設計の瑕疵と施工の責任

工事目的物の瑕疵の原因としては、設計の暇疵、材料の瑕疵、施工の瑕疵、発注者の指図または行為等を挙げることができますが、設計の瑕疵によるものが最も多く、純然たる施工の瑕疵によるものはきわめて僅かです。しかも、その補修費についてはほとんど建設業者の負担とされています。元来、建設業者は発注者の呈示した図面、仕様書に従い、その指図により忠実に施工する義務を有するものであるため、図面、仕様書の瑕疵に基づく工事目的物の暇疵について建設業者に瑕疵責任は存しません。ただし、建設業者が設計の不過当なことを知ってこれを発注者に告げなかった場合は免責されません。

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それでは設計の瑕疵に基づく工事目的物の瑕疵により第三者に損害が生じた場合はどうなるのでしょうか。民法717条により当該工事目的物の所有者たる発注者が損害賠償の責に任ずることになりますが、発注者は建築家に善良な管理者としての注意義務違反があれぽ設計契約に基づき建築家に対し求償することができます。
なお、工事目的物の瑕疵が設計の瑕疵か施工の瑕疵かが問題となることが往々にありますが、明らかに設計の瑕疵に基づく工事目的物の暇疵についても建設業者は無償でこれを修補せしめられる場合が多く、これは営業政策上の顧慮によるもので純法律的にははなはだ不合理であると思われます。
近年は大手業者の設計施工が増加していますが、これに対して、ある建築家は工費を分析してみれば建築家に委託して行なった場合に比べて割高になることは当然であるとし、あるコンサルタントは業者設計の場合は営業上の安全性が優先し、種々の弊害を伴うとして、設計施工を分離独立すべぎであるということを強調しています。他方では建設業者は建設業の近代化と合理化を遅らせ、コストダウンを阻害している一大原因は設計施工の分離制にあると反論しています。その是非についてはにわかに断定し難く、少なくとも設計施工の分離を法制化すべきであるという主張は、設計施工にするか、これを分離すべきかは企業者の自由裁量に属し、不当に営業の自由を制限するものであって、民法の契約自由の原則に反し、憲法の自由権の侵害である。また、巷間欧米の建築工事費に比し、日本では割高であるという向きもありますが、与えられた設計のもとにおけるコストダウンには自ずから限界があり、設計施工の一貫により経済性、生産性の向上を図ろうとすることは自然のことです。

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