持家取得に対する補助の意義

日本でも、欧米諸国でも、個人の持ち家取得を税制面あるいは金融面から優遇する措置がとられています。例えば日本の公庫住宅は我々の定義では公的に供給された住宅として分類されますが、公庫による融資は、金融面から持ち家取得を促進する措置であり、低所得者層を対象とする政策ではありません。アメリカでは、低所得者に対して住宅を公的に供給することよりも、むしろ民間の住宅金融を政府が補助することによって持ち家取得を容易にするといった住宅政策が中心になっています。

スポンサード リンク
間取り

さらに、帰属家賃は課税されないという税制上の措置は、税制面から持ち家や企業による社宅供給を促進する。帰属家賃に課税しないことは、持ち家、あるいは社宅という現物給与に対して、隠れた補助金を支給していることを意味します。このように住宅所有者はすべて隠れた補助金を受けているので、持ち家はすべて広義に解釈すれば、公的に供給される住宅ともいえますが、ここでは公庫住宅のように、金融的な補助を受けたり、隠れた補助に税制上の優遇を受けて取得された持ち家を検討の対象にします。持ち家を政策的に促進するための理論的根拠は、一体何なのでしょうか。その根拠を人々の持ち家選好の強さに求めています。しかし、この根拠は妥当ではないように思われます。
まず第一に、住宅所有者はすでに税制上隠れた捕助金を受けているのであり、このことが所得税制を不公平なものにしています。第二に、個人の持ち家取得を政策的に援助することは、比較的所得の高い人を優遇することになり、分配上不公平な政策となります。また、たとえ低所得者の住宅サービス消費だけでなく、すべての人々の住宅サービス消費が外部効果を持つとしても、それは、持ち家か借家かにかかわらず、あらゆる住宅サービスの消費に対して補助金を支給すべき理由にはなっても、持ち家を特に政策的に促進すべき理由にはなりません。
しかし、所得水準が低いために民間の住宅金融を受けられないか、受けられたとしても極めて金利が高くつくような家計の持ち家取得を金融面から政策的に援助すべき一つの理論的根拠を与えているように思われます。
持ち家の増加は、住宅を大事に、長期的に計画的に使用することを含めて賃貸借契約の費用を削滅します。そうであれば利子補給によって住宅金融を政策的に拡大したり、個人の持ち家取得のための預金の利子を非課税とするといった政策によって、個人の持ち家取得を促進することにも資源配分の効率性からいって、一定の意義があります。しかし、この政策目的は賃貸借契約に伴う費用を削減することにあり、個人の持ち家という財産形成を援助することにあるのではありません。また、住宅金融の政策 的援助は、家賃補助政策と同様に、そのままでは土地の留保需要を高め、もっぱら土地所有者の懐を肥やすばかりであるために、土地キャピタルゲイン課税の強化が伴っていなければなりません。ただし、政策的に援助しなくても民間の住宅金融を利用したり、自己資金で持ち家を取得できるような、高い所得と多額の資産を保有している階層までも、政策的にその持ち家取得を援助する必要はないことは、言うまでもありません。

間取り
住宅と外部効果/ 価値財としての住宅/ 必需品と住宅サービス/ 平等主義と住宅の公的供給/ 公的住宅の生産と住宅の公的供給/ 持家取得に対する補助の意義/ 借地・借家法の強化/ 公共住宅/ 家賃の負担と公共賃貸住宅の分配/ 宅地開発の問題点/ 宅地開発指導要綱の問題点/ 新規参入者負担論/ 宅地開発と地方自治/ 宅地供給と民間ディベロッパー/ 土地と税制/ 個人住宅用地と地価上昇/ 農地の宅地並み課税/ 公共サービスの受益者負担/ 公共サービスと排除の原則/ 宅地開発負担金と地方債/

       copyrght(c).間取りガイドドットコム.all rights reserved

スポンサード リンク

プライバシーポリシー