住居と健康

昭和30年代以後、日本の人口増加率は抵下しているにもかかわらず、世帯の細分化が進行し、住宅需要が培加する一方で都市への人口集中が激しくなり、その傾向は決して減じる方向にはありません。戦前の住宅問題は低家賃と貧困の関係にあったといえますが、今日の都市における住宅問題は、働く力の十分にある健全な市民の生活の場である住居の数の不足とその質の低下にあります。これらは広義の健康に対する間接的な脅威となっています。国勢調査に関する調査によれば、1室当り世帯人員別の世帯数比率と世帯家族構成の関係が示されています。夫婦のみの世帯についてみれば、東京区部ではその55%が1室当り2人です。つまり、夫婦世帯の半ば以上が1室アパートに居住しているものとみられます。夫婦と子供より成る世帯についても、1室当り2人以上の世帯数は東京区部で40%を越え、大阪市でも35%に近くなっています。

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間取り

住居と畳数の問題は居住空間の問題であって、直接住居と健康の関係とはなかなか結びつき難いのですが、健康生活の基盤としての住居の広さは重要な意味をもつものです。住居が健康に与える影響に関しては、生活水準の項目のうちのいくつかがそれぞれに影響を与えるものと考えられ、多くの要求のうちから健康との関連によってそれらを抜き出してみなければならないので、たいへん厄介です。住居と健康に関する問題の取扱に関しては日本ではWHOにおけるような総合的健康観と総合的健康住居観が確立されていないといわなければなりません。やはり、公衆衛生に関して長い歴史をもつ外国の例を紹介するほかはありません。アメリカ公衆衛土協会・住居衛生委員会では、1946年に健康住居の基本原則を提案しています。
(1)基礎的生理的要求の満足
適当な採暖方法、適当な熱放散方法、清浄な空気環境、適度の昼光照明、適当な日照、適当な人工照明、騷音防止、大人および子供の運動場・遊戯場
(2)基礎的生活的要求の満足
個人のプライバシー、正常な家庭生活、正常な近隣生活、過度の疲労のない家事遂行、住宅および人体の清潔保持設備、家庭およぴ環境における美的満足、地方的コミュニティとの調和
(3)伝染病予防
安全な住宅用給水、給水汚染防止設備、伝染病予防用便所、安全な屋内給排水、住宅近隣の不衛生化防止、衛生動物・害虫の防除、食品の腐敗防止、屋内感染を防ぐ寝室の広さ
(4)事故防止
住宅の崩壊による事故防止、火災発生および廷焼防止、適切な避難設備、感電・漏電の危険防止、ガス中毒の防止、家屋内での転落などの事故防止、近隣地区自動事交通による危除防止
このウィンスローを委員長とする住居衛生委員会は、以上の30項目を基本原則とし、高層、低層、広さ、居住者の社会階層、職業、趣味その他に関係なく、また都市、農村を問わず、住宅について望ましい必要最低限度の項目をあげています。
日本が以前のアメリカの原則について十分学ぶに値する状態にあることは残念ですが、実情はそうなっています。日本の実情に照らして、耐震的配慮や防火を中心とする防災上の項目が弱いことは明らかですが、日本でこれほどの総合的健康住居の理念が主張されていないということは指摘されなければなりません。今日の日本の建築技術や設備などを考虜において、これらの項目の尺度をそれぞれ変更、改善することは容易です。したがって、これを基本として日本の健康注宅の基本原則を提唱することは、すでに昭和24年よりなされています。大分類だけを示すと、次のとおりです。
災害防止条件の満足、生理的要求の満足、生活心理的要求の満足、疾病の発生と感染防止、情緒的条件の満足、経済的条件の満足の6項目です。

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