住宅生産の特徴

住宅という生産物は、特異な性質をもっており、それが住宅生産を他の一般商品の生産とは異なったものにしています。生産物、需要、生産の各面について住宅生産の特質を考察してみると。第一に住宅は人間生活の本拠であり、家族を単位とする住生活を成立させる基本空間です。住空間は、床、壁、天井、屋根などのエレメントによって構成され、設備によって内容づけられているのであるため、生産の実体はこうしたものの製作と組立とから成り立っていますが、住宅生産の目的は、本来、住空間であり、物としての住宅ではありません。したがって将来、構造や材料の進歩によって空間構成の手段が変化すれば、物としての住宅は現在とはかなり異なった姿に変貌する可能性があり、生産形態もその変化によって強い影響を受けることとなります。

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第二に近代的な住宅がその機能を果たすためには、外部から電気、ガス、上下水道等のサービスが必要であり、購売、教育、医療等の生活施設が便利に利用できるようでなければならず、内部的には家具や耐久消費財によって装備されなければなりません。つまり、住宅は室、住宅、地区、都市、国という生活空間システムのなかの小空間として位置づけられて機能する一つのサブシステムとみることができます。居住形態が住宅生産に及ぼす影響は、例えば住宅の集合化によって生産単位が戸から棟に移ることに現われていますが、もし将来における都市住宅の高密度化を予想するならば、物としての住宅生産の特徴は薄らいでいくことが予測されます。
第三に住宅に対する要求は家族構成、所得、職業、年齢、住居観などに応じてきわめて多様であり、個性的であって、標準化しにくく、したがって需要は常に個別分散的です。これは量産をすすめるのに非常に不利な性質であるといえます。また他面、住宅の性能もとらえにくく、各種の欠陥をはらみながらも個々の欠陥が致命的なものとならず許容度が高くなっています。
第四には住宅の土地との固着性があります。人間はある土地に一定期間定住することによって住生活の安定性が得られます。住宅は一般には土地に固定されており、重量も体積も大きいため、生産物を移動させるのではなく、建築地を生産現場とし、生産手段と労働力とを移動させて生産を行なっています。このため、生産単位は時間的にも地域的にも分断されて零細であり、需要内容の個別性とともに、高度の生産設備による生産の要約化をさまたげ、生産性を低水準におしとどめてました。近年のプレハブ技術の進歩は生産現場における加工工程を大幅に工場工程に移すことを可能にし、生産面については住宅を土地との固着性から解放しつつあります。しかし、住宅が現在の材料と構造で構成される限り、プレハブ化の有利性は決定的とはいえません。
第五には住宅生産の費用が、建設費、取得費、家賃のいずれの支払い形態をとるにせよ、一般には家計によって負担されている事実があります。これは公共建築が財政支出により、産業建築が企業会計における費用として支出されるのとは大きな相違です。住宅生産の費用は巨額になることが普通であり、その償還が長期間にわたって分割されたとしても、利子負担が重くなります。営利目的の経営による民間賃貸住宅においては、居住者の負担は一層重いものになります。その結果、住宅の規模と質は家計が負担しうる金額の範囲に限定されざるを得ず、その地域に生産される安価な自然採取材料を利用して、手工的な方法で粗放な質の狭小住居を生産し得るに過ぎないのです。住居費負担力が住宅生産の発展への抑制に働いた影響は小さくありません。

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