職住関係からみた居住地

職場と住居の分化およびそれにもとづく通勤流動の発生は近代都市の所産ですが、近年における産業構造の高度化状況において、都心一郊外という形の職住分化はますます顕著になりつつあります。そこで、居住地の性格と構成を明確に把握するためには、職住関係からみた居住地の型分けを行なっておくことが重要と思われます。都心区においては、流出率が10%から25%と低いのに対し、流入率は70%から85%の高率におよんでいます。これらの地域においては、極度の事業所の集中がすすんで住居が排除されているため、流出より流入が圧倒的に多い吸引型の地区となっています。ついで、準都心区、都心隣接区、臨海工業区、周辺地区において、流出率が20%から45%、流入率が40%から70%のオーダーで一つのグループをなします。人口吸引の傾向は、都心地区に比しては低下しますが、依然高くなっています。商工業と住宅が混在する混合地区であるため、事業所の集中度に比例して流入率は高くなり、流出要因としての専用住宅が増加するほど流出率は増大します。一般的には、都心周辺の混合地区の流動の傾向は、流出も流入も多く相互流動的である交流型の地区とみられます。

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郊外住宅地にあっては、流出率は40%から50%、流入率は10%から40%の範囲に分布します。このうち純住宅地においては、流出率は60%以上の高率を示します。これらの地区は、住宅が多く商工業の事業所が相対的に少ないため、流動の性格は人口排出型です。ただ、高校、大学等が比較的集中していて学園住宅地的性格が強いところでは、通学人口の地区外からの流入が高くなり、50%近くの流入率を示しています。大都市から遠隔で交通の不便な純農村では、流入率は10%以下です。流出率は10%から45%の広範囲に分布していますが、就業、通学人口の絶対値が少ないので、流出者のわずかの違いが比率上では大きな差となってあらわれるためと考えられます。一般に純農村地区の流動は停滞型であると規定できます。
最後に、工業都市、衛星工業都市、地方行政中心都市、農村中心都市が、一つグループをつくっています。これらの地区は、純農村に比べて流入率は若干高いのですが、流出、流入とも割合に少ないことが特徴的です。これに該当する地区は、大都市圏における影響を受けながらも、工業、行政、農村などの地域中心的な機能をもっている都市です。つまり、これらの地域では、居住者は主として自市内に就業、通学し、他地区からの流入は少なく、地域全体として自足性が高いといえます。
以上をまとめると、流動の型として、吸引、交流、排出、停滞、自足の五つのパターンが規定でき、それに準拠した地域分けが可能です。最もはっきりした対比を示すのが吸引型の都心地域と排出型の郊外住宅地であって、この2地域を軸とした求心、放射的な地域流動形態が他の形熊を派生せしめているといえます。今日においては、都心と郊外を両極とした流動の偏在化がいっそう強くなりつつある点が問題です。

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