住宅工業化の方法

工業化とは手工業から工業への発展です。手工業の特徴は個別の注文者のためにわずかな資本を投入して個別に生産するところにあり、修業によって身につけた個性的な技能労働が、簡易な機械や道具の補助を得て生産活動を行ないます。工業の特徴は、まず広大な空間的広がりをもつ不特定市場の存在であり、ついで大規模な機械生産を軸とした近代的な技術および組織の利用です。住宅の場合ももちろん例外ではありません。住宅の工業化は、以上の基本的な認識に立ち、かつ住宅の特質を基本的にふまえつつ構想されなければなりません。住宅の需要は地域的にも時間的にも分散し、個別性が強いことを特質としており、需要の流れは安定性に欠けます。したがって生産の連続性もありません。これが設備の遊体、労働力の無駄を生じさせています。需要を集約化、組織化し、生産の連続性を確保するだけでも相当な経済効果を生むことが予想されます。プレハブ化や機械化による設備投資の大型化は生産の連続性の前提的な条件です。

スポンサード リンク
間取り

標準化は工業生産の基礎です。建築においては、これまで生産物としての基準化は行なわれてきませんでした。木造建築においては寸法と工法の標準化が古くから存在し、多様な解決を一つのシステムにおけるバリエーションとして与えるユニークな方法を築いていました。公的住宅供給において設計が標準化されるようになりました。標準設計の意義は、一つには不特定多数の需要者をその属性と生活上の要求によってグルーピングを行ない、それぞれに相応しい型の住宅を供給するための型計画にあり、もう一つには生産経済上の効果にあったわけです。しかし、後者については在来工法における標準設計の適用は、在来工法のもつ柔軟性も、標準化が本来有する経済性をも無くし、規格性の欠点のみを浮き上らせる結果を生みました。標準化は設計過程のみならず、材料、部材製造、施工の全過程にわたって体系化される必要があると同時に、多様化と相関する問題としても取り上げられなげればなりません。
建築技術の進歩は、労働、機械、工法の系に多くの革新をもたらし、施工者、部材製造業者に多くの知識、経験を蓄債させました。こうした生産技術の進歩を住宅生産に役立たせるためには、その蓄積が設計段階に還流されなければなりません。そのためには情報流通のチャンネルを整備するのがよいか、設計者と上産者との主体における一体化が必要となるかは議論の余地のあるところですが、さし当り、少なくとも両者の協同の形態がその第一歩です。建売、分譲住宅の商品住宅の生産においてはすでに実質的に両者が一体化していることも多いのですが、注文生産においてに一般に設計は建築主の主導で進められ、施工や部材製造とは契約をはさんで厳しく隔てられており、両者の交流が妨げられています。続合の一つの典型として設計と部材製造、施工の例を挙げましたが、もちろん統合すべき対象はこの両者のみではなく全生産プロセスの各段階です。それぞれに応じた有効な統合の方法の解明は、研究課題として今後に残されています。
組織化の第一段階は、現場作業の組織化です。現行の非組織的で無駄の多い現場作業を組織だてるだけでも、かなりの成果が期待されます。住宅建設の繰り返し作業の多いタイプの工事では、組織化の効果は非常に大きく、逆に、いかに高度のプレハブ工法も現場作業部分が組織だっていなければ、そのプレハブのメリットは殆ど失われてしまうに違いありません。また、現場の高度の機械化も、組織化を伴ってはじめて効果を発揮します。組織化の第二段階は、特定の作業を現場から工場に移すこと、さらに第三段階は、建築生産過程の大部分を工場へ移行させることです。
機械化は生産の労働集約的な部分工程の生産性を飛躍的に改善しますが、建築工事にはもともと大規模な機械化にふさわしい工程がなく、導入された機械も稼動率の低さに、逆に不経済を招きがちです。しかし、工場加工部分の増加は工場機械設備の大幅な増加をもたらし、工場製の大型部品はまた現場における大型運搬機械の利用を促進する傾向を生じています。
建築に関する研究開発投資の生産高に対する割合は他産業に比べて格段に低くなりますが、とりわけ住宅については殆どゼロに近い一方で、設計は常に開発的な性格を帯びていますが、標準設計の場合を除いて蓄積されることが少なくなっています。設計上での新しい試みが、中間的なテストを繰り返されることなく実施に移されるというような危険な研究、実権の方法を脱して、生産活動と結びついた系統的、組織的な研究と実験が望まれます。それには飛躍的な投資額の増加が必要です。全項目に関係するものとしてプレハブ化を工業化の有力な技術的方法として登場させなければなりません。プレハブ化は、現場工程を部分的に工場移行させることによって量産を可能にし、労働生度性を高めてコストを安定化させ、性能、品質を向上させます。プレハブの単位も平面パネルから立体ユニットヘ、単体から複合体へと発展しつつあります。

間取り
住宅の生産/ 住宅生産の特徴/ 木造住宅生産の伝統/ 住宅における設計の導入/ 公共住宅の登場/ 町場での住宅生産/ 住宅工業化の必要性/ 住宅工業化の方法/ 住宅の新建材/ 住宅産業化の方向/ 住宅標準の確立/ 住宅技術の開発/ 住宅生産と供給機構/ 町場の住宅生産の将来/ 建設業/ 建設生産/ 建設業の従属性/ 新産業と建設業/ 住宅建築工事の種類/ 建設取引の特質/ 建設業での重層的下請制の崩壊/ 入札と随意契約/ 工事契約の種類/ 工事施工上の問題/ 建築家の沿革/ 設計の瑕疵と施工の責任/ 下請制度/ 建設業の性格/ 建設企業経営の身軽さ/ 建物プレハブ化/ 建設工事費の上昇/ 建設業の経営比率の特色/ 住宅生産の工業化/

       copyrght(c).間取りガイドドットコム.all rights reserved

スポンサード リンク

プライバシーポリシー