居住者層の住要求の地域差

現住住宅に対する不満の有無をみると、住宅事情の客観的差異にあまり関係なく、不満を訴えている層は高率です。住宅に対する諸要求は、住宅状態が向上するとともにそれに対応して発展していくものとみるべきです。現住住宅についての不満の内容は、住宅に関するものと環境、立地条件に関するものに大別されますが、各地区共通して特徴的な点は不満理由が住宅条件に集中していることです。郊外住宅地では、住宅事情が比較的良好であるにもかかわらず、住宅狭小、間取り不便などを訴える層が多い。鉄筋コンクリートアパートでは、住宅狭小に対する不満が特に高くなっています。縁辺地区、市内混合地区になると、他地区に比し環境不良についての不満が多くなりますが、住宅不満型に比べてそのあらわれ方は小さく、都市居住者は、住宅を環境形成の一環として把握する態度が伝統的に欠けていましたが、その一端がここにあらわれているとみられます。

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間取り

居住者の居住地選択の傾向をみると、現住地に対する定着型は、郊外住宅地で一番多く50%から70%を占めているのに対し、鉄筋コンクリート入居者層は現住所を仮住まいと考えている層が多く、その比率も10%前後と低い。しかし、市内涅合地区や禄辺地区では、特に町工場などが多くて環境の著しく悪い地域を除いては、現住地を生活に便利で住みやすいところと評価している層が多く、定着型の比率が高いことは注目すべきです。向心型つまり都市内居住型と離心型の差異をみると、郊外住宅地から都市内への住替えを希望する層はきわめて少ないのに対し、より郊外へ出たいとする層が2割前後みられます。公共住宅では離心型がやはり多くなりますが、市内地区、縁辺地区になると向心型と離心型はほぼ同率で2割前後です。大まかにいって、ホワイトカラー層は、より郊外への居住を希望しているのに対し、ブルーカラー層は、現住地での生活のしやすさや職住近接の就労条件などのため定着型、向心型の居住地指向が多くなります。
住宅所有に対する居住者の指向について、持家か借家かという点とその選択理由を組み合わせて傾向をみると、地域別、住宅階層別にかなりの差を示しています。郊外住宅地では、持家であれば安心感があるということから、持家を指向する層が約半数あります。公共住宅入居層では指向がかなり分かれるようですが、その中では、住居の質的水準が比較的高い公団、協会住宅において、便利で楽しい生活を第1に考えるという借家指向層が一番多いことは注目されます。市内地区、縁辺地区では持家安息型が一番多くなりますが、これらの地区には低質であるにもかかわらず高家賃の住宅が多いことからみて持家経済型の比率が高いのもうなずけます。社宅においては、鉄筋コンクリート等が給与されている場合は、少なくとも現状において住宅に対する心配は少なく、したがって借家合理型の比率が高くなります。このように、居住者の現住住宅への不満の悪し方、居住地の指向、住宅所有の考え方などは、生活条件、住宅条件、環境条件等に制約されつつ、顕著な差異をみせています。都市居住者には一般に郊外の庭付小住宅にイメージされるような持家指向が多いといわれていますが、現実の居住者の住要求を分析してみると、そのような指向層は一部であって、その要求には現在の住居状態をどう改善するかと関連して地域差、階層差がみられます。

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