公共サービスの受益者負担

私達は固定資産税の機能を公共サービスの水準とその稀少性が地代、帰属地代、家賃、帰属家賃、あるいは一定条件のもとでの地価等に反映されるという点に求めてきましたが、排除の原則が適用できる公共サービスの対価という点に関しては、むしろ、次に述べる原則を基本とすべきです。まず第一に、分配の公平を無視することはできませんが、資源配分の効率性という点からすれば、排除の原則が適用できるサービスについては受益者負担を原則としなければ資源配分上の無駄が生じるという点を確認しておく必要があります。例えば水道や下水道の料金は分配上の配慮から、住民の一定水準以下の使用量に関してはより安い料金を設定することにも、財による所得分配としての意義があると思われますが、それ以上の使用量に関しては限界費用原理を適用するのが望ましい。

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企業の場合にも、排除の原則が適用できるサービスについては限界費用に等しい料金を徴収すべきです。一方で企業が受ける排除の原則が適用できない、警察、消防、道路等の公共サービスの量は、近似的には企業の活動水準に比例すると考えられます。したがって、そのような企業が受ける公共サービスの対価としては、企業の活動水準に応じて課税することが考えられます。企業の活動水準を示す妥当な指標は、シャウプ勧告にある付加価値です。しかし、付加価値税は所得分配にかんして逆進的です。したがって排除の原則が適用できない公共サービスの対価は個人か企業かにかかわらず、固定資産税と都市計画税によって徴収する方が望ましい。
排除の原則が適用できる公共サービスに対しては受益者負担を原則としなければならないというときの負担とは公共サービスの経常費用の負担を意味します。ところが、開発行為に基づく土地増価分の開発主体による吸収が本来の意味の受益者負担であると理解されている場合が多いようです。公共サービスが提供されることによって、直接的に利益を受けるのは、それを利用する経済主体です。公共サービスを提供するうえで、資源配分と分配の公正上重要なのは、直接的な当該公共サービスを利用する主体に対してどれだけの料金を課すかという問題です。確かに、公共サービスの水準及び質と料金の関係に依存して、地代と地価は変化します。公共サービスの水準と質を一定として、他の地城に比べてある地城の公共サービスの料金が低ければ低いほどその土地に住むことは有利であるため、地価の上昇は大きくなります。しかし、この場合の地価上昇分を開発主体が吸収すべきかどうかは、公共施設を所与としたときに公共サービスそれ自体が効率的に供給され得るかどうかということには関係がありません。開発利益を吸取すべきかどうかは、すでに明らかにしたように、土地の有効利用と公共投資の合理的な資金調達の方法という観点から検討すべき問題です。
公営の地下鉄やバス交通をどのように配置し、またそれらの料金をどのように決定すべきかは、都市交通全体の効率性の観点から考えられるべきです。都市交通の中でも自動車交通は、騒音、振動、大気汚染といった外部不経済をもたらし、かつ道路のキャパシティに限界があって混雑現象をひき起こし、その結果、自動車利用者の間でも相互に外部不経済を及ぼしあっています。これらの外部不経済による損失を費用換算して、自動車利用に伴う私的費用に加えたものが自動車の社会的費用です。効率性の基準からすれば、自動車利用者に自動車利用に伴う社会的限界費用を負担させたときに、最適な自動車交通量が達成されます。現行の自動車課税には、自動車取得税、自動車重量税、揮発油税等がありますが、それらの税を自動車利用の私的限界費用に加えても、自動車利用者、特に三大都市圏における自動車利用者は社会的限界費用を負担してはいません。そのことは、厳密な実証手続きを踏まなくても自動車の混雑壮況をみれば明らかです。

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