居住環境の要素と条件

都市における居住環境を考えるとき、日本では居住環境を産業環境とは別の対立した要求であるかのように取り扱う向きもあります。はなはだしい場合は、一方的に産業開発が何よりも優先するという極端な考え方もみられます。しかし、本来、地域計画、都市計画、環境計画またはそれらの開発の重点は、経済的、社会的、物理的な全人間生活の開発にあると認められています。つまり優れた計画とは、土地利用、大気、水その他の自然資源の利用によって経済および社会開発の調和をはかるばかりでなく、広くすべてにおいて均衡ある発展を目的とすべきものです。都市開発の目標は、広義の公衆の健康開発計画にあるといっても差し支えません。つまり市民の肉体的、生活心理的および社会的観点に立った福祉を目的とすべきものでなければなりません。したがって、都市開発者は、このような広い意味の健康開発者でなければなりません。

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世界保健機構(WHO)の憲章における健康の定義では、健康とは病気でないという消極的条件を満たすだけではなく、積極的に全大衆社会環境内におけるあらゆる健康的諸要素を含んだものを意味しています。日本はWHOの憲章ができた後に加入したのですが、このような広い健康についての理念を強く深く保持しているかという点については、はなはだ憂うべきものがあります。地域、都市、生活環境、住居に関する開発にあたっては、このような健康観にもとづいて、私達は深く探求し計画し実現する意気込みをもたねばなりません。近代福祉国家の環境計画は、このような理想を実現しようとする各種の分野の協力によって可能となるべきものです。つまり市民の健康環境とは、産業発展を推進するために必要不可欠の条件であり、かつその結果の享受でもなければなりません。これは近代国家が等しく目指すべき目標です。経済計画だけでは不十分であって、経済繁栄とは公衆衛生、住居、教育およぴ社会保障などの社会開発を伴うことを必要条件としているのです。
以上は、WHOの地域計画および開発における環境衛生的側面という報告の思想です。日本は、昭和30年以後、高度成長期に入って、世界第1位の建築工事高を誇る請負会社を有する国となりました。しかし、仮りにもWHOのいうところは発展途上国を対象としたものだとして軽視するようなことがあってはなりません。充実した健全な地域開発の内容はアンバランスのない健全な福祉国家においてはじめて実現されるということについては十分にWHOから学ぶべきものがあると考えられます。
上記報告が勧告している点を要約すれば、次のとおりです。
政府は首都、地域開発における種々の側面に関する計画をたて、特にそのプログラムの計画、施行および運用過程において、健康保持の目的を達成するため環境衛生担当者の活動を強めるぺきです。
国のレベルでは、地域、都市計画、住居、水資源、衛生工学等は別々の省庁で取り扱われていますが、それぞれの適切性や進行計画について必要な協力態勢をうることは困難です。したがって、政府の中央機関が総合地域計画をたて、調整的役割を果たすべきです。それらは、輸送、産業および住居の立地、上下水道、土地開発および利用計画、教育、保健および厚生などの機能を含みます。
政府はそれぞれの国情と要求に応じた法制的、財政的および行政的手段を取らなければなりませんが、さらに重要なとるべき措置としては、計画が暫時進行するにつれて得られた結果の客観的評価をなすことを予定しなければなりません。この責任も計画担当局庁に委ねられるべきです。この方策によって、変化する情報に対抗しうるような斬新な計画を持続できるはずです。

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