人工環境の影響

近代都市の建造は、それ自身が目的であるかのように自動し、その勢いが自己制御なしに暴走するという心配が生じてきました。自然改造と都市建造がそのように広い人間の存在という立場からのコントロールなしに自動するとき、人工環境のもつアンバランスが出現してきました。都市のもつプラス面とマイナス面とが共存しつつあるのが、現代の人工環境の特徴です。学問はつねに後から過去を分析し、技術は先へ先へと建造を進めていきます。正しい自然と人工のバランスを研発する余裕を持っていないのが人工環境建造の特色です。自然生態系と人間生態系とは賢明に共存し、人間が自然系の中でその一部分として生きられるのでなければ意味がありません。人間が造り出す人間生態系が破綻をおこさないようにするのが賢明な技術であるはずです。人間が自然をうまく利用して両者の生態系が相互共存しうるよう総合的に計画できることこそ、環境建造の目標でなければなりません。産業の発展と環境汚染、環境悪化は、ともに人工環境が創り出すものです。つまり公益をもたらすはずの人間の業が同時に公書をひきおこしています。これは、科学や技術がただ一面的に利用されたための破綻としてあらわれた現象です。例えば農作物を豊かにする目的で植物に噴霧される農薬が、人間、動物に加害することになります。これなどは至るところでみられる人工環境破綻の例でい。

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静的学問を乗り越えて、建造技術はどんどん進み、この建造技術には自己統制的哲学がなければなりません。この哲学が欠けているために、人工環境が生み出す病理学的現象について社会学側から攻撃されるのです。人工環境は是か非かという形でその議論は出されることが多のですが、今日、人工環境を積極的に活用しなければならなくなりつつあることは、誰しも認めるところです。ただ、問題はその総合的活用方法です。
日本は、面積、空間、地下などのスペースまたは天然資源の存在量に対する人間密度の高さにおいて、世界で2位から3位を占めています。そのため、乏しい資源を自然状態のまま放置しておくことは許されず、加工してこれを活用しなければならないのです。したがって、今日、私達は人工環境是非論に停滞するのではなく、積極的に人工環境活用に対して勇敢に踏み出さなければならない状態にあるといえます。
しかし、一方で人工環境建造の大きい目標は、人間生態系における安全、健康、快適性および能率等を含む文化性を満たすものでなければなりません。この安全、健康という必須の条件を脅やかすようないかなる建造、自然改造も許されてはなりません。以上の目標を果たすならば、人工環境は採用されるにふさわしいものとなります。それでは現実の人工環境建造の場では、多くの産業開発、交通開発、都市開発では、華やか面における利潤追求性が強すぎて、そのマイナス面である住民生活の安全、健康はもちろん、快適性、能率という条件も脅やかされている事例の多いのが残念ながら現実です。
自然環境改造による人工環境建造の主体はつねに人間であり、この主体たる人間の労働や生活環境の維持は、いかに産業、交通、都市などの開発による利益が増加しようとも、それによって犠牲を受けてはならないはずです。
多くの近代科学、技術が戦争技術として発展してきた例と同じく、多くの近代建造技術は利潤追求を至上命令とする大企業の生産向上のために育成され奉仕してきているというのが、日本の工学の歴史ではないでしようか。人工環境がこの目的にだけ奉仕するのであれば、社会学側からの強い批判は、技術者側において甘んじて受けなければなりません。しかし、人間の本質的福祉を保つという広く深い目的のために、近代科学技術を駆使しようとする立場で人工環境の建造を考えるならば、人間生活に大きなマイナスを与えずに、しかも産業、交通、都市を発展させることができるはずです。ここに、人間のための科学技術の構成論が要望される理由があります。

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