農地の宅地並み課税

農地の宅地並み課税、周辺の宅地と同じように固定資産税、都市計画税を課すことは、その農地が周辺の宅地と同じ程度の公共サービスを受けているかぎり、分配の公正上、当然の措置です。また、地代を固定資産税の課税標準とする場合にも、当該農地が宅地に転用されることが土地利用計画上望ましいのであれば、農業地代ではなく、宅地地代を課税標準にすべきです。

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農地を宅地並みに課税し、さらに延納利子付100%譲渡所得税を採用するならば、都市及びその周辺の農家は農業を営み続けることはできず、農地を手放すか宅地に転用するかしなければなりません。したがって、これらの課税案に対しては農業を破壊するだけでなく、都市から緑地を消滅させるものであるという批判があると思われます。この問題は土地課税政策に限らず、ほとんどすべての土地政策について、多かれ少なかれ生じる問題であり、日本の農業の最適規模はどのくらいであり、都市の農業をどのように評価するかという問題と密接に関連します。たとえ日本における最適な農業規模がなんらかの基準にしたがって決定され、都市近郊の農地を宅地化すべきでないという結論が得られ、その結果、農地を宅地並みに課税しないとしても、農地が売却されるときにはその譲渡所得に対しては100%の率で課税すべきです。
農地の宅地並み課税に対しては、いくつかの自治体で、宅地開発を規制して環境を守るとか、緑地を保存するとかいった名目で、農地所有者に補助金を交付し、結果的に固定資産税を滅免する措置がとられています。また49年6月には、生産緑地法が制定され、生産緑地に指定された農地は市街化区域農地から除かれました。このような措置は環境を守るという点から評価されてしかるべきですが、緑地として保護するのであれば、固定資産税の滅額のような消極的措置にとどまることなく、積極的に補助金を与えて緑地としての一定の基準を常に維持するように、農家に義務づけ、その義務を果さない農家の農地はむしろ取用して、都市公園として公的に緑地を供給してゆくべきです。現状の農地では緑地としての機能はきわめて不十分です。さらに農業経営を拡大することが農業政策上望ましいのであれば、営農意欲のある農家に対して補助金を与えるべきです。しかし、環境保護あるいは農業保護の立場から、宅地並みに課税せず、さらに補助金を与えるとしても、農家が農地を売却するときには、その護渡所得に対して100%課税すべきです。そうでなければ、農家は補助金を貰いながら農業の生産性を上げるように努力もせず、また緑地としての機能を充実することもせず、環境保護の美名のもとに、もっぱら投機的利益を獲得することを目的として農地を保有することになります。
これに対しては、土地課税によって農家が農地を手放さなければならない場合に農家は代替農地を取得することも、転業する場合の資金を調達することもできないという批判があります。しかし、延納利子付100%土地譲渡所得課税のもとでは、農家が土地売却代金に等しい金額の代替農地を取得するかぎり、譲渡所得税は課されないため、都市の農地を売却して他の地域で農業を営むことは可能です。その場合には、他の地域の農地の方が都市のそれよりも安いために、農家は農業経営を拡大することができます。
農家が農地を売却して転業する場合には、延納利子付課税のもとでは、転業資金が不足するかもしれません。しかし、その不足資金は土地譲渡所得税を軽減することによって埋めるべきではなく、生活再建措置によって対処すべきです。従来、日本の土地政策は公共投資を行って、宅地に転用可能な都市及びその近郊の農地の価格を引き上げてきました。農家はそのように高くなった農地を売却して、家屋を新改築したり、各種の消費支出にあてたりしてきました。公共投資の資金が一般財源によって調達されるならば、このような状態は、一般の国民から特定の地域の地主への土地という財を通じる所得再分配に他なりません。一般に財による所得再分配は資源配分の非効率をもたらしますが、土地の場合には特にその非効率の程度が著しく、仮に特定の農民に所得を分配する必要があるとしても、土地という稀少な財を通じてではなく、直接的な金銭ですべきです。

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