居住地の不良化の特徴

居住地の不良化を規定している要因として第1に、都市底辺層の増大がみられます。不良住宅居住を生み出すもとになるのは生活の貧困化ですが、貧困が集中的に顕在化する層としての都市下層の動向をみると、近年その絶対量が増大しています。生産労働者のうちの中、上層も大幅に増大していますが、都市下層の比率を減少させることなく、むしろそれを土台として拡大していることが問題です。若年労働者の技能労働者化と対比的に、都市下層の非熟練労働者化がすすみ、特に中高年齢層の雑役人夫層を多量に産み出しています。そして、産業の再編成を通じて就業者の分化は階層的分極化の方向にすすみ、各階層間の流動がなくなり大企業従業員の場合でも日雇いの場合でもほぼ就業形態は固定化しています。つまり、底辺層が多量に析出、沈澱しています。

スポンサーリンク
間取り

第2に、住居状態の階層的分極化がみられます。都市上層の住居状態は持家化によって次第に改善されてきており、特に昭和40年頃からは持家建設戸数が借家建設戸数を上同るという傾向がみられるのに対し、下層においては低質借家居住を余儀なくされ、きわめて低い住居状態にすえおかれています。例えば1人当り畳数の推移をみても、持家層は戦前を上回る水準になっていますが、大都市地域の4割を越す借家世帯の1人当り畳数は3.30畳であり、昭和16年の借家平均3.36畳を依然下回る状態です。終戦直後の混乱期に建設された質の悪い住宅は建替えを必要とする時期にきている。また、大都市の縁辺部において大規模に建設のすすんでいる木賃アパート、文化住宅、零細建売住宅は、低質粗悪で不良住宅の拡大再生産につながるものが圧倒的に多く、住宅需要調査によると、住宅の設備、構造、間取り等に不満を訴える層は増大しています。
第3に、新たな形の生活窮乏化があらわれてきています。資本主義経済の発達は次々と新しい耐久消費財を普及させ、高度消費生活様式を国民各層に定着させていっています。耐久消費財のデモ効果は下層におけるほど影響が大きく、これらの層に対しては、商品の主体的選択態度を矢わせ、なし崩しに浸透していっています。耐久消費財のストックの更新、拡大は、住居平面の狭小化を促進し、住生活の混乱を一層助長しています。容易に購入できない層は、月賦や借金に依存してまで購入をはかる結果、絶対的に乏しい家計はよりアンバランスなものとなり窮乏化を深めています。見かけの生活革新が居住状態の実質的低下をもたらす現象が、都市下層に鋭くあらわれてきています。
第4に質本制的土地利用高度化の圧力の激化による居住地の解体、不安定化が強まっています。経済の高度化は、都市の土地利用をより取益性を高める方向に向かわせます。都心における業務施設の集中立体化、周辺における工業地化等がすすめられる過程で、都市底辺層の地域生活は絶えず圧迫を受け、やがては排除されていきます。産業の二重構造は一層固定化してきており、大資本の地域独占が進むとともに中小企業の混合密集による土地利用混乱も深まっていますが、これらは第1節において混合地域の問題としてみたとおりです。また、都市機能の低下を克服しようとする都市改造、都市整備が産業中心にすすめられるため、都市下層の居住地の生活圏を破壊し住民の社会的分離をひき起こしています。
第5に公害の多発化による居住環境の悪化があげられます。公害が集中的にあらわれている地区は、従来の不良住宅地区概念ではとらえられない全く新たにあらわれてきた不良住宅地区です。

間取り
生活空間と住居/ 生活空間の多段階化/ 居住の機能/ 職場と住居の分離/ 住宅と居住地/ ニュータウン/ 居住地としての農村/ 日本の団地計画/ 住宅再開発/ 農村集落の再編成/ 居住地コミュニティ/ 生活環境の意味/ 自然環境の変化/ 人工的自然の形成/ 都市化と社会環境/ 人口の異質化/ 都市化と施設系/ 機関と施設の機能/ 都市住宅の立地条件/ 封建都市の住居地の特質/ 郊外住宅地の発展/ 零細長屋住宅街の発達/ 大都市圏の地域構成/ 居住地の型分け/ 居住地の型と居住者構成/ 居住者層の住要求の地域差/ 職住関係からみた居住地/ 不良住宅地区の規定/ 居住地の不良化の特徴/ 既往の都市計画の問題点/ 居住地改善の基本的方向/ 地域性と居住環境/ 居住環境の要素と条件/ 住居と健康/ 人工環境の影響/ 暖房と健康/ 人工環境の計画上の必要条件/

       copyrght(c).間取りガイドドットコム.all rights reserved

スポンサーリンク

プライバシーポリシー