宅地開発負担金と地方債

民間ディベロッパーが開発指導要綱に従って、宅地を開発しようとする場合、民間ディベロッパーは下水道のような耐久施設の建設費用を負担しなければなりません。しかし、下水道のように耐久的な施設で、それから生じるサービスに関して排除の原則が適用できる財については、将来の世代も使用するものであり、世代間の分配の公平からみて、本来、起債によってその建設費を調達し、その施設の使用料で、施設の維持費用や利子支払等の経常費用と償還費用をまかなってゆくべきです。ただし、下水道のように、衛生上の外部経済及び水質汚濁を防止するという極めて大きな外部経済をもたらす場合には、建設費用に対して一般財源から相当の補助がなされるべきです。この意味で、下水道は準公共財に相当します。

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現行制度のもとでは、地方公共団体は中央政府によって地方債の発行を制限されています。起債制限の財政理由として、通常、次のような三点が主張されます。第一に、無理な負担を将来に残し財政を混乱させる団体が生じないよう地方債発行の適正限度を保持させる必要があります。第二に、許可制度を通じて特定団体への資金の偏重を防止し、資金配分の公平をはかります。第三に、財政金融情勢のもとでは、地方公共団体の資金需要も国全体の資金計画の中に織り込み、国及び民間の資金需要との調整をはかる必要があります。
地方公共団体の起債に関しては、基本的には自由な起債市場のメカニズムにまかせて、起債量が決定されるようにすべきです。ところが日本では金利は自由化されておらず、民間の起債に対しても割当制が採用され、自由な起債市場が存在していません。起債を自由な市場原理のもとにおくならば、上記の第一と第三の問題はほとんど解決されることになります。自由な起債市場のもとでは、第一の地方債の発行の適正限度を維持するように努めるのは、中央政府ではなく、地方政府と起債の引受会社の責任であり、第三の国、地方公共団体、民問の三者問の資金配分に関する問題は、自由で伸縮的な金利によって効率的に三者の間に配分されます。
自由な起債市場で起債するとなると、起債能力のない自治体はほとんど起債できないという事態が生じることになります。これが第二の問題です。しかし、起債能力のない自治体はもともと起債によって資金調達すべきでなく、中央政府がひも付きでない財政資金を交付すベきです。
自由な起債市場で地方債を発行するにしても、地方債と他の財源とのバランスをとるようにしなければ、現在、起債能力がある自治体も将来は起債できないという事態に陥ることになります。このような事態に陥るのを避けるための条件は、第一に分配の公平を侵害している現在の税制、資産所得に対する課税上の優遇措置と資源配分上有意義でない各種の企業課税上の特別措置を廃止し、第二に、第一の政策を施したうえで国民所得に対する税負担を欧米並みに高め、第一の政策が採用されれば、国民所得に対する税負担率は相当上昇すると推測されるために、一般的な所得税率の上昇はそれほど大きくなくて済むと思われます。
第三に、自治体が提供している財サービスで排除の原則が適用できる財サービスについては、社会的限界費用に等しい料金を利用者から徴収します。ただし、排除の原則が適用できる財サービスであっても、分配面の配慮から公園の入園料を無料にしたり、バス料金や一定の水便用量以下の水道料金等については限界資用以下にすることも考慮されてよいでしょう。しかし、一般に財による再分配には無駄がつきまとうことに十分留意すべきです。
第四に、下水道等の公共投資による地代及び土地の値上り、すなわち開発利益は、固定資産税あるいは土地キャピタルゲイン課税によって吸収します。ただし、固定資産税によっては地代の上昇分をすべて自治体が吸収することはできません。開発利益の吸収に関して東京都の大都市財源の構想では、水道を新たに引くに際しての利用債券の割当制の創設によって、水道の有無によって地価が上がるうちの一部を開発者に還元できると述べています。しかし、利用債券の割当制によってさしあたり水道事業の資金は調達できますが、債券利子を支払い、債券を償還するかぎり、開発利益を及収することはできません。

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