土地と税制

土地の固定資産税の課税方法に対しては、土地を時価で評価して課税すべきかどうかという点が問題になっています。およそ住宅の用に供されている土地、特に標準的な大きさの個人住宅用地は、地価上昇の利益をほとんどうけないと考えられます。地価が上昇したからといって、その土地からうける便益の質は上昇するものではありません。うける便益に変わりがないのに、支払う固定資産税のみが急増することは、住民福社の点から果して妥当なのでしょうか。たしかに一面では、土地について時価と評価額と課税標準額が大きく乖離していることとは、土地利用効率の見地から問題だとする見方もありますが、これは、地価が安定、あるいはその変動があまり大きくない場合にのみ言えることであり、東京のように地価の上昇が異常な場合、全国一率の措置をもってこの乖離を縮めることは,都民福社の観点から大きな問題です。住宅地については逆に、税負担の軽減措置こそが必要になるのです。

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元来企業は、集積の利益を求めて大都市に集中してきました。したがってその立地も、そこから受ける便益とコストとの比較衡量にもとづいてなされているはずです。いいかえれば、企業にとっては、地価も市場経済のメカニズムの中に折り込まれて検討される一つの材料にしかすぎません。地価の上昇という現象も、企業の効率性を判断するための一要素としておりこまれるべきであり、この場合にはじめてその地域の土地はもっとも効率的に利用されることになります。この点、企業用地は住宅用地とは全く異なるといわなければなりません。住宅の用に供されている土地に関して言われていることが妥当であるならば、それはそのまま企業活動の用に供されている土地についてもあてはまり、逆に、企業活動の用に供されている土地について言われていることが妥当であるならば、それはほぼそのまま住宅の用に供されている土地についてもあてはまるはずです。
地価は、その土地からうける便益の質が向上することによっても上昇し、便益の質は一定でも他の事情が変化することによっても上昇します。例えば交通の便がよくなったとか、下水道が整備されたとかいった場合には、住宅用地であれ企業用地であれ、その便益の質は向上し、それにともなって地価は上昇することになります。それに対して当該地域の公共サービスの質は不変であっても、人々の所得が上昇する結果、所得弾力性の大きい宅地需要が増加して、その結果宅地の価格が上昇したり、企業数が増加して、企業用地に対する需要が増加して、企業用地の値格が上昇することもあります。これらの場合には、既存の住民がその土地に居住することによってうける便益も、既存の企業がその土地で営業することによってうける便益も不変であるか、むしろ、混雑にともなって、それらは低下することになります。構想の考え方によれば、この場合、既存の企業が受ける便益は変わらないか、むしろ滅少するのに、企業が支払う固定資産税が地価の上昇にともなって増加するのは不合理であるということになります。しかし、うける便益に変わりがなくても、地価が上昇するということは、住宅用地であれ企業用地であれ、それらが現にうけている便益そのものが、社会全体としてより稀少になったということに他ならないのです。さしあたり、分配面を無視すれば、便益そのものは同じであっても、それが社会的により稀少になったならば、それを消費する者は当然、それに対して以前よりもより大きな対価を支払わなけれぱなりません。それは米の質も大きさも変わらないのに、それがより稀少になったために、その価格が上昇することと同じことです。分配面の配慮から米の価格に天井を設けることがあるように、固定資産税を握え置くということもあり得ます。しかし、分配面の配慮からではなく、いま述べた資源の稀少性にかんする観念がないために、宅地価格の上昇にともなって固定資産税が増加することに反対しています。もし、分配の側面を考慮するならば、個人対企業というように分配をとらえるのは妥当ではありません。

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