住宅と外部効果

厚生経済学によれば、一般に特定の財サービスを自由な価格機構のもとで決定される価格よりも低い価格で公的機関が供給することは、資源配分の効率性を阻害する要因です。特定の財サービスを無料ないし費用以下で供給することが、効率性の観点からみて妥当であるのは、ある経済主体がその財サービスを消費するときに、他の経済主体に外部経済を及ぼすか排除の原則を適用することができない場合であるといわれます。その一つの例として、ポール・サムエルソンによって定義された公共財、あるいは、リチャード・マスグレイブによって定義された社会財があります。公共財とは、消費における非競合性と、消費からの非排除性、という性質を持った財サービスと定義されます。消費における非競合性とは、同一の財サービスを複数の人間がその消費から得られる便益を互いに低下させ合うことなく、同時に消費することを意味します。例えば灯台の便益は、そこを通る全ての船が非競合的に消費できる国防、司法、混雑していない道路、公園等も非競合的消費という意味で公共財です。外部性との関連でいえば、消費の非競合性とは、ある材サービスをある人が消費して他のすべての人に外部経済を与えることと形式的に同じです。

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ある財サービスの消費が非競合的である場合には、ある特定の人がその財サービスを消費するときの限界費用はゼロであるため、その財サービスに価格をつけて、その価格を支払わない人をその消費から排除することは非効率的になります。しかし、市場システムは対価を支払わぬ者をその消費から排除する。という排除の原則を適用せずには、財サービスを供給することはできません。したがって、すべての使用者に対して非競合的な便益をもたらす財サービスは、たとえ排除が可能であっても、効率性の観点からは、排除の原則を適用せずに。無料で公的に供給されることが望ましい。
消費からの非排除件とは、財サービスの技術的性格から、対価を支払わない者をその財サービスの消費から排徐することが不可能であるか、きわめて高くつくという性質をいいます。例えばある特定の個人を国防軍の防衛から排除することは不可能であり、ある地域の警察や消防活動による利益は、地域住民全体に及び、特定の個人をそのサービスの消費から排除することは、著しく困難です。したがって、このような財サービスは公的に供給されるしかありません。
住宅は消費における非競合性という性質を持っておらず、また、技術的に排除の原則が適用可能な財です。したがって住宅は公共財ではなく私的財です。しかし、スラムクリアランスの場合のように低所得者層がより良質な住宅サービスを消費することは、他の人々に衛生、環境の改善、社会的安定といった外部経済をもたらします。低所得者は自分の所得を制約条件として自分自身にとって最適な住宅サービスを満たすために住宅サービスに対して支出しますが、自分が消費する住宅サービスによって他の人々が享受する外部経済までは考慮しません。もしそうであれば、住宅サービスは効率性の基準からみて過少供給になります。この場合の適切な公共政策は低所得者に対して家賃を補助するか、低所得者向けの住宅を生産し、公共当局が低家賃で貸すかして、住宅サービスの社会的限界便益がその社会的限界費用に等しくなるまで、住宅サービスの供給を増加させることです。すなわち、効率性の基準からみるとき、低所得者層に対する住宅サービスは100%補助の純粋公共財とゼロ補助の完全な私的財との中間にあると考えられます。

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