下請制度

建築生産の内的要素として表面上もっとも封建的に見えるものは下請制度です。建築生産においてはその特殊性のために下請制度は建築生産の組成要素としての立場をもっており、総合建設業者の請負った工事は大部分が下請負によって行なわれているといわれます。これは建設業が依然として受注産業であることと、日本では工事の請負は商業資本の台頭とともに資金をもつものの請負という形で始まり、やがて労働の面の請負が現れるようになり、職人は賃金労働者化したという歴史的沿革に由来するものです。日本の社会構造はタテ組織の構造であるとされますが、建築生産における下請制度はいわばその典型的な縮図にすぎず、建設業の下請制度を特に封建的というのは妥当ではありません。だからといって現在の下請制度で良いというわけではありません。現状のままで建設業の合理化、コストダウンを進めることは自ずから限界があり、生産技術の進歩、新建材の開発とともに生産様式も当然変更され、これに伴い生産組織も変るべきものと思われます。

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建設業が受注産業であるかぎり、自主的生産計画は立てられないため、総合建設業者は下請制度によって経営の安全を図らざるをえず、完全な直傭制は望めないのであり、注文生産から商品生産への転換が必要とされます。その例として住宅公団のプレキャストコンクリート板組立工法やプレハブ住宅において見られます。もちろん、かような量産に適しない建築工事もあるため、これらについては現在の下請業者の専門工事業者化と職別労働者の労働組合制の確立により、総合建設業者の直傭制と特殊工事に対する専門工事業者への下請制の併用ということになります。
元請業者と下請業者の間の契約関係は下請負契約ですが、下請負契約も請負契約であるため、その性質は元請負契約と異なりません。しかし、取引の実際においては純然たる請負のみでなく、常傭の場合もあれば、実費精算の場合もあるため、個々の場合において具体的に判断しなければ元請業者と下請業者の契約関係は明らかになりません。大手業者は一応下請負契約書を定めこれを使用することに努めていますが、それでも実際には、注文書、請書をもってかえ、または、見積書を徴するにとどまることが少なくありません。まして中小業者の場合はそうなります。したがって、元請業者と下請業者の契約関係も不明確であり、身分関係的色彩が強く、片務的であることは発注者と元請業者の契約関係と全く変らないといえます。
以上のとおり、元請業者と下請業者の間においても発注者との元請負契約におけると同様の問題が存在するのです。例えば元請業者が取引上の優位を利用して、下請代金を不当に定める、正当の理由なく工事用資材等として指定するものを購入させる、支給資材等の代価として不当に高い額を下請代金から控除するというようなことがあります。また、元請業者が発注者から前金払い、出来高払い、竣工払い等を受けながら下請業者に支払いをしないこともあります。さらに元請負契約には、物価労銀の変動や天災不可抗力による損害の補償現定があるのに、下請負契約では下請業者負担としていることもあります。もっとも下請負契約ではどのように規定していようとも、実際の取り扱いは別であって、例えば下請業者がある工事で損失を被ると元請業者は損害を補填したり、他の工事をやらせて損害を回収させる等の措置を講じることが多くなります。しかし、これは恩恵であって権利として認めるわけではありません。建設業法改正にはこのような下請負契約関係を是正するため元請業者を規制する規定が新たに設けられましたが、法的規制だけて解決できる問題ではなく、建設業者自体の法意識を高めることが必要です。

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