宅地開発指導要綱の問題点

開発指導要網は安易な負担金制度の導入であるとされながらも、次のような政策的根拠をもっていると主張されます。第一に、宅地業者は良好な環境の住宅団地を造成する責任があり、宅地だけの売り逃げは許されるべきではありません。また、住宅環境に欠くことのできない用地、施設をすべてコマーシャルベースで、自治体に押しつけるのは不当であり、まして、宅地ディベロッパーは原価主義でなく地価上昇にスライドさせた時価販売によって利潤は大きい。第二に、宅地開発要綱の負担は譲渡価格に必ずしも上積みとはなりません。なぜなら田畑が坪当り十数万円で宅地成りし、山林が坪当り数万円で売買されていますが、事前に負担を算入して、負担を前方へ転嫁一売主の譲渡価格を押えることが可能です。第三に、地元自治体が、大幅な開発利益を税で吸収し、巨額の整備費をまかなう財政のシステムにはなっていません。例えば不動産譲渡所得税の税収の配分においても、国は市町村の数倍もあり市町村の取り分は少なくなっています。

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宅地開発要綱は社会的合意のもとに一つの財政制度として定着し、社会的抵抗もありませんでした。また地価上昇の牽引車ともなりませんでした。それは宅地開発要綱がもつ政策的使命が支えとなっていたからです。
この主張には、第三の指摘のように妥当と思われる点も少なくありませんが、我々の基本的考え方からすればいくつかの問題点をも含んでいるように思われます。それらの問題点のうち、比較的重要であると思われるものを指摘すると、第一の宅地業者は良好な環境の住宅地を造成する責任があり、宅地だけの売り逃げは許されるべきではないという点については、宅地業者に良好な環境を維持するための生活関連公共施設の供給をまかせたときに、効率性の観点からみて過少供給になるかどうかを基準にして判断されるべきです。効率性の基準からみれば、むしろ、良好な環境の住宅団地を造成する責任は、究極的には地方自治体にあると考えるべきです。次に第二の宅地開発指導要綱によって課せられた負担は譲渡価格に必ずしも上積みとはならないという指摘を検討すると、指導要綱が設定される前に宅地開発者が取得した土地については、宅地開発の限界費用曲線が右上りであり、宅地に対する雷要曲線が右下りであるかぎり、開発負担金と開発指導要綱による有効宅地率の低下は、分譲価格の上昇を招くはずです。ただし、宅地需要曲線が右下りであるので、分譲価格の上昇は宅地開発の限界費用の増加分よりも小さく、それは、宅地の均衡需給量の減少という、宅地需要者の犠牲を伴っています。ただし、より長期的にみれば、宅地開発業者が指導要綱指定後に取得する±地については、開発業者は負担を前方に転嫁するという主張がある程度妥当します。それは、指導要綱が指定されると、宅地開発業者の新規土地需要が減少し、農地、山林の価格が低下するからです。しかし、長期的にみても、開発される宅地が滅少することには変りはなく、分譲価格の上昇は避けられないと思われます。

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