建築家の沿革

建築家は中世紀まで職人または棟梁が行なった設計と監理の大部分の業務、および彫刻家や画家のような造形芸術家の行なう芸術的デザインの業務、ならびに企業者がみずから行なった企画監理の一部の業務を、企業者の代理人として一括して行なう専門家として発生しましたが、今日のような自由職業として独立するようになったのは19世紀末より20世紀の初めのこととされます。日本においても江戸時代には棟梁は現在の建築技師と請負業者の機能をかねていましたが、明治維新後、新政府は新制度、新政策の実施に伴って、これに関係する諸建築物を建設するため、諸外国から建築家を招き設計監督や日本人建築家の養成にあたらしめたので、これより建築家と施工業者との分化が始まったといえます。

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設計契約とは企業者に対して建築家がその職業的役務の捉供を約し、企業者がこれに対し報馴を支払うことを約する契約です。設計契約には委任契約の場合と請負契約の場合があります。例えば日本建築家協会制定の契約書は、第1条で、設計監理を乙に委嘱しと定め、また、第3条に乙はこれによって各業務を夫々必要な期限内に完遂するよう最善の努力をする。と規定しているのみで、設計を完成し、引き渡す趣旨の規定はないため委任方式の設計契約です。これに反して、首都高速道路公団の契約書は設計請負契約書と明記し、第1条には頭書の請負代金額をもって、頭書の期間内に頭書の設計を完成したうえ、目的物を甲に引き渡さなければならないと定めているため請負方式の設計契約です。
委任契約と請負契約の重要な違いは危険負担の有無であり、委任契約の場合は受任者には危険負担がありません。日本の建築家は委任は請負よりも高度の信頼に基礎をおいているという考えをもっているが、これは建築界でいわれる請負と委任という言葉の内容と、法律用語としての請負契約と委任契約という言葉の内容との間に違いのあることによる誤解です。つまり委任について高度の信頼が要素だとされているのは雇備契約との比較です。その点では請負もまた高度の信頼が要素です。委任契約も雇用契約もともに労務を提供するものですが、その相違点は、雇用契約においては雇主が指揮監督権を有しているのに対して委任契約においては受任者は委託者の指揮監督に服するのではなく、広汎な裁量を任されているという点です。請負契約も請負人が注文者の指揮監督をうけず、全般を任されるという点では委任契約と同列です。両者のいま一つの相違点は支払いの計算方法にあり、請負契約では仕事の結果に対してあらかじめ総額または単価で報酬が定められますが、委任契約では実費に報馴を加算するという計算によるのです。ただし、報酬が必ず加算されるとは限りません。委任は本来は無償が原則で、報馴ではなくてお礼を払うのだと考えられていました。この意味は委任の場合受住者の社会的信用を高く評価し、金で取引しないと考えられるからで、医者や弁護士に例があります。つまり民法では無償のコスト契約を委任の原理的形態としていますが、これは古いタイプの契約です。
以上のとおり、企業者と建築家との契約関係は一般に委任であり、建築家は企業者に代って設計業務を行なうものであるため、建設業者に対しては企業者の代理人たる地位を有するものといえます。したがって、建築家は善良なる管理者の注意をもって事務を処理すべき義務があります。しかし、建築家は要求された役務を通常かつ相当な熟練で履行することができる経験を含め、技能を有することを保証するに止まり、けっして満足すべき結果を保証するものではありません。もちろん、建築家は設計を作成するとともに、それを不当に遅れないように提供する義務があり、所定の時期に設計図書が引き渡されず、企業者が損害を受けた場合は企業者に対してその責任を負わなければなりません。また、設計契約に施工監理も含まれている場合には監理につき通常の注意を払い、誠実に行なう義務はありますが特別の注意を払わなければ判断できないような施工上の瑕疵については建築家の責任とはならないとされます。

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