宅地開発の問題点

多くの人口増加の市町村は、宅地開発に伴う地方財政の圧迫を軽減し、環境の悪化を防ぐ方策として、宅地開発指導要綱を制定し、開発者から開発負担金を徴収したり、水道,排水などの施設づくりを義務づけたりしています。団地開発者負担の財源構成によれば、開発者は生活関連の公共施設費の実に48%を負担しています。公園、交通施設及び上水道施設については開発者が全額負担しています。しかし、このような方法では問題は少しも解決せず、第一に、公団や民間ディベロッパーが行う一定規模以上の宅地開発に対してだけ生活関連公共施設の供給を義務づけても、それは問題の氷山の一角を解決したにすぎず、規制の対象にならない小規模な住宅建設に伴ってスプロールが進行し、非効率的な公共投資をよぎなくされます。第二に、宅地開発指導要綱を制定して、民間部門に生活関連公共施設を供給させる方法には、おのずから限界があります。

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問題の生活関連公共施設が生みだすサービスを享受できる範囲が団地内にとどまり、団地外へスピル・オーバーしなければ、生活関連公共施設の供給を民間部門に委ねても、効率的に供給され得る、という考えがあります。これは団地内の宅地を購入するかしないかによって関連公共施設の利用に関して排除の原則が適用でき、購入価格は環境の改善を反映して高くなるはずであるという考え方に基づいています。しかし,R・マスグレイブによって定義された、排除の原則が適用できてもある一定範囲までは限界費用がゼロであるため効率性の観点から排除すべきでない社会財や外部効果を持つ財および、分配の公正の基準から私的財であっても公的に供給すべき財が存在するので、その利益が団地内にとどまるかどうかを、関連公共施設の供給を民間部門に委ねるかどうかの基準にすることは不適当です。例えば地元自治体のゴミ処埋能力が小さいために、民間の宅地開発に際してゴミ処理施設の供給を義務づける場合を考えてみると、その場合、団地内のある人のゴミ処理施設の利用は団地内の他の人に望ましい外部効果をもたらします。そうであれば、たとえゴミ処理施設が利用できる者が団地内の住民に限られるとしても、民間部門によるゴミ処理施設は効率性の基準からみて過少供給になります。さらに、団地内のゴミ処理施設は団地外の人が利用できなくても、周辺の団地外住民に、悪臭の減少、ゴミ運搬車の交通量の滅少等を通じて周辺住民に望ましい外部効果を及ぼすことを考慮すると、一層過少供給になります。
このように考えると、効率性の観点からみて、その供給を民間部門にまかせてもほとんど問題がないと思われる関連公共施設は、比較的大規模な団地内の小公園、取付道路、団地内の街灯ぐらいのものです。下水、排水、ゴミ処理施設といった関連公共施設は民間部門にまかせたのでは、過少供給になりがちであり、分割不可能性が強く作用する場合には全く供給されません。しかし、このことは、あらゆる生活関連公共施設を全面的に公的に供給しなければならないことを意味しません。つまり、純枠な社会財でないかぎり、関連公共施設を100%補助する、つまり、全面的に公的に供給する必要はなく、外部効果あるいは分配上の公正を考慮したうえで供給量としたがって需要量が最適になるように、一定割合を公的に負担すればよいのです。このように、補助金の率がプラスであるが100%未満の財を以下では、準公共財と呼ぶことにします。準公共財はゴミ処理や下水道サービスのように大きな外部経済をもたらすものが多いのですが、低所得者層に対する公営住宅のように所得再分配の要素を多分に含んだものも含まれます。
しかし、さしあたり公的部門に財源がなく、起債に関して中央政府による厳格な許可制が採用されており、かつ自由な起債市場が存在しない現状を考慮すると、宅地開発業者に下水、排水施設等の整備を義務づけることも長期的にみれば一定の意義があることは否定しえません。過少供給にはなっても、供給されないよりもはるかに望ましく、宅地開発とともにはじめに整備しておけば、費用も安くつくからです。同様のことは、既存の住宅地について、さしあたりは完全な受益者負担で、長期的には公的負担の割合を増加してゆくことによって生活環境を改善してゆく方法にもあてはまります。しかし、これはあくまでも短期的な、いわば応急措置であることに十分留意しておく必要があります。

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