借地・借家法の強化

借地・借家法とは一体何をその目的とする法律なのでしょうか。賃貸借法の課題は、借地や借家の供給が絶えないようなかたちで、賃借人の保護をするというきわめて難しいものとなるといわれます。もし、借地・借家法の課題あるいは目的このとおりなら、それら二つの課題は相互に矛盾し、したがって借地・借家法は、はじめから達成できない課題をかかえていることになります。達成しようとする目的が二つあり、それらが相互に矛盾する場合には、一つの政策手段によってそれらの目的を達成することはできず、少なくとも二つの独立した政策手段を必要とします。これは、あらゆる政策における基本的な原理です。

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借地・借家法については、借地・借家権が強化されることによって、すでに契約を結んでしまった借地・借家人の既得権益は確かに、保護されるかもしれませんが、これから新たに賃貸借契約を結ぼうとする借地・借家人が保護されるわけでは決してないという点に留意すべきです。つまり、昭和16年以降の借地・借家権の強化は、貸地・貸家の供給の減少を招き、その結果、家賃、敷金、権利金、保証金、更新料等の借家の費用を著しく高めているのです。借地法については、借地権者の更新請求があれば、土地所有者に更新拒絶の正当事由がない限り、土地所有者の意思にかかわりなく更新の効果を認めている借地法4条1項は、土地政策としては、必ずしも妥当ではありません。4条1項は財産権を保障した憲法29条に違反するのではないかという点に関して、最高裁では、他人の土地を宅地として使用する必要のある者が圧倒的に多く、しかも宅地の不足が甚しい現状において、借地権者を保護するため、借地法4条1項の規定により、土地所有者の権能に制限を加えることは、公共の福祉の観点から是認されるとしています。しかし、4条1項の規定とその後に積み重ねられた判例は、貸地の供給を著しく減少させてしまいました。したがって長期的にみれば、公共の福祉を増進するどころか、逆に後退させているのです。
次に借地権の譲渡、転貸については、郷里観念という人間の道徳的心情が居住の安定を要求する。あるいは、近代的な土地所有権のあり方からみれば、土地の権利は、土地を実際に利用する者に役立つように構成されていることが根本となるという立場から、借地権の譲渡、転貸を認めて、借地権を物権化することが主張されることがあります。増改築等の借地条件の変更や借地権の譲渡、転貸に関して裁判所が地主の承諾に代って許可を与えることができるとした、昭和41年の借地法の改正は、このような考え方にそうものでした。しかし、借地権の譲渡、転貸が認められれば、逆に貸地の供給が滅少し、結局、その目的を達成することはできなくなります。
賃貸借に伴う費用という観点から見ると、公的に賃貸住宅が供給される場合には、賃貸借に伴う費用の大部分は消滅します。しかし公共賃貸住宅の供給には時間がかかるので、公共賃貸住宅の入居者よりも所得水準が低い者が、より高い家賃を支払って民間の借家に居住しなければならないといった分配の不公平という別の費用が発生します。この分配の不公平を是正しようとすれば、結局は公共賃貸住宅の供給の場合にも家賃の増額、明渡しの要求と拒否等をめぐって、民間の賃貸借契約の場合と同じような費用が発生します。

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