住宅技術の開発

建築学においては、住宅は建築型の一つにすぎず、その意味では、住宅技術も建築技術のなかに含まれています。たしかに、単なる構築物としてみる限り、住宅は建築一般を外れるものではありません。これまで住宅生産の主流であった低層木造住宅は、大工頭梁によって経験的に建てられてきており、技術として客観化されるに至っていませんでした。住宅が集合化、高層化、重構造化するにつれて、構築物としては一般建築の仲間入りをするため、建築一般のなかに含めて論じることができます。しかしながら、住宅はそれ自体として独自の技術対象でもありうると考えられます。その理由の一つは、住宅は住生活の本拠として重要性を持つ上に、住生活行動は建築内での人間の行動一般よりも格段に複雑で、しかも時代とともに変化を遂げていく性質をもつことです。快適な住宅の計画を行なうためには、たえず研究開発を継続していなければなりません。

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住宅は国民すべてが直接に使用する必要物であり、特定の経済条件の下で可能な限り高性能なものを安価に、かつ大量に供給されなければならないことです。この点は建築技術一般の開発方向と矛盾してはいません。しかし一般的な解決を計るよりは、住宅において特殊的な解決を与える方がはるかに容易であり、それだけの緊急性もあります。例えば建築生産の工業化は現下の重要な技術課題ではありますが、とりわけ、建築量の約半分をしめる住宅生産の工業化は一層重要であり、しかも建築型を住宅にしぽることによって解決の難しさは大幅に減少します。
住宅技術開発の目標としては次の四つの柱が考えられます。大量供給、コストダウン、生能向上、環境改善。巨大な需要に対しては、大量の生産と供給をもって応えるとともに、量産を通じての生産性向上によるコストダウンが計られます。一方で住宅の性能や品質を向上して需要者の高い多様な要求を満たす必要があり、あわせて住宅をとりまく環境の改善が目標となります。以上のようにみてくると,住宅技術は二つのタイプに大別されます。一つ目は、住宅というものを造るのに直接かかわる技術です。材料を加工し、組み立てること、およびそれに必要な生産手段を用意する技術といえます。もう一つのタイプは、住生活を快適ならしめるような住戸内および住戸外の空間構成を生みだす技術、および住宅の大量生産や供給を可能にするために需要を集約化したり、多様な需要に対応するような住宅システムを造りだす技術です。前者はハードな技術であり、後者はソフトな技術です。住宅生産は、これらハードとソフトの両タイプの技術の開発によって、はじめい発展することとなります。
建築技術の研究は、これまで主に大学および国立の研究所によって行なわれてきました。それらの研究機関としての立場から、研究の大部分が基礎的研究でした。民間における開発的研究は、それまでは非常に貧弱なものであり、主要な建設企業に研究所が設立された今日といえども研究没資はまことに少なく、まして、建築のうちの住宅に限定した場合の研究費率は全くとるに足らない位のものになっています。
一般に、建築設計は一品設計であり、設計過程のなかに一品性の独自性を盛り込もうとします。建築設計は常に開発設計の性格をもっています。しかも大抵の場合、その設計において開発された部分は実験によるテストを受けることなく実施に移されます。一品生産の建築にあっては、その規模が巨大なものでない限り、研究開発費の負担に耐えませんが、住宅技術の開発負担力は、住宅が大量に繰り返し生産されることによって、巨大なものになります。
住宅生産技術研究の担い手の比重が、これまでの公共住宅発注体中心から民間住宅関係企業へ移っていくことは避けがたく、数多くの研究主体が研究開発を競い合うことによって、技術開発を飛躍的に促進されることが期待されます。しかし民間企業による研究の発展は、研究の閉鎖性を進めることになります。建築技術は、本来ならば開放的な性格をもっており、それの個別建築への設計上の適用において、やっと閉鎖性を持つにすぎませんでした。民間企業が研究開発した成果は、企業内に保有され、直ちに公開されることはなくなります。技術開発の成果に関して開発者の権利は擁護されるとともに、これが住宅技術全般の推進のために公開される取り決めの確立が必要です。生産者側の研究は、今後はますます発展することとなりますが、それとともに公的機関による需要者側にたつ研発も、一層の拡大、強化されなければなりません。住宅技術は在来の建築技術の範囲を大きく踏出す内容をもっています。例えば量産技術は建築技術としては異質ではありますが、他の分野、例えば自動車工業においてはすでに日常的なものです。このように、すでに他分野において到達している技術の住宅への応用によって解決できる部分も少なくないと思われます。

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