化住宅に、また子供が成長するとかやや経済的に余裕ができてどうしても持家が欲しくなった層には建売住宅がというように、需給関係が対応しています。居住者層は相対的に若く、世帯主年齢も30歳代が多く、その中でも民間アパートや文化住宅が多い地区ほど年齢構成は若く、文化住宅や建売住宅の比率が高くなると年齢構成も相対的に高くなります。内縁地区は外縁地区に比べて地価がすでに上昇してしまっているため、開発の規模が小さく、またそのテンポも遅くなります。街区形成は、既存の住宅地を基調として、これに民間アパート、文化住宅、建売住宅あるいはマンション等が雑多に付加していくプロセスをとり、概してまとまりのない街区ができ上がっていきます。居住者層は、供給される住宅が多様であり居住機関がまちまちであるのに対応して家族構成、年齢構成にかなりの幅があり、また職業構成もブルーカラー層が多いのですが雑多です。
郊外における典型住宅として、大正から昭和初期にかけて電鉄会社が開発した住宅経営地があります。計画的に開発され、1筆当りの住宅規模が大きく、当初から高級住宅地化をねらっていました。したがって、居住者には戦前から居住している層が多く、また世帯規模が大きくて子女が成長した家族が多い。社会階層としては著しく高く、世帯主は管理職や専門技術職従事者が中心となっています。しかし、一部には、戦後、居住者が没落したためか、社宅、寮に転用されている例がみうけられるのも、この地区の一つの特徴です。郊外住宅地の発展は、これら電鉄経営の高級住宅地が核となってその周辺が自然膨張的にスプロールしていった場合が多い。これらの地区の居住者は夫婦と学齢期の子供からなるホワイトカラー層が中心となっています。
住宅団地・ニュータウンは鉄筋コンクリート造りの中層共同住宅が建ち並ぶ団地で、戦後に形成された住宅地の型です。公営住宅を中心とした初期の小規模のものから、近年における様々な供給形式を混合した人口十数万人に及ぶ都市的規模のものまでみられますが、居住期間、供給形態の差異が団地居住者層の性格の差異を規定しているとみられます。入居期間の短い団地においては、居住者構成は供給形態別でほとんど差異はなく、まず年齢構成において、世帯主年齢30歳から34歳、主婦年齢25歳から29歳、それに4歳までの幼児層にピークが集中する家族周期の若い世帯が圧倒的に多い。しかし、収入、職業、学歴などについては住宅階層差が顕著です。大別して、公団、公社層は高収入、高学歴のホワイトカラー層が多く、公営1種、2種層は相対的に収入、学歴が低く、肉体労働従事者の占める割合が高くなっています。居住期間の長い団地になると、家族規模の若干の膨帳、家族型の多様化が認められます。また、公団、公社層における上層の持家化による住替え、公営層における収入の増大と居住者のホワイトカラー化の傾向がみられ、公団、公社、公営の住宅階層差が接近してきます。団地においては近隣関係が緊密でないことが問題とされますが、居住期間が短く居住世帯に若い層が多いところでは、たしかにそのような傾向がみられますが、それは団地に限らず、同じような条件の民間アパート密集地域等においてもみられる現象です。

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